本エントリーは
stod phyogs 2009年6月6日土曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(9) 映像
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 映像 】
この分野の調査は全く不十分で、おそらくもっと大量にあるでしょう。
<ドキュメンタリー>
「ETV8 妖怪たちはどこへ行った 水木しげるのねぼけ人生」NHK教育テレビ(1989/05/04)
NHK総合テレビ(2007/02/25) 「NHKアーカイブス」内で再放送
----『コミック昭和史』刊行中の時期で、昭和の終了と共に水木サンの人生にも注目が集まった。これは映像でたどる『ねぼけ人生』。当時の日常も記録されており貴重。
<インタビュー>
「新・テレビ私の履歴書 水木しげる」テレビ東京(1989/09/06)
----日本経済新聞「私の履歴書」のテレビ版。未見。新聞紙上の「私の履歴書」では、2003年に連載となる。
<ドラマ>
「ドラマ愛の詩 のんのんばあとオレ」NHK総合テレビ(1991/08/19~23)全5回
「のんのんばあとオレ・総集編」NHK総合テレビ(1991/12/28)
「ドラマ愛の詩 続・のんのんばあとオレ」NHK総合テレビ(1992/08/24~28)全5回
「続・のんのんばあとオレ・総集編」NHK総合テレビ(1992/12/26)
制作:NHK鳥取
演出:兼歳正英
脚本:高橋正圀
出演:佐藤広純、山田昌、岸部一徳、もたいまさこ、ほか
----基本はエッセイ版のドラマ化だが、ドラマ・オリジナルのストーリーや架空の登場人物も多い。そのせいもあり主人公の名は武良茂(水木サンの本名)ではなく「村木茂」に変えてある。評判の高い作品なのだが、市販映像ソフト化されておらず、幻の作品と化している。
<ドキュメンタリー>
「驚きももの木20世紀 ゲゲゲの鬼太郎の秘密」朝日放送/テレビ朝日系(1996/07/26)
----水木サンの半生、特に戦争体験を中心に取り上げたものらしい。砂原・元軍医の証言あり。観たような気もするが・・・、内容の記憶は定かでなく録画もしていない。
参考:
・ウィキペディア > 驚きももの木20世紀 > 放送リスト・視聴率
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A9%9A%E3%81%8D%E3%82%82%E3%82%82%E3%81%AE%E6%9C%A820%E4%B8%96%E7%B4%80_%E6%94%BE%E9%80%81%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E8%A6%96%E8%81%B4%E7%8E%87
<インタビュー>
「土曜インタビュー 好きなことだけやりなさい 漫画家・水木しげる」NHK総合テレビ(2004/08/28)
聞き手:三宅民夫
----インタビューと映像で半生を振り返る。
<インタビュー>
「グレートマザー物語」テレビ朝日(2005/08/14)
----母・琴江を語る。三兄弟座談会もあり。未見。
<ドラマ>
「NHKスペシャル 鬼太郎が見た玉砕 水木しげるの戦争」NHK総合テレビ(2007/08/12)
作:西岡琢也
出演:香川照之、田畑智子ほか
映像ソフト:(DVD)『NHKスペシャル 鬼太郎が見た玉砕 水木しげるの戦争』 ポニーキャニオン(2008/07)
----『総員玉砕せよ!』をベースにしたドラマ。
<ドキュメンタリー>
「知るを楽しむ 人生の歩き方 水木しげる 百歳まで生きるでしょう」NHK教育テレビ(2008/06/04~25)全4回
----インタビューと昔の写真、日常の映像を織りまぜながら、四回にわたって半生を振り返る。テキストの方は、収録前に既存資料を使ってまとめた別物と思った方がいい。映像の方が圧倒的に面白い。映像ソフト化が望まれる。
<夫婦インタビュー>
「たけしの誰でもピカソ 天才に嫁いだ妻」テレビ東京(2008/10/24)
----水木夫妻が出演。未見。
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軽い思いつきで始めたこのリスト作りですが、予想以上に手間がかかり(まあ、自分の仕事はいつもそうなんですが)、改めて「水木世界」の巨大さに圧倒されました。ほじくればもっと詳細なものにできそうでしたが、際限ないので今はこれくらいにしておきます。
さて、連続ドラマ、映画はどういう作品になるのでしょうか。爆笑シーンが多数織り込まれることに期待して、ようやくおしまいです。
(追記)
実はもう一項目あるのですが、調査に手間取りそうなので、いずれ完了したらupすることにします(また3~4回分くらいになりそうで困っています)。
2009年6月6日土曜日
2009年6月1日月曜日
朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(8) 評伝など-2
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stod phyogs 2009年6月1日月曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(8) 評伝など-2
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 評伝など-2 】
<古川益三の自伝>
古川益三・著
『まんだらけ風雲録 幻のマンガを求めて』初出:書き下ろし
太田出版(1995/05)
----1970~77年(水木サン48~55歳)。元・マンガ家で現・まんだらけ社長・古川氏のサクセス・ストーリー。古川氏が水木プロにいたのはわずか2ヶ月(1970/07~08)だが、その後も水木プロに出入りし同アシスタントの山口芳則と古本屋・憂都離夜を始める(これがまんだらけの前身)。
<山口芳則のエッセイ>
山口芳則・著
「水木プロ アシスタント列伝 1964~1984」初出:まんだらけ no.9(1995/06)
収録:単行本未収録
----1964~84年(水木サン42~62歳)。足かけ10年にわたりアシスタントを務めた山口氏が、水木プロを去来したアシスタントたちを語る。わずか3ページだが内容は濃い。水木マンガ製作現場の謎も一部解き明かされている。
<宇田川政男の自伝>
宇田川政男・著
『マンガ家流転人生 筆一本の50年』初出:業界各紙
彩流社(1995/09)
----1959~62年(水木サン37~40歳)頃。兎月書房や三洋社の仕事で水木サンと交流があったマンガ家・宇田川雅夫(のちに政男)の自伝。実は、当時の話は「ここまで紙芝居、貸本の世界のことは、加太こうじ氏の『紙芝居昭和史』や水木しげる氏の『ねぼけ人生』にくわしく書かれているのだが」とそっけない。しかし軍隊体験~紙芝居~貸本マンガ、と水木サンと同じルートをたどってきた方なので、その証言は貴重。水木サンが首を傾げていた「業界紙進出作戦」の行方が気になる人も多いのではないだろうか?そして水木ファンには(タイトルだけ)お馴染みの『ばったり侍』がわずか3ページながら収録されているのにも注目。宇田川氏は水木サンの一歳年上で、本書執筆当時もなんとまだマンガ家現役であった(2000年に逝去)。
<関連論考>
梶井純・著
「貸本マンガの時代(4) ある紙芝居出身貸本マンガ家たち 水木しげると宇田川マサオ」初出:貸本マンガ史研究 no.9(2002/06)
収録:単行本未収録
<座談会>
「水木プロ アシスタント座談会」初出:まんだらけ no.13(1996/06)
収録:単行本未収録
----1964~96年(水木サン42~74歳)。北川義数(義和)、池上遼一、佐々岡健次(島根けんじ)、土屋慎吾、山口芳則、古川益三が水木プロ時代の思い出を語る。酒が入っての宴会なので話は散漫だが、貴重な証言満載。水木プロ一のあわて者だった土屋氏の話に相変わらず爆笑する(土屋慎吾は「黒い砂漠」主人公のモデル、同作品は『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている)。水木サンを過度に賞賛するわけでもなく悪口を言うでなく、「敬愛」という言葉が相応しい愛情あふれる座談会。池上・談「あの先生といればいい事あるよね」がすべてを物語っている。
<奥さんのインタビュー>
多田洋子・編
「水木しげる夫人 武良布枝」初出:語り下ろし
収録:多田洋子・編 『ソクラテスの妻たち』 スリーエーネットワーク(1997/01)
----1960~96年(水木サン38~74歳)。水木サンのエッセイを挟みつつ、布枝さんが自分の半生を語る。
<夫婦インタビュー>
谷口桂子・構成+文
「夫婦の階段 第187回 「妖怪」につかれた夫を支え続けた「平凡」な妻 武良布枝・水木しげる」初出:週刊朝日(1997/05/23)
収録:単行本未収録
----1960~97年(水木サン38~75歳)。37年目を迎えた結婚生活を二人で語る。この年はなぜか雑誌などで布枝さんの出番が多かった。
<関連記事>
「夫婦の肖像19 水木しげる・布枝夫妻」初出:婦人公論(1997/04)
収録:単行本未収録
<内田勝の自伝>
内田勝・著
『「奇」の発想 みんな少年マガジンが教えてくれた』初出:書き下ろし
三五館(1998/06)
----1965~68年(水木サン43~46歳)。少年マガジン黄金期の編集長・内田氏が当時を振り返る。鬼気迫る点描画製作の現場、鬼太郎アニメ化のいきさつなど、貴重な証言あり。
<年譜>
編者名なし
「水木しげる年代記(前)(後)」初出:書き下ろし
収録:水木しげる 『水木しげる貸本時代ロマン(上)(下)』 太田出版(1999/03~05)
----1922~99年(水木サン0~77歳)。この手の年譜は数あれど、これは特別。年譜自体はシンプルなものの、貴重な写真満載(ねずみ男のモデル・梅田栄太郎氏の写真まである)。「餓死」、「竹内寛行」といった水木ファンの興味をそそるキーワード解説も秀逸で、ちょっとした水木小事典にもなっている。
<後藤修一のインタビュー>
後藤修一・談
「ナチな人々File No.3 三島由紀夫や水木しげるに愛された、元祖ナチおたく ヒトラー研究家・後藤修一」初出:語り下ろし
収録:佐藤卓己+日本ナチ・カルチャー研究会・編著 『ヒトラーの呪縛』 飛鳥新社(2000/07)
----1971年(水木サン49歳)。ナチス・マニアの後藤氏が、『劇画ヒットラー』で原作・資料協力をすることになったいきさつを語っている。
<関連記事>
水木しげる
「わが友(2) 後藤修一 ヒットラー少年 鬼太郎と桃太郎をあわせて・・・」初出:日本読書新聞(1984/04/30)
収録:単行本未収録
----つげ義春、長井勝一の間に挟まり堂々の登場。水木サンと後藤氏の交流については、この二記事以外ほとんど記録に残っていないので貴重。
<評伝>
児玉淳・著
『水木しげる 鬼太郎と妖怪たちの世界』初出:書き下ろし
講談社・火の鳥人物文庫(2000/11)
----1922~2000年(水木サン0~78歳)。小学生向けの評伝なので、内容はあっさりしている。子供が好きな妖怪がらみの話が多いことが特徴。
<大山学の自伝>
大山学・著
「私記貸本漫画家(3) 東京へ」初出:貸本マンガ史研究 no.5(2001/06)
収録:単行本未収録
----1966年~67年(水木サン44~45歳)。貸本マンガ家、永島慎二のアシスタントなどとして活動していた大山氏の連載自伝。その中の一話が上京当時、国分寺で暮らした日々の思い出。水木サンからアシスタントの勧誘を受けた話、水木・つげ・池上が連れ立って古本屋で猟書していた話などもある。なお、その古本屋とは、あの椎名誠・著『さらば国分寺書店のオババ』の店だったそうな。
<池上遼一のインタビュー>
池上遼一・談
「池上遼一氏インタビュー 貸本マンガのリアリズム さいとう・たかをの都会的センスとつげ義春の生活感」初出:貸本マンガ史研究 no.8(2002/03)
収録:単行本未収録
----1966年~68年(水木サン44~46歳)。水木プロ加入前の、貸本マンガに係わった時代と当時の劇画に関する話題がほとんどだが、水木プロやつげ義春の話題もある。また、当時つげ同様アシスタントより格上の「手伝い」として水木プロに出入りしていた貸本出身のマンガ家・伊藤正樹、橋本将次に関する話題も貴重。
<南伸坊のエッセイ>
南伸坊・著
「前代未聞の珍放送 水木先生のTV名場面を観る」初出:書き下ろし
収録:水木しげる・ほか 『水木しげる80の秘密』 角川書店(2002/07)
----1970年代?~1990年代?。水木サンTV番組出演時の珍エピソードを、視聴者として笑い転げていた南伸坊が語る。水木サンのTV番組出演については、水木研究の中でも最も遅れている分野。このエッセイでも、番組名、放送年月日は不明。
<呉智英のエッセイ>
呉智英・著
「「水木話」総集編水木しげるの最高傑作は「水木しげる」である」初出:書き下ろし
収録:水木しげる・ほか『水木しげる80の秘密』 角川書店(2002/07)
再録:呉智英 『犬儒派だもの』 双葉社(2003/03)/双葉文庫(2006/03)
----1970~2002年(水木サン48~80歳)。かつて水木サンの資料整理係、『のんのんばあとオレ』の編集協力者として働き、その後も交流が途絶えることがなかった著者ならではの、とっておきの水木エピソード集。タイトルはけだし名言である。
<関連エッセイ>
呉智英・著
「我が師、我が友 水木しげるさん 人柄に魅了される」初出:週刊読書人(2000/01)
収録:呉智英 『犬儒派だもの』 双葉社(2003/03)/双葉文庫(2006/03)
<関連エッセイ>
呉智英・著
「じっと待てない男」初出:書き下ろし
収録:水木しげる 『ほんまにオレはアホやろか』 新潮文庫(2002/08) 解説
再録:呉智英 『犬儒派だもの』 双葉社(2003/03)/双葉文庫(2006/03)
----両エッセイとも、水木サンのとあるエピソードをつづったもの。
(一部修正+追加@2009/06/04)
<奥さんのインタビュー>
武良布枝・談
「水木夫人インタビュー 夫・水木しげるの思い出を語る」初出:語り下ろし
収録:水木しげる・ほか 『水木しげる80の秘密』 角川書店(2002/07)
----1960~2002年(水木サン38~80歳)。これまでの40年間を振り返るが、やはり苦労時代の話が興味深い。これが後に自伝『ゲゲゲの女房』に発展する。
<追悼特集>
『貸本マンガ史研究 no.13 追悼・桜井昌一』シナプス(2003/08)
----2003年4月に逝去した東考社社長・桜井昌一氏を一号丸ごと使って追悼した特集号。水木サンの談話をはじめ、人柄が偲ばれる豪華メンバーの追悼文、論考、年譜、対談再録、小写真集、東考社出版物リストなど充実した内容。水木サンが関係する記事も多く、次の通り。
三宅秀典 「貸本マンガ末期の苦闘と栄光 東考社と貸本マンガ」
池上遼一 「桜井さんを想う」
伊藤徹 「桜井さんの思い出」
長谷川裕 「文庫版『河童の三平』のこと」
水木しげる 「私は昌一さんが好きだった」
山口芳則 「点を打つ」
つげ義春+桜井昌一・対談 「いまは夢みたい」(再録、初出は1972年)
<評伝+インタビュー>
桐山秀樹・著
「マンガ道 波瀾万丈 激白・みんなが泣いた、笑った「名作」はこうして誕生した 第23・24回 水木しげる「ゲゲゲの鬼太郎」 (上)(下)」初出:アサヒ芸能(2004/06/17~06/24)
収録:単行本未収録
----水木サン1922~2004年(水木サン0~82歳)。「鬼太郎」の話題だけではなく、実質的に「水木しげる伝」ショート・バージョンになっている。
<年譜>
平林重雄・編
「水木しげる詳細年譜 最新見出し付版 2004年12月」初出:書き下ろし
収録:水木しげる 『完全版 マンガ水木しげる伝(下)戦後編』 講談社漫画文庫(2005/01)
----1922~2004年(水木サン0~82歳)。今のところ、これが年譜の決定版(おそらく未発表で日々アップデートされているはず)。経歴から発表作品、出版物、イベント、関連グッズ、テレビ化/出演、旅行までを網羅した特濃年譜。字が細かい上に、一年分改行もなく、誤字・脱字も多い(おそらく校正を放棄している)ため、きわめて見にくいが、そういった欠点は全く気にならない(「私には」ってことで、同意してくれなくてもいいです)。水木情報の宝庫。快挙です。
<伊藤徹のエッセイ>
伊藤徹・著
「水木しげるに魅せられて四〇年」初出:ユリイカ(2005/09)特集・水木しげる
収録:単行本未収録
----1971~90年(水木サン49~68歳)。ディープな水木ファンで現在は古書店・籠目舎店主、画期的な水木本を多数自費出版もしている伊藤徹(水木サンは「イトーテツ」と呼ぶ)が、『水木しげる作品リスト』や『水木しげる画業四〇周年』を作成した際の思い出を中心に語る。
<弟さんのエッセイ>
武良幸夫・著
「武蔵野美大のころ」初出:ユリイカ(2005/09)特集・水木しげる
収録:単行本未収録
----1947~50年(水木サン25~28歳)。弟さんで水木プロ・マネージャーの幸夫さんが、水木サン帰国後に東京で共に過ごした日々を回想。月島で魚屋、吉祥寺に住み輪タク・オーナーと美大、募金の旅、神戸の水木荘まで。
<奥さんの自伝>
武良布枝・著、五十嵐佳子・編集協力
『ゲゲゲの女房』初出:書き下ろし
実業之日本社(2008/03)
----1960~2007年(水木サン38~85歳)。これが連続ドラマ、映画原作の柱になる。既存の自伝では取り上げられなかったエピソードや意外な新発見もあり、「水木伝」に新たな一石を投じた画期的な作品。それにしても奥さんの水木サンへの信頼には頭が下がります。感動作です。
<娘さんのエッセイ>
水木悦子・著
『お父ちゃんと私 父・水木しげるとのゲゲゲな日常』初出:ようかいどうかわらばん(2003~)
やのまん(2008/03)
----1976年頃~2007年(水木サン54歳頃~85歳)。次女・悦子さんのエッセイ。水木マンガのキャラクターとしてもよく登場している。近年の水木サンの日常が中心。
<関連記事>
水木悦子+赤塚りえ子+手塚るみ子・談
「おやじの話、しちゃおうか」初出:朝日新聞(2008/07/06)
収録:単行本未収録
----水木しげる、赤塚不二雄、手塚治虫とマンガ界の三巨匠の娘さんたちがそれぞれの父を語る。
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(追記)@2009/06/04
呉智英「「水木話」総集編」の書誌を修正し、関連エッセイを追加した。
stod phyogs 2009年6月1日月曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(8) 評伝など-2
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 評伝など-2 】
<古川益三の自伝>
古川益三・著
『まんだらけ風雲録 幻のマンガを求めて』初出:書き下ろし
太田出版(1995/05)
----1970~77年(水木サン48~55歳)。元・マンガ家で現・まんだらけ社長・古川氏のサクセス・ストーリー。古川氏が水木プロにいたのはわずか2ヶ月(1970/07~08)だが、その後も水木プロに出入りし同アシスタントの山口芳則と古本屋・憂都離夜を始める(これがまんだらけの前身)。
<山口芳則のエッセイ>
山口芳則・著
「水木プロ アシスタント列伝 1964~1984」初出:まんだらけ no.9(1995/06)
収録:単行本未収録
----1964~84年(水木サン42~62歳)。足かけ10年にわたりアシスタントを務めた山口氏が、水木プロを去来したアシスタントたちを語る。わずか3ページだが内容は濃い。水木マンガ製作現場の謎も一部解き明かされている。
<宇田川政男の自伝>
宇田川政男・著
『マンガ家流転人生 筆一本の50年』初出:業界各紙
彩流社(1995/09)
----1959~62年(水木サン37~40歳)頃。兎月書房や三洋社の仕事で水木サンと交流があったマンガ家・宇田川雅夫(のちに政男)の自伝。実は、当時の話は「ここまで紙芝居、貸本の世界のことは、加太こうじ氏の『紙芝居昭和史』や水木しげる氏の『ねぼけ人生』にくわしく書かれているのだが」とそっけない。しかし軍隊体験~紙芝居~貸本マンガ、と水木サンと同じルートをたどってきた方なので、その証言は貴重。水木サンが首を傾げていた「業界紙進出作戦」の行方が気になる人も多いのではないだろうか?そして水木ファンには(タイトルだけ)お馴染みの『ばったり侍』がわずか3ページながら収録されているのにも注目。宇田川氏は水木サンの一歳年上で、本書執筆当時もなんとまだマンガ家現役であった(2000年に逝去)。
<関連論考>
梶井純・著
「貸本マンガの時代(4) ある紙芝居出身貸本マンガ家たち 水木しげると宇田川マサオ」初出:貸本マンガ史研究 no.9(2002/06)
収録:単行本未収録
<座談会>
「水木プロ アシスタント座談会」初出:まんだらけ no.13(1996/06)
収録:単行本未収録
----1964~96年(水木サン42~74歳)。北川義数(義和)、池上遼一、佐々岡健次(島根けんじ)、土屋慎吾、山口芳則、古川益三が水木プロ時代の思い出を語る。酒が入っての宴会なので話は散漫だが、貴重な証言満載。水木プロ一のあわて者だった土屋氏の話に相変わらず爆笑する(土屋慎吾は「黒い砂漠」主人公のモデル、同作品は『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている)。水木サンを過度に賞賛するわけでもなく悪口を言うでなく、「敬愛」という言葉が相応しい愛情あふれる座談会。池上・談「あの先生といればいい事あるよね」がすべてを物語っている。
<奥さんのインタビュー>
多田洋子・編
「水木しげる夫人 武良布枝」初出:語り下ろし
収録:多田洋子・編 『ソクラテスの妻たち』 スリーエーネットワーク(1997/01)
----1960~96年(水木サン38~74歳)。水木サンのエッセイを挟みつつ、布枝さんが自分の半生を語る。
<夫婦インタビュー>
谷口桂子・構成+文
「夫婦の階段 第187回 「妖怪」につかれた夫を支え続けた「平凡」な妻 武良布枝・水木しげる」初出:週刊朝日(1997/05/23)
収録:単行本未収録
----1960~97年(水木サン38~75歳)。37年目を迎えた結婚生活を二人で語る。この年はなぜか雑誌などで布枝さんの出番が多かった。
<関連記事>
「夫婦の肖像19 水木しげる・布枝夫妻」初出:婦人公論(1997/04)
収録:単行本未収録
<内田勝の自伝>
内田勝・著
『「奇」の発想 みんな少年マガジンが教えてくれた』初出:書き下ろし
三五館(1998/06)
----1965~68年(水木サン43~46歳)。少年マガジン黄金期の編集長・内田氏が当時を振り返る。鬼気迫る点描画製作の現場、鬼太郎アニメ化のいきさつなど、貴重な証言あり。
<年譜>
編者名なし
「水木しげる年代記(前)(後)」初出:書き下ろし
収録:水木しげる 『水木しげる貸本時代ロマン(上)(下)』 太田出版(1999/03~05)
----1922~99年(水木サン0~77歳)。この手の年譜は数あれど、これは特別。年譜自体はシンプルなものの、貴重な写真満載(ねずみ男のモデル・梅田栄太郎氏の写真まである)。「餓死」、「竹内寛行」といった水木ファンの興味をそそるキーワード解説も秀逸で、ちょっとした水木小事典にもなっている。
<後藤修一のインタビュー>
後藤修一・談
「ナチな人々File No.3 三島由紀夫や水木しげるに愛された、元祖ナチおたく ヒトラー研究家・後藤修一」初出:語り下ろし
収録:佐藤卓己+日本ナチ・カルチャー研究会・編著 『ヒトラーの呪縛』 飛鳥新社(2000/07)
----1971年(水木サン49歳)。ナチス・マニアの後藤氏が、『劇画ヒットラー』で原作・資料協力をすることになったいきさつを語っている。
<関連記事>
水木しげる
「わが友(2) 後藤修一 ヒットラー少年 鬼太郎と桃太郎をあわせて・・・」初出:日本読書新聞(1984/04/30)
収録:単行本未収録
----つげ義春、長井勝一の間に挟まり堂々の登場。水木サンと後藤氏の交流については、この二記事以外ほとんど記録に残っていないので貴重。
<評伝>
児玉淳・著
『水木しげる 鬼太郎と妖怪たちの世界』初出:書き下ろし
講談社・火の鳥人物文庫(2000/11)
----1922~2000年(水木サン0~78歳)。小学生向けの評伝なので、内容はあっさりしている。子供が好きな妖怪がらみの話が多いことが特徴。
<大山学の自伝>
大山学・著
「私記貸本漫画家(3) 東京へ」初出:貸本マンガ史研究 no.5(2001/06)
収録:単行本未収録
----1966年~67年(水木サン44~45歳)。貸本マンガ家、永島慎二のアシスタントなどとして活動していた大山氏の連載自伝。その中の一話が上京当時、国分寺で暮らした日々の思い出。水木サンからアシスタントの勧誘を受けた話、水木・つげ・池上が連れ立って古本屋で猟書していた話などもある。なお、その古本屋とは、あの椎名誠・著『さらば国分寺書店のオババ』の店だったそうな。
<池上遼一のインタビュー>
池上遼一・談
「池上遼一氏インタビュー 貸本マンガのリアリズム さいとう・たかをの都会的センスとつげ義春の生活感」初出:貸本マンガ史研究 no.8(2002/03)
収録:単行本未収録
----1966年~68年(水木サン44~46歳)。水木プロ加入前の、貸本マンガに係わった時代と当時の劇画に関する話題がほとんどだが、水木プロやつげ義春の話題もある。また、当時つげ同様アシスタントより格上の「手伝い」として水木プロに出入りしていた貸本出身のマンガ家・伊藤正樹、橋本将次に関する話題も貴重。
<南伸坊のエッセイ>
南伸坊・著
「前代未聞の珍放送 水木先生のTV名場面を観る」初出:書き下ろし
収録:水木しげる・ほか 『水木しげる80の秘密』 角川書店(2002/07)
----1970年代?~1990年代?。水木サンTV番組出演時の珍エピソードを、視聴者として笑い転げていた南伸坊が語る。水木サンのTV番組出演については、水木研究の中でも最も遅れている分野。このエッセイでも、番組名、放送年月日は不明。
<呉智英のエッセイ>
呉智英・著
「「水木話」総集編水木しげるの最高傑作は「水木しげる」である」初出:書き下ろし
収録:水木しげる・ほか『水木しげる80の秘密』 角川書店(2002/07)
再録:呉智英 『犬儒派だもの』 双葉社(2003/03)/双葉文庫(2006/03)
----1970~2002年(水木サン48~80歳)。かつて水木サンの資料整理係、『のんのんばあとオレ』の編集協力者として働き、その後も交流が途絶えることがなかった著者ならではの、とっておきの水木エピソード集。タイトルはけだし名言である。
<関連エッセイ>
呉智英・著
「我が師、我が友 水木しげるさん 人柄に魅了される」初出:週刊読書人(2000/01)
収録:呉智英 『犬儒派だもの』 双葉社(2003/03)/双葉文庫(2006/03)
<関連エッセイ>
呉智英・著
「じっと待てない男」初出:書き下ろし
収録:水木しげる 『ほんまにオレはアホやろか』 新潮文庫(2002/08) 解説
再録:呉智英 『犬儒派だもの』 双葉社(2003/03)/双葉文庫(2006/03)
----両エッセイとも、水木サンのとあるエピソードをつづったもの。
(一部修正+追加@2009/06/04)
<奥さんのインタビュー>
武良布枝・談
「水木夫人インタビュー 夫・水木しげるの思い出を語る」初出:語り下ろし
収録:水木しげる・ほか 『水木しげる80の秘密』 角川書店(2002/07)
----1960~2002年(水木サン38~80歳)。これまでの40年間を振り返るが、やはり苦労時代の話が興味深い。これが後に自伝『ゲゲゲの女房』に発展する。
<追悼特集>
『貸本マンガ史研究 no.13 追悼・桜井昌一』シナプス(2003/08)
----2003年4月に逝去した東考社社長・桜井昌一氏を一号丸ごと使って追悼した特集号。水木サンの談話をはじめ、人柄が偲ばれる豪華メンバーの追悼文、論考、年譜、対談再録、小写真集、東考社出版物リストなど充実した内容。水木サンが関係する記事も多く、次の通り。
三宅秀典 「貸本マンガ末期の苦闘と栄光 東考社と貸本マンガ」
池上遼一 「桜井さんを想う」
伊藤徹 「桜井さんの思い出」
長谷川裕 「文庫版『河童の三平』のこと」
水木しげる 「私は昌一さんが好きだった」
山口芳則 「点を打つ」
つげ義春+桜井昌一・対談 「いまは夢みたい」(再録、初出は1972年)
<評伝+インタビュー>
桐山秀樹・著
「マンガ道 波瀾万丈 激白・みんなが泣いた、笑った「名作」はこうして誕生した 第23・24回 水木しげる「ゲゲゲの鬼太郎」 (上)(下)」初出:アサヒ芸能(2004/06/17~06/24)
収録:単行本未収録
----水木サン1922~2004年(水木サン0~82歳)。「鬼太郎」の話題だけではなく、実質的に「水木しげる伝」ショート・バージョンになっている。
<年譜>
平林重雄・編
「水木しげる詳細年譜 最新見出し付版 2004年12月」初出:書き下ろし
収録:水木しげる 『完全版 マンガ水木しげる伝(下)戦後編』 講談社漫画文庫(2005/01)
----1922~2004年(水木サン0~82歳)。今のところ、これが年譜の決定版(おそらく未発表で日々アップデートされているはず)。経歴から発表作品、出版物、イベント、関連グッズ、テレビ化/出演、旅行までを網羅した特濃年譜。字が細かい上に、一年分改行もなく、誤字・脱字も多い(おそらく校正を放棄している)ため、きわめて見にくいが、そういった欠点は全く気にならない(「私には」ってことで、同意してくれなくてもいいです)。水木情報の宝庫。快挙です。
<伊藤徹のエッセイ>
伊藤徹・著
「水木しげるに魅せられて四〇年」初出:ユリイカ(2005/09)特集・水木しげる
収録:単行本未収録
----1971~90年(水木サン49~68歳)。ディープな水木ファンで現在は古書店・籠目舎店主、画期的な水木本を多数自費出版もしている伊藤徹(水木サンは「イトーテツ」と呼ぶ)が、『水木しげる作品リスト』や『水木しげる画業四〇周年』を作成した際の思い出を中心に語る。
<弟さんのエッセイ>
武良幸夫・著
「武蔵野美大のころ」初出:ユリイカ(2005/09)特集・水木しげる
収録:単行本未収録
----1947~50年(水木サン25~28歳)。弟さんで水木プロ・マネージャーの幸夫さんが、水木サン帰国後に東京で共に過ごした日々を回想。月島で魚屋、吉祥寺に住み輪タク・オーナーと美大、募金の旅、神戸の水木荘まで。
<奥さんの自伝>
武良布枝・著、五十嵐佳子・編集協力
『ゲゲゲの女房』初出:書き下ろし
実業之日本社(2008/03)
----1960~2007年(水木サン38~85歳)。これが連続ドラマ、映画原作の柱になる。既存の自伝では取り上げられなかったエピソードや意外な新発見もあり、「水木伝」に新たな一石を投じた画期的な作品。それにしても奥さんの水木サンへの信頼には頭が下がります。感動作です。
<娘さんのエッセイ>
水木悦子・著
『お父ちゃんと私 父・水木しげるとのゲゲゲな日常』初出:ようかいどうかわらばん(2003~)
やのまん(2008/03)
----1976年頃~2007年(水木サン54歳頃~85歳)。次女・悦子さんのエッセイ。水木マンガのキャラクターとしてもよく登場している。近年の水木サンの日常が中心。
<関連記事>
水木悦子+赤塚りえ子+手塚るみ子・談
「おやじの話、しちゃおうか」初出:朝日新聞(2008/07/06)
収録:単行本未収録
----水木しげる、赤塚不二雄、手塚治虫とマンガ界の三巨匠の娘さんたちがそれぞれの父を語る。
===========================================
(追記)@2009/06/04
呉智英「「水木話」総集編」の書誌を修正し、関連エッセイを追加した。
2009年5月27日水曜日
朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(7) エッセイ集・評伝など-1
本エントリーは
stod phyogs 2009年5月27日水曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(7) エッセイ集・評伝など-1
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 エッセイ集 】
エッセイ/インタビュー/対談類については、これまで挙げたものは、自伝的内容を含み、かつまとまった分量のもの、あるいは短編でも重要なもの、だけでしたが、他にも断片的に自伝的内容を含んだエッセイ類が大量にあります。そのような作品を含んだエッセイ集を挙げておきます。
『水木しげるの不思議旅行』 サンケイ出版(1978/09)ほか-(注1)
『妖怪天国』 筑摩書房(1992/04)/ちくま文庫(1996/07)
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/8)
『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)-(注2)
『なまけものになりたい』 河出文庫(2003/06)-(注2)
(注1)
『水木しげるの不思議旅行』は、その後
『不思議旅行』 中公文庫(1984/07)
『妖怪不思議話』 扶桑社文庫(1995/07)
『怪感旅行』 中公文庫(2001/07)
と改題の上再版され続けている。挿絵などが異なるが文章は同一内容。
(注2)
『妖怪になりたい』と『なまけものになりたい』は、『カランコロン』よりの抜粋が中心だが、独自の収録作品もある。
さらに、単行本未収録のエッセイ/インタビュー/対談類となると想像を絶する数にのぼります。自伝系の記事では、当然ダブリだらけとなりますが、記者・編集者は不思議とその同じ話を好んで聞きたがるようです。そこはやはり水木サンの語り口の魅力なのでしょう。また、水木サンの人生自体が商品として超一級品である証拠。
------------------------------------------
【 評伝など-1 】
自伝では、サービス精神で奇人としての側面を強調し、自分をオーバーにおもしろおかしく表現する水木サンですが、他人による評伝類ではやさしさや神経質さなど、意外な側面も紹介されています。特に奥さんによるインタビューや自伝では、家族思いの面が強調されており、深みのある人柄が新たに掘り起こされています。
<つげ義春のエッセイ>
つげ義春・著
「犯罪・空腹・宗教」初出:書き下ろし
収録:つげ義春 『つげ義春初期短篇集』 幻燈社(1969/08)
再録:
つげ義春 『つげ義春とぼく』 晶文社(1977/06)
つげ義春 『新版 つげ義春とぼく』 新潮文庫(1992/06)
----1960~69年(水木サン38~47歳)。つげ義春が貸本マンガ末期(1960年代前半)の一番苦しかった時代を回想する。三洋社で水木サンとはじめて会った話(会話なし)~ガロ/水木プロ時代の話題も。
(追加@2009/05/31)
<桜井昌一の自伝>
桜井昌一・著
『ぼくは劇画の仕掛人だった』初出:前半(上巻)ガロ(1971/11~1972/12)/後半(下巻) 書き下ろし
エイプリル・ミュージック(1978)
(上・下)東考社・桜井文庫 no.36/41(1985/06)
----1961~66年(水木サン38~44歳)。辰巳ヨシヒロの兄であり、劇画作家であり、貸本版元・東考社社長でもある桜井昌一(メガネ出っ歯のモデル)による自伝。下巻「劇画人列伝」の中に「水木しげる」の一節が設けられており、東考社から水木本を出していた頃の思い出を中心に語られている。
<加太こうじの回想記>
加太こうじ・著
『紙芝居昭和史』初出:書き下ろし
サンケイ出版(1971)
旺文社文庫(1979/10)
岩波現代文庫(2004/08)
----1950~59年(水木サン28~37歳)。紙芝居の父と言っていい加太こうじ(後に評論家に転身)が、紙芝居の勃興から衰退までを克明につづった回想記であり研究書。「画家群往来」という章で、凡天太郎、水木しげる、白土三平、小島剛夕など紙芝居出身のマンガ家を紹介。水木サンについては、鈴木勝丸師匠がらみでごくあっさり語られている。なお、水木サンの本格的なマンガデビュー作『ロケットマン』の表紙は加太の絵。
<つげ義春+桜井昌一の対談>
つげ義春+桜井昌一・談、権藤晋・司会
「いまは夢みたい・・・」初出:漫画主義 no.10(1972/09)
再録:貸本マンガ史研究 no.13(2003/08)追悼・桜井昌一
----1965~66年(水木サン43~44歳)。主につげの貸本時代の苦労話が中心だが、水木サンとのはじめての会話~アシスタントとなった経緯についても語っている。
(追加@2009/05/31)
<加太こうじのエッセイ>
加太こうじ・著
「水木しげるの紙芝居時代 生きていればなんとかなる」初出:『別冊新評 水木しげるの世界』(1980/10)
収録:単行本未収録
----1950~59年(水木サン28~37歳)。水木サンが神戸で紙芝居作家をしていた頃を加太こうじが回想。『紙芝居昭和史』よりも具体的で、水木サンの奇人ぶりがよく伝わってくる。紙芝居時代を伝える証言は、他には水木サン自身のものしかないので貴重な資料。
<関連エッセイ>
水木しげる・著
「わがライバル物語 正義の人・加太こうじ」初出:潮(1975/02)
収録:単行本未収録
<年譜>
呉智英・編
「水木しげる年譜」初出:『別冊新評 水木しげるの世界』(1980/10)
収録:単行本未収録
---- 1922~80年(水木サン0~58歳)。この手の年譜では最も初期のもの。後に編まれる年譜の基礎となった画期的な作品。
<つげ義春のエッセイ>
つげ義春・著
「蒸発旅日記」初出:夜行 no.10(1981/06)
収録:つげ義春 『貧困旅行記』 晶文社(1991/09)/新潮文庫(1995/04)
----1968年(水木サン46歳)。文中に水木サンや水木プロ一同はいっさい現れないが、「ドブ川に死す」や『ねぼけ人生』で描かれている1968年9月の「つげ義春蒸発事件」の真相(どこで何をしていたのか)が赤裸々に語られている。
(追加@2009/05/31)
<長井勝一の自伝>
長井勝一・著
『ガロ編集長 私の戦後マンガ出版史』初出:書き下ろし
筑摩書房(1982/04)
ちくま文庫(1987/09)
----1960~66年(水木サン38~44歳)頃。三洋社で『鬼太郎夜話』を出した頃、ガロ創刊時の頃の水木サンを語る。
<佐藤まさあきの自伝>
佐藤まさあき・著
『劇画私史三十年』初出:書き下ろし
東考社・桜井文庫 no.33(1984/05)
----1964年(水木サン42歳)。出版も手がけていた佐藤プロで水木作品を出していた頃、佐藤プロを訪れた水木サンの奇人ぶりに驚く佐藤氏。
<加太こうじのエッセイ>
加太こうじ・著
「日本画人伝(12) 白土三平・水木しげる」初出:思想の科学 no.106(1988/08)
収録:単行本未収録?
----1922~88年(水木サン0~66歳)。水木サンの半生をたどる「小水木伝」になっているが、やはり紙芝居時代の話題が詳しい。伊藤正美の紙芝居「ハカバキタロー」が「ゲゲゲの鬼太郎」になるまでについても言及がある。
(追加@2009/06/04)
<夫婦インタビュー>
聞き手・石子順
「水木しげる・武良布枝 世界の妖怪と話ができる」初出:中日新聞(1989)
収録:石子順 『漫画家夫婦33景 愛と創作の心に残る話』 本の泉社(1998/07)
----1960~89年(水木サン38~67歳)。わずか5ページだが、布枝さんにスポットが当たった最も初期の記事かもしれない。
<インタビューと評伝>
加太こうじ・著
「加太こうじのよもやま話 "あの人この人" 妖怪の友 水木しげる」初出:アプロード(1990/02)
収録:単行本未収録
----1943~65年(水木サン21~43歳)。戦中~戦後の苦労時代についてのインタビューだが、聞き手が加太氏なので当然紙芝居時代の話が中心。紙芝居仲間・貸本仲間の消息や、「忍法秘話」製作現場の様子など貴重な話も。
<南伸坊+呉智英の対談>
南伸坊+呉智英・談
「新春爆笑対談 水木しげるの偉大なる魅力」初出:ガロ(1993/01)水木しげる特集2
収録:単行本未収録
----1950~92年(水木サン28~69歳)。南伸坊はガロの編集者として、呉智英は水木サンの資料整理係として、古いつき合いがある。水木サンの爆笑エピソードには、この二人が最高の語り部。対談を文字にすると(笑)(大爆笑)(笑い止まらず)の文字が並ぶことになる。
<権藤晋の回想記>
権藤晋・著
『「ガロ」を築いた人々 マンガ30年私史』初出:書き下ろし
ほるぷ出版(1993/04)
----1960~66年(水木サン38~44歳)。ガロ初期の編集者であり北冬書房社長・権藤晋(高野慎三)が、ガロ創生期の作家たちを語る。「水木しげる豪快さと小心さがないまぜに」が水木サンの章。「小心さ」エピソードなどは水木サンの自伝では語られない意外な一面。他にも水木サンのアシスタントだったつげ義春、池上遼一、鈴木翁二、古川益三らのエピソードも。
<再録>
高野慎三 『つげ義春1968』 ちくま文庫(2002/09)
----「水木しげる豪快さと小心さがないまぜに」を「水木しげるとつげ義春」と改題・加筆・修正の上再録。
<つげ義春の自作品解説>
つげ義春+権藤晋・談
『つげ義春漫画術(下)』初出:語り下ろし
ワイズ出版(1993/06)
----1966~72年(水木サン44~50歳)。マンガ自作品すべてを作者自身が語ってしまう、という空前絶後の企画。つげが水木プロ所属~手伝いをしていた6年間は、アシスタント業で多忙にも関わらず、自作品でも歴史に残る傑作を連発した奇跡の時代だった。水木プロでの日常と共に、当時の創作の秘密が明かされている。なお、つげがほとんど作品を発表していない1968年後半~1972年は水木プロの仕事が特に忙しかった時期で、水木作品中「つげ絵」(特に人物画)の比率がきわめて高い(『悪魔くん千年王国』、『近藤勇』、『総員玉砕せよ』など)。
(追加@2009/05/31)
<矢口高雄の自伝>
矢口高雄・著
『夢の積立しませんか ボクの銀行員日記』初出:書き下ろし
中央公論社(1994/11)
----1967年(水木サン45歳)。まだ銀行員だった矢口高雄が青林堂を訪問した際水木プロも見学し、水木サンはじめ、つげ義春、池上遼一らにアドバイスを受ける。『ねぼけ人生』や『昭和史』には「アシスタント志望だったが断った」とあり、本書の記述とは異なるが、より詳しい事情を伝える本書の方が正確なのだろう、と思う。矢口氏は水木サンほどではないが、自伝好きマンガ家の一人でもある。
<矢口高雄の自伝マンガ)>
矢口高雄・著
『9で割れ!!』初出:小説中公(1993/06~1995/12)/週刊少年マガジン増刊 平成版・釣りキチ三平(2001/09~2004/06)
1~4巻(未完):中央公論社コミック・スーリ(1994/08~1996/03)
全4巻(完結):講談社漫画文庫(2005/03~2006/09)
----『夢の積立・・・』のマンガ版。水木プロ訪問のエピソードがマンガでも描かれている(FILE23「鬼太郎のアドバイス」-文庫版4巻収録)。水木サン側から見た同エピソード(『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』)と比較してみるとおもしろい。
<松田哲夫の自伝>
松田哲夫・著
『編集狂時代』初出:書き下ろし
本の雑誌社(1994/12)
新潮文庫(2004/05)
----1965~94年(水木サン43~72歳)。現・筑摩書房専務・松田哲夫の自伝。ガロの編集手伝い時代、鬼太郎原作を書いた頃、筑摩書房で水木本のヒットを出した頃など、水木サンとはつき合いの深い松田氏ならではの話題満載。
<評伝>
足立倫行・著
『妖怪と歩く 評伝・水木しげる』初出:書き下ろし
文藝春秋(1994/10)
文春文庫(1997/09)
----1922~94年(水木サン0~72歳)。本人、家族、関係者に広く深く取材。旅行などにも同行し、自伝では表現しきれない外から見た水木像を描き出す。水木世界の巨大さを一層浮き彫りとすることに成功した評伝の傑作。
===========================================
(追記)@2009/05/31
つげ義春 「犯罪・空腹・宗教」、「今は夢みたい・・・」、「蒸発旅日記」、『つげ義春漫画術(下)』を追加した。
(追記)@2009/06/04
加太こうじ「日本画人伝」を追加した。
stod phyogs 2009年5月27日水曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(7) エッセイ集・評伝など-1
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 エッセイ集 】
エッセイ/インタビュー/対談類については、これまで挙げたものは、自伝的内容を含み、かつまとまった分量のもの、あるいは短編でも重要なもの、だけでしたが、他にも断片的に自伝的内容を含んだエッセイ類が大量にあります。そのような作品を含んだエッセイ集を挙げておきます。
『水木しげるの不思議旅行』 サンケイ出版(1978/09)ほか-(注1)
『妖怪天国』 筑摩書房(1992/04)/ちくま文庫(1996/07)
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/8)
『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)-(注2)
『なまけものになりたい』 河出文庫(2003/06)-(注2)
(注1)
『水木しげるの不思議旅行』は、その後
『不思議旅行』 中公文庫(1984/07)
『妖怪不思議話』 扶桑社文庫(1995/07)
『怪感旅行』 中公文庫(2001/07)
と改題の上再版され続けている。挿絵などが異なるが文章は同一内容。
(注2)
『妖怪になりたい』と『なまけものになりたい』は、『カランコロン』よりの抜粋が中心だが、独自の収録作品もある。
さらに、単行本未収録のエッセイ/インタビュー/対談類となると想像を絶する数にのぼります。自伝系の記事では、当然ダブリだらけとなりますが、記者・編集者は不思議とその同じ話を好んで聞きたがるようです。そこはやはり水木サンの語り口の魅力なのでしょう。また、水木サンの人生自体が商品として超一級品である証拠。
------------------------------------------
【 評伝など-1 】
自伝では、サービス精神で奇人としての側面を強調し、自分をオーバーにおもしろおかしく表現する水木サンですが、他人による評伝類ではやさしさや神経質さなど、意外な側面も紹介されています。特に奥さんによるインタビューや自伝では、家族思いの面が強調されており、深みのある人柄が新たに掘り起こされています。
<つげ義春のエッセイ>
つげ義春・著
「犯罪・空腹・宗教」初出:書き下ろし
収録:つげ義春 『つげ義春初期短篇集』 幻燈社(1969/08)
再録:
つげ義春 『つげ義春とぼく』 晶文社(1977/06)
つげ義春 『新版 つげ義春とぼく』 新潮文庫(1992/06)
----1960~69年(水木サン38~47歳)。つげ義春が貸本マンガ末期(1960年代前半)の一番苦しかった時代を回想する。三洋社で水木サンとはじめて会った話(会話なし)~ガロ/水木プロ時代の話題も。
(追加@2009/05/31)
<桜井昌一の自伝>
桜井昌一・著
『ぼくは劇画の仕掛人だった』初出:前半(上巻)ガロ(1971/11~1972/12)/後半(下巻) 書き下ろし
エイプリル・ミュージック(1978)
(上・下)東考社・桜井文庫 no.36/41(1985/06)
----1961~66年(水木サン38~44歳)。辰巳ヨシヒロの兄であり、劇画作家であり、貸本版元・東考社社長でもある桜井昌一(メガネ出っ歯のモデル)による自伝。下巻「劇画人列伝」の中に「水木しげる」の一節が設けられており、東考社から水木本を出していた頃の思い出を中心に語られている。
<加太こうじの回想記>
加太こうじ・著
『紙芝居昭和史』初出:書き下ろし
サンケイ出版(1971)
旺文社文庫(1979/10)
岩波現代文庫(2004/08)
----1950~59年(水木サン28~37歳)。紙芝居の父と言っていい加太こうじ(後に評論家に転身)が、紙芝居の勃興から衰退までを克明につづった回想記であり研究書。「画家群往来」という章で、凡天太郎、水木しげる、白土三平、小島剛夕など紙芝居出身のマンガ家を紹介。水木サンについては、鈴木勝丸師匠がらみでごくあっさり語られている。なお、水木サンの本格的なマンガデビュー作『ロケットマン』の表紙は加太の絵。
<つげ義春+桜井昌一の対談>
つげ義春+桜井昌一・談、権藤晋・司会
「いまは夢みたい・・・」初出:漫画主義 no.10(1972/09)
再録:貸本マンガ史研究 no.13(2003/08)追悼・桜井昌一
----1965~66年(水木サン43~44歳)。主につげの貸本時代の苦労話が中心だが、水木サンとのはじめての会話~アシスタントとなった経緯についても語っている。
(追加@2009/05/31)
<加太こうじのエッセイ>
加太こうじ・著
「水木しげるの紙芝居時代 生きていればなんとかなる」初出:『別冊新評 水木しげるの世界』(1980/10)
収録:単行本未収録
----1950~59年(水木サン28~37歳)。水木サンが神戸で紙芝居作家をしていた頃を加太こうじが回想。『紙芝居昭和史』よりも具体的で、水木サンの奇人ぶりがよく伝わってくる。紙芝居時代を伝える証言は、他には水木サン自身のものしかないので貴重な資料。
<関連エッセイ>
水木しげる・著
「わがライバル物語 正義の人・加太こうじ」初出:潮(1975/02)
収録:単行本未収録
<年譜>
呉智英・編
「水木しげる年譜」初出:『別冊新評 水木しげるの世界』(1980/10)
収録:単行本未収録
---- 1922~80年(水木サン0~58歳)。この手の年譜では最も初期のもの。後に編まれる年譜の基礎となった画期的な作品。
<つげ義春のエッセイ>
つげ義春・著
「蒸発旅日記」初出:夜行 no.10(1981/06)
収録:つげ義春 『貧困旅行記』 晶文社(1991/09)/新潮文庫(1995/04)
----1968年(水木サン46歳)。文中に水木サンや水木プロ一同はいっさい現れないが、「ドブ川に死す」や『ねぼけ人生』で描かれている1968年9月の「つげ義春蒸発事件」の真相(どこで何をしていたのか)が赤裸々に語られている。
(追加@2009/05/31)
<長井勝一の自伝>
長井勝一・著
『ガロ編集長 私の戦後マンガ出版史』初出:書き下ろし
筑摩書房(1982/04)
ちくま文庫(1987/09)
----1960~66年(水木サン38~44歳)頃。三洋社で『鬼太郎夜話』を出した頃、ガロ創刊時の頃の水木サンを語る。
<佐藤まさあきの自伝>
佐藤まさあき・著
『劇画私史三十年』初出:書き下ろし
東考社・桜井文庫 no.33(1984/05)
----1964年(水木サン42歳)。出版も手がけていた佐藤プロで水木作品を出していた頃、佐藤プロを訪れた水木サンの奇人ぶりに驚く佐藤氏。
<加太こうじのエッセイ>
加太こうじ・著
「日本画人伝(12) 白土三平・水木しげる」初出:思想の科学 no.106(1988/08)
収録:単行本未収録?
----1922~88年(水木サン0~66歳)。水木サンの半生をたどる「小水木伝」になっているが、やはり紙芝居時代の話題が詳しい。伊藤正美の紙芝居「ハカバキタロー」が「ゲゲゲの鬼太郎」になるまでについても言及がある。
(追加@2009/06/04)
<夫婦インタビュー>
聞き手・石子順
「水木しげる・武良布枝 世界の妖怪と話ができる」初出:中日新聞(1989)
収録:石子順 『漫画家夫婦33景 愛と創作の心に残る話』 本の泉社(1998/07)
----1960~89年(水木サン38~67歳)。わずか5ページだが、布枝さんにスポットが当たった最も初期の記事かもしれない。
<インタビューと評伝>
加太こうじ・著
「加太こうじのよもやま話 "あの人この人" 妖怪の友 水木しげる」初出:アプロード(1990/02)
収録:単行本未収録
----1943~65年(水木サン21~43歳)。戦中~戦後の苦労時代についてのインタビューだが、聞き手が加太氏なので当然紙芝居時代の話が中心。紙芝居仲間・貸本仲間の消息や、「忍法秘話」製作現場の様子など貴重な話も。
<南伸坊+呉智英の対談>
南伸坊+呉智英・談
「新春爆笑対談 水木しげるの偉大なる魅力」初出:ガロ(1993/01)水木しげる特集2
収録:単行本未収録
----1950~92年(水木サン28~69歳)。南伸坊はガロの編集者として、呉智英は水木サンの資料整理係として、古いつき合いがある。水木サンの爆笑エピソードには、この二人が最高の語り部。対談を文字にすると(笑)(大爆笑)(笑い止まらず)の文字が並ぶことになる。
<権藤晋の回想記>
権藤晋・著
『「ガロ」を築いた人々 マンガ30年私史』初出:書き下ろし
ほるぷ出版(1993/04)
----1960~66年(水木サン38~44歳)。ガロ初期の編集者であり北冬書房社長・権藤晋(高野慎三)が、ガロ創生期の作家たちを語る。「水木しげる豪快さと小心さがないまぜに」が水木サンの章。「小心さ」エピソードなどは水木サンの自伝では語られない意外な一面。他にも水木サンのアシスタントだったつげ義春、池上遼一、鈴木翁二、古川益三らのエピソードも。
<再録>
高野慎三 『つげ義春1968』 ちくま文庫(2002/09)
----「水木しげる豪快さと小心さがないまぜに」を「水木しげるとつげ義春」と改題・加筆・修正の上再録。
<つげ義春の自作品解説>
つげ義春+権藤晋・談
『つげ義春漫画術(下)』初出:語り下ろし
ワイズ出版(1993/06)
----1966~72年(水木サン44~50歳)。マンガ自作品すべてを作者自身が語ってしまう、という空前絶後の企画。つげが水木プロ所属~手伝いをしていた6年間は、アシスタント業で多忙にも関わらず、自作品でも歴史に残る傑作を連発した奇跡の時代だった。水木プロでの日常と共に、当時の創作の秘密が明かされている。なお、つげがほとんど作品を発表していない1968年後半~1972年は水木プロの仕事が特に忙しかった時期で、水木作品中「つげ絵」(特に人物画)の比率がきわめて高い(『悪魔くん千年王国』、『近藤勇』、『総員玉砕せよ』など)。
(追加@2009/05/31)
<矢口高雄の自伝>
矢口高雄・著
『夢の積立しませんか ボクの銀行員日記』初出:書き下ろし
中央公論社(1994/11)
----1967年(水木サン45歳)。まだ銀行員だった矢口高雄が青林堂を訪問した際水木プロも見学し、水木サンはじめ、つげ義春、池上遼一らにアドバイスを受ける。『ねぼけ人生』や『昭和史』には「アシスタント志望だったが断った」とあり、本書の記述とは異なるが、より詳しい事情を伝える本書の方が正確なのだろう、と思う。矢口氏は水木サンほどではないが、自伝好きマンガ家の一人でもある。
<矢口高雄の自伝マンガ)>
矢口高雄・著
『9で割れ!!』初出:小説中公(1993/06~1995/12)/週刊少年マガジン増刊 平成版・釣りキチ三平(2001/09~2004/06)
1~4巻(未完):中央公論社コミック・スーリ(1994/08~1996/03)
全4巻(完結):講談社漫画文庫(2005/03~2006/09)
----『夢の積立・・・』のマンガ版。水木プロ訪問のエピソードがマンガでも描かれている(FILE23「鬼太郎のアドバイス」-文庫版4巻収録)。水木サン側から見た同エピソード(『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』)と比較してみるとおもしろい。
<松田哲夫の自伝>
松田哲夫・著
『編集狂時代』初出:書き下ろし
本の雑誌社(1994/12)
新潮文庫(2004/05)
----1965~94年(水木サン43~72歳)。現・筑摩書房専務・松田哲夫の自伝。ガロの編集手伝い時代、鬼太郎原作を書いた頃、筑摩書房で水木本のヒットを出した頃など、水木サンとはつき合いの深い松田氏ならではの話題満載。
<評伝>
足立倫行・著
『妖怪と歩く 評伝・水木しげる』初出:書き下ろし
文藝春秋(1994/10)
文春文庫(1997/09)
----1922~94年(水木サン0~72歳)。本人、家族、関係者に広く深く取材。旅行などにも同行し、自伝では表現しきれない外から見た水木像を描き出す。水木世界の巨大さを一層浮き彫りとすることに成功した評伝の傑作。
===========================================
(追記)@2009/05/31
つげ義春 「犯罪・空腹・宗教」、「今は夢みたい・・・」、「蒸発旅日記」、『つげ義春漫画術(下)』を追加した。
(追記)@2009/06/04
加太こうじ「日本画人伝」を追加した。
2009年5月23日土曜日
朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(6) 雑誌デビュー以降
本エントリーは
stod phyogs 2009年5月23日土曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(6) 雑誌デビュー以降
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 雑誌デビュー以降 】
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン おかま」初出:ビッグコミック(1969/06/10)
収録:『魔女モンロー 妖しのマリリン・モンロー』 桃園書房トーエンコミックス(1976/10)
----1969年(47歳)頃?。気ままな生活をする自由人、縄文集団の加山の話を聞くうちに、刺激を求めてオカマ・バーに行った水木サンだったが・・・。加山のモデルは実際いたらしいが、オカマ云々のエピソードはフィクションくさい。「魔女モンロー」や「鬼太郎太古の秘密」などと共にエロ要素が強いせいか、一度しか単行本に収録されたことのないレア作品。
<関連エッセイ>
「奇人・変人」初出:月刊小説(1977~78のいつか)
収録:『水木しげるの不思議話』 サンケイ出版(1978/09)ほか
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 残暑」初出:ビッグコミック(1969/09/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1969年(47歳)頃。週刊連載一本・月刊連載三本かかえ、ネタ出しに苦しんでいた頃。編集者にネームを急かされ、夜の町を自転車でさまよいつつネタを絞り出そうとするが・・・。当時はネタに苦しみ、そのせいで自伝的作品が増えていったのかもしれない。
<短編マンガ>
「招かれた三人」初出:COM(1971/12)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる短編傑作集・不思議編 死女の手』 朝日ソノラマ・サンワイドコミックス(1985/07)
『水木しげる不思議な世界(3) 死神の招き』 講談社KCスペシャル(1987/03)
----1971年(49歳)。戦友二人(人名は変えてある)と再会し、三人で26年振りにニューブリテン島の戦場跡を再訪。夢に戦死者の霊が現れ・・・。後半はフィクション。前半は蝶のエピソード(名場面です)を加えた上で、『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。実体験に基づいた作品かと思えるが、もしかすると実際の旅行前にすでに書いてあったのかも?(旅行は71年12月で、作品発表が71年12月号という点が謎)。
<短編マンガ>
「ドブ川に死す」初出:コミックVan(1973/07/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(8) ボヤ鬼』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981)
『水木しげる不思議な世界(4) 円盤同乗記』 講談社KCスペシャル(1987/04)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1968年(46歳)。無神経なアシスタント「T」の行動に、水木サンや他のアシスタントたちは振り回される。結末を含めてほぼ実話らしい。長井勝一、池上遼一、佐藤まさあきの著作にも、彼についての記述がある。前半は、『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<中編マンガ>
「漫画狂の詩 池上遼一伝」初出:週刊少年サンデー増刊(1975/06/20)
収録:『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
----1966年(44歳)~1968年(46歳)。当時アシスタントをしていた池上遼一の上京、アシスタント生活、デビューまでを、他のアシスタントたちの行動と共に描く。一度しか単行本に収録されたことがないレア作品。
<関連エッセイ>
「池上青年のこと」初出:ガロ(1970/05)増刊
収録:
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)
<短編マンガ>
「妖怪博士の朝食 不思議シリーズ 姥捨株式会社」初出:ビッグゴールド(1993/05)
収録:
『妖怪博士の朝食(1) 不思議シリーズ(上)』 小学館ビッグゴールドコミックス(1994/02)
『妖怪博士の朝食(1)』 小学館文庫(2001/12)
----1983年(61歳)頃~1993年(71歳)。猛母・琴江に振り回される水木サン一族。後半はフィクション。もっとも前半もかなり誇張されていると思うが。一部『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<短編マンガ>
「妖怪博士の朝食 妖怪変化シリーズ 幽霊」初出:ビッグゴールド(1994/08)
収録:
『妖怪博士の朝食(3) 妖怪変化シリーズ(上)』 小学館・ビッグゴールドコミックス(1995/01)
『妖怪博士の朝食(2)』 小学館文庫(2001/12)
----1994年(72歳)。4月に母・琴江が死去。鳥取の田舎で葬式を営むが、そこに母の霊が現れて一同てんてこ舞い。冒頭以外はほとんどフィクションだが、それにしても親の葬式まですぐさまネタにしてしまう貪欲さに脱帽。もっとも94歳の大往生だったからこそ、こういうネタにできるのかもしれないが。『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<短編マンガ>
「トペトロの葬式」初出:ビッグゴールド(1994/10)
収録:
『妖怪博士の朝食(4) 妖怪変化シリーズ(下)』 小学館ビッグゴールドコミックス(1995/10)
『妖怪博士の朝食(1)』 小学館文庫(2001/12)
----1992年(70歳)~1994年(72歳)。トペトロの死から二年後、予定通り葬式に参列しに行ってみると、何も準備されておらず、水木サンが葬式を主催する羽目に・・・。『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<関連旅行記>
「水木しげるの戦争メモリアル 49年目のお別れ」初出:ビッグゴールド(1994/10)
収録:単行本未収録
----写真とルポでトペトロの葬式を報告。
<関連グラビア+旅行記>
水木しげる・絵と文、松久保晃作・写真
「水木しげるの南方葬祭」初出:アサヒグラフ(1994/11/18)
収録:単行本未収録
<長編エッセイ>
『ラバウル従軍後記 トペトロとの50年』初出:書き下ろし
扶桑社(1995/07)
中公文庫(2002/07)
----1943年(21歳)~1994年(72歳)。戦時中ニューブリテン島でのトペトロたちとの出会い、戦後26年目の再訪・再会、その後繰り返される訪問、トペトロの死と二年後の葬式主催まで、トペトロたちとの交流話を総決算する。他に、終戦直後描いた絵も多数収録されておりこちらも貴重かつ傑作。
<関連インタビュー>
片山一弘・構成
「手紙の中の日本人 水木しげるへ、熱帯の友トペトロの訃報 「どうかラバウルに来て父の墓を訪ねてください」」初出:Yomiuri Weekly(2003/11/02)
収録:単行本未収録
<対談>
「あとがき対談 「鬼太郎」連載時の水木プロのこと 願望は「無為に過ごす」 水木しげる×池上遼一」初出:語り下ろし
収録:『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
----1966年(44歳)~1968年(46歳)。当時アシスタントだった池上遼一と、忙しかった頃の思い出や、つげ義春をはじめとする他のアシスタントたちなどを語る。
stod phyogs 2009年5月23日土曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(6) 雑誌デビュー以降
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 雑誌デビュー以降 】
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン おかま」初出:ビッグコミック(1969/06/10)
収録:『魔女モンロー 妖しのマリリン・モンロー』 桃園書房トーエンコミックス(1976/10)
----1969年(47歳)頃?。気ままな生活をする自由人、縄文集団の加山の話を聞くうちに、刺激を求めてオカマ・バーに行った水木サンだったが・・・。加山のモデルは実際いたらしいが、オカマ云々のエピソードはフィクションくさい。「魔女モンロー」や「鬼太郎太古の秘密」などと共にエロ要素が強いせいか、一度しか単行本に収録されたことのないレア作品。
<関連エッセイ>
「奇人・変人」初出:月刊小説(1977~78のいつか)
収録:『水木しげるの不思議話』 サンケイ出版(1978/09)ほか
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 残暑」初出:ビッグコミック(1969/09/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1969年(47歳)頃。週刊連載一本・月刊連載三本かかえ、ネタ出しに苦しんでいた頃。編集者にネームを急かされ、夜の町を自転車でさまよいつつネタを絞り出そうとするが・・・。当時はネタに苦しみ、そのせいで自伝的作品が増えていったのかもしれない。
<短編マンガ>
「招かれた三人」初出:COM(1971/12)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる短編傑作集・不思議編 死女の手』 朝日ソノラマ・サンワイドコミックス(1985/07)
『水木しげる不思議な世界(3) 死神の招き』 講談社KCスペシャル(1987/03)
----1971年(49歳)。戦友二人(人名は変えてある)と再会し、三人で26年振りにニューブリテン島の戦場跡を再訪。夢に戦死者の霊が現れ・・・。後半はフィクション。前半は蝶のエピソード(名場面です)を加えた上で、『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。実体験に基づいた作品かと思えるが、もしかすると実際の旅行前にすでに書いてあったのかも?(旅行は71年12月で、作品発表が71年12月号という点が謎)。
<短編マンガ>
「ドブ川に死す」初出:コミックVan(1973/07/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(8) ボヤ鬼』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981)
『水木しげる不思議な世界(4) 円盤同乗記』 講談社KCスペシャル(1987/04)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1968年(46歳)。無神経なアシスタント「T」の行動に、水木サンや他のアシスタントたちは振り回される。結末を含めてほぼ実話らしい。長井勝一、池上遼一、佐藤まさあきの著作にも、彼についての記述がある。前半は、『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<中編マンガ>
「漫画狂の詩 池上遼一伝」初出:週刊少年サンデー増刊(1975/06/20)
収録:『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
----1966年(44歳)~1968年(46歳)。当時アシスタントをしていた池上遼一の上京、アシスタント生活、デビューまでを、他のアシスタントたちの行動と共に描く。一度しか単行本に収録されたことがないレア作品。
<関連エッセイ>
「池上青年のこと」初出:ガロ(1970/05)増刊
収録:
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)
<短編マンガ>
「妖怪博士の朝食 不思議シリーズ 姥捨株式会社」初出:ビッグゴールド(1993/05)
収録:
『妖怪博士の朝食(1) 不思議シリーズ(上)』 小学館ビッグゴールドコミックス(1994/02)
『妖怪博士の朝食(1)』 小学館文庫(2001/12)
----1983年(61歳)頃~1993年(71歳)。猛母・琴江に振り回される水木サン一族。後半はフィクション。もっとも前半もかなり誇張されていると思うが。一部『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<短編マンガ>
「妖怪博士の朝食 妖怪変化シリーズ 幽霊」初出:ビッグゴールド(1994/08)
収録:
『妖怪博士の朝食(3) 妖怪変化シリーズ(上)』 小学館・ビッグゴールドコミックス(1995/01)
『妖怪博士の朝食(2)』 小学館文庫(2001/12)
----1994年(72歳)。4月に母・琴江が死去。鳥取の田舎で葬式を営むが、そこに母の霊が現れて一同てんてこ舞い。冒頭以外はほとんどフィクションだが、それにしても親の葬式まですぐさまネタにしてしまう貪欲さに脱帽。もっとも94歳の大往生だったからこそ、こういうネタにできるのかもしれないが。『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<短編マンガ>
「トペトロの葬式」初出:ビッグゴールド(1994/10)
収録:
『妖怪博士の朝食(4) 妖怪変化シリーズ(下)』 小学館ビッグゴールドコミックス(1995/10)
『妖怪博士の朝食(1)』 小学館文庫(2001/12)
----1992年(70歳)~1994年(72歳)。トペトロの死から二年後、予定通り葬式に参列しに行ってみると、何も準備されておらず、水木サンが葬式を主催する羽目に・・・。『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<関連旅行記>
「水木しげるの戦争メモリアル 49年目のお別れ」初出:ビッグゴールド(1994/10)
収録:単行本未収録
----写真とルポでトペトロの葬式を報告。
<関連グラビア+旅行記>
水木しげる・絵と文、松久保晃作・写真
「水木しげるの南方葬祭」初出:アサヒグラフ(1994/11/18)
収録:単行本未収録
<長編エッセイ>
『ラバウル従軍後記 トペトロとの50年』初出:書き下ろし
扶桑社(1995/07)
中公文庫(2002/07)
----1943年(21歳)~1994年(72歳)。戦時中ニューブリテン島でのトペトロたちとの出会い、戦後26年目の再訪・再会、その後繰り返される訪問、トペトロの死と二年後の葬式主催まで、トペトロたちとの交流話を総決算する。他に、終戦直後描いた絵も多数収録されておりこちらも貴重かつ傑作。
<関連インタビュー>
片山一弘・構成
「手紙の中の日本人 水木しげるへ、熱帯の友トペトロの訃報 「どうかラバウルに来て父の墓を訪ねてください」」初出:Yomiuri Weekly(2003/11/02)
収録:単行本未収録
<対談>
「あとがき対談 「鬼太郎」連載時の水木プロのこと 願望は「無為に過ごす」 水木しげる×池上遼一」初出:語り下ろし
収録:『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
----1966年(44歳)~1968年(46歳)。当時アシスタントだった池上遼一と、忙しかった頃の思い出や、つげ義春をはじめとする他のアシスタントたちなどを語る。
2009年5月20日水曜日
朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(5) 紙芝居・貸本時代
本エントリーは
stod phyogs 2009年5月20日水曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(5) 紙芝居・貸本時代
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 紙芝居・貸本時代 】
このあたりから奥さんの布枝さんが登場し始めます。ドラマ、映画でも、下記の作品から引用されるエピソードも多くなることでしょう。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 机」初出:ビッグコミック(1969/04/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(8) ボヤ鬼』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981)
『水木しげる幻想怪奇(4) 地獄の水』 講談社KCスペシャル(1986/06)
----1960年(38歳)頃。マンガの収入だけでは生活が苦しいので自宅に下宿人をおいたが、その下宿人の運を左右する不思議な古机の話(ほぼ実話のようだ)。
<関連エッセイ>
(東真一郎・名義)
「ロータリー 机」初出:ガロ(1965/09)
収録:
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
『なまけものになりたい』 河出文庫(2003/06)
<関連エッセイ>
「器物に宿る霊」初出:月刊小説(1977~78のいつか)
収録:『水木しげるの不思議旅行』 サンケイ出版(1978/09)ほか
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 倒産」初出:ビッグコミック(1969/05/10)
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----1962年(40歳)。子供が生まれたのに、貸本版元が倒産し原稿料としてもらった約束手形も不渡りに。一番苦しかった時代の思い出。内容がリアルすぎるせいか単行本にもめったに収録されない作品。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 国際ギャング団」初出:ビッグコミック(1969/07/10)
収録:『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1951年(29歳)~1952年(30歳)頃。神戸で紙芝居作者のかたわらアパート経営をしていた時代の話。隣りに住む下宿人は愛想のいい男だったが・・・。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン さびしい人」初出:ビッグコミック(1969/09/10)
収録:
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
『ビッグコミックセレクション 名作短編集』 小学館ビッグコミックスペシャル(2009/03)
----1950年(28歳)~1951年(29歳)。神戸でアパート経営時代の話が再び(この話ではまだ紙芝居作者は始めていない)。いつもボンヤリしているメガネ男や景気のいい夫婦など、様々な下宿人が住んでいたが、そのメガネ男の部屋に泥棒が入り・・・。
<短編マンガ>
「突撃!悪魔くん」初出:月刊少年ジャンプ(1973/05)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる不思議な世界(4) 円盤同乗記』 講談社KCスペシャル(1987/04)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
『水木しげる』 小学館ビッグコミックススペシャル(1997/11)
『水木しげるホラー劇場』 集英社ホームリミックス(2007/06)
----1962年(40歳)~1963年(41歳)。貸本版元は倒産するわ、家は取られそうになるわ、で苦しい日々。その怒りをぶつけて生まれたのが「悪魔くん」だった。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<短編マンガ>
「街の詩人たち」初出:漫画アクション(1973/12/22)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1947年(25歳)。マンガでは昭和24年(1949年)とされているが、年譜などにより訂正。芸術家連中と共に焼ビルを占拠し、その後魚屋を始めるが・・・。実際は芸術家連ではなく傷痍軍人連だったようだ。芸術家連のモデルとなったのは、その頃通っていた美術学校の奇人たち(『トペトロとの50年』参照)や後に知り合う田辺一鶴らしい。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』で、より事実に即した形にリライトされている。
<短編マンガ>
「なめちゃん」初出:週刊プレイボーイ(1975/06/10)
収録:『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1958年(36歳)。紙芝居に見切りをつけ上京した水鬼しかばね(水木サンがモデル)は、亀戸の下宿で講談師・鍋底一角(田辺一鶴がモデル)をアシスタントに貸本マンガを描く。今でいう風俗嬢の「なめちゃん」のところに二人で行くと・・・。なめちゃん登場以降は、大半がフィクションかも?。下宿屋のオヤジさん(紙芝居の親方・小寺国松)の葬式で両人が再会した話は事実のよう(なめちゃんとの再会は?)。
<関連エッセイ>
「人脈記 屋根裏の講釈師」初出:週刊現代(1975/07/03)
収録:単行本未収録
<インタビュー>
「この妻がいたからこそ貧乏時代を乗りこえられた 水木しげる ひと山百円の腐りかけのバナナを買って女房と食べた日々」初出:婦人倶楽部(1988/03)
収録:単行本未収録
----1950年(28歳)~1965年(43歳)。紙芝居~貸本時代の貧乏生活を奥さんと共に語る。短いものだが、奥さんのインタビューもある。
<対談>
「豪放磊落対談 長井勝一VS水木しげる」初出:ガロ(1991/09)水木しげる特集号
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----1960年(38歳)~1970年(48歳)頃。三洋社~青林堂社長・長井勝一と共に、貸本マンガ~ガロ連載時代の思い出や、白土三平、つげ義春などについて語る。
<インタビュー>
聞き手・伊藤徹
「水木しげる叢書刊行記念緊急インタビュー 餓死寸前だった貸本時代」初出:ガロ(1992/06)
収録:単行本未収録
----1957年(35歳)~1965年(43歳)。貸本復刻本について語るとともに、貸本時代の思い出(主に愚痴)も。
<短編エッセイ>
「わが母校 デッサンにあけくれて将来の夢を描いていた 武蔵野美術学校」初出:週刊文春(1994/04/21)
収録:単行本未収録
----1948年(26歳)~1949年(27歳)。吉祥寺で輪タクのオーナーをやりながら、美術学校に通っていたころの思い出。といってもあまり出席しなかったので、そのころの四方山話が中心。
(追加@2009/05/21)
<短編マンガ>
「東西奇ッ怪紳士録 貸本末期の紳士たち」初出:ビッグゴールド(1996/10)
収録:
『東西奇ッ怪紳士録(壱)』 小学館ビッグコミックスゴールド(1997/05)
『東西奇ッ怪紳士録』 小学館文庫(2001/12)
----1962年(40歳)~1965年(43歳)。つゆきサブロー(吸血鬼エリートのモデル)、山田昌一(桜井昌一、メガネ出っ歯のモデル)、歌多川雅男(宇田川雅夫/政男)、上田(梅田栄太郎、ねずみ男のモデル)、黒洋万平(白土三平)、つげ義春など、奇人揃いの貸本マンガ界崩壊期の人間模様を描く。『昭和史』の一部をリライトした箇所が多い。
<インタビュー>
「水木しげる特別インタビュー 友人つゆき・サブローと兎月書房の思い出」初出:語り下ろし
収録:つゆき・サブロー 『寄生人』 太田出版QJマンガ選書(1997/10)
----1960年(38歳)~1962年(40歳)。貸本店主、映画フィルム収集家、元祖ロリコン愛好家、そしてマンガ家と、多彩な顔を持つつゆき・サブロー(別名:杉本五郎、吸血鬼エリートのモデル)との交流と、兎月書房への愚痴を語る。本書はつゆき・サブローのマンガ作品「寄生人」と「ミイラ島」を復刻したもので、表紙は水木サン画。復刻用原本も水木サンが提供した。本書にはつゆき氏の写真もあり、その姿はまさに吸血鬼エリート。本インタビューの他、つゆき氏の業績を総覧した資料・コメント群も充実している。
(追加@2009/06/04)
<インタビュー>
聞き手・中野晴行
「紙芝居の時代 水木しげる ぼくが紙芝居の絵描きだったころ」初出:大阪人(2002/09)
収録:単行本未収録
----1951年(29歳)~1957年(35歳)。紙芝居作家当時の思い出を語る。この号は「紙芝居の時代」という特集で、これ以外にも貴重な記事が多く、資料的価値がきわめて高い。
<追悼談話>
「私は昌一さんが好きだった」初出:貸本マンガ史研究 no.13(2003/08)追悼・桜井昌一
収録:単行本未収録
----1962年(40歳)頃~1965年(43歳)。2003年4月に逝去した東考社社長・桜井昌一氏を追悼。出会いから東考社で貸本マンガを出版していた頃を振り返る。ほとんどが貧乏話で、亡くなるまで不遇であった桜井氏を悼む沈痛な談話。
(追加@2009/05/31)
<短編エッセイ>
「加太こうじ 『紙芝居昭和史』 解説」初出:書き下ろし
収録:加太こうじ 『紙芝居昭和史』 岩波現代文庫(2004/08)
----1950年(28歳)~1959年(37歳)。『ねぼけ人生』などと内容は重なるが、自分の紙芝居時代の経験を書くことで解説に代えている。
===========================================
(追記)@2009/05/21
「わが母校」を追加した。
(追記)@2009/05/31
「私は昌一さんが好きだった」を追加した。
(追記)@2009/06/04
「友人つゆき・サブローと兎月書房の思い出」を追加した。
stod phyogs 2009年5月20日水曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(5) 紙芝居・貸本時代
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 紙芝居・貸本時代 】
このあたりから奥さんの布枝さんが登場し始めます。ドラマ、映画でも、下記の作品から引用されるエピソードも多くなることでしょう。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 机」初出:ビッグコミック(1969/04/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(8) ボヤ鬼』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981)
『水木しげる幻想怪奇(4) 地獄の水』 講談社KCスペシャル(1986/06)
----1960年(38歳)頃。マンガの収入だけでは生活が苦しいので自宅に下宿人をおいたが、その下宿人の運を左右する不思議な古机の話(ほぼ実話のようだ)。
<関連エッセイ>
(東真一郎・名義)
「ロータリー 机」初出:ガロ(1965/09)
収録:
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
『なまけものになりたい』 河出文庫(2003/06)
<関連エッセイ>
「器物に宿る霊」初出:月刊小説(1977~78のいつか)
収録:『水木しげるの不思議旅行』 サンケイ出版(1978/09)ほか
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 倒産」初出:ビッグコミック(1969/05/10)
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----1962年(40歳)。子供が生まれたのに、貸本版元が倒産し原稿料としてもらった約束手形も不渡りに。一番苦しかった時代の思い出。内容がリアルすぎるせいか単行本にもめったに収録されない作品。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 国際ギャング団」初出:ビッグコミック(1969/07/10)
収録:『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1951年(29歳)~1952年(30歳)頃。神戸で紙芝居作者のかたわらアパート経営をしていた時代の話。隣りに住む下宿人は愛想のいい男だったが・・・。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン さびしい人」初出:ビッグコミック(1969/09/10)
収録:
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
『ビッグコミックセレクション 名作短編集』 小学館ビッグコミックスペシャル(2009/03)
----1950年(28歳)~1951年(29歳)。神戸でアパート経営時代の話が再び(この話ではまだ紙芝居作者は始めていない)。いつもボンヤリしているメガネ男や景気のいい夫婦など、様々な下宿人が住んでいたが、そのメガネ男の部屋に泥棒が入り・・・。
<短編マンガ>
「突撃!悪魔くん」初出:月刊少年ジャンプ(1973/05)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる不思議な世界(4) 円盤同乗記』 講談社KCスペシャル(1987/04)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
『水木しげる』 小学館ビッグコミックススペシャル(1997/11)
『水木しげるホラー劇場』 集英社ホームリミックス(2007/06)
----1962年(40歳)~1963年(41歳)。貸本版元は倒産するわ、家は取られそうになるわ、で苦しい日々。その怒りをぶつけて生まれたのが「悪魔くん」だった。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。
<短編マンガ>
「街の詩人たち」初出:漫画アクション(1973/12/22)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1947年(25歳)。マンガでは昭和24年(1949年)とされているが、年譜などにより訂正。芸術家連中と共に焼ビルを占拠し、その後魚屋を始めるが・・・。実際は芸術家連ではなく傷痍軍人連だったようだ。芸術家連のモデルとなったのは、その頃通っていた美術学校の奇人たち(『トペトロとの50年』参照)や後に知り合う田辺一鶴らしい。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』で、より事実に即した形にリライトされている。
<短編マンガ>
「なめちゃん」初出:週刊プレイボーイ(1975/06/10)
収録:『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1958年(36歳)。紙芝居に見切りをつけ上京した水鬼しかばね(水木サンがモデル)は、亀戸の下宿で講談師・鍋底一角(田辺一鶴がモデル)をアシスタントに貸本マンガを描く。今でいう風俗嬢の「なめちゃん」のところに二人で行くと・・・。なめちゃん登場以降は、大半がフィクションかも?。下宿屋のオヤジさん(紙芝居の親方・小寺国松)の葬式で両人が再会した話は事実のよう(なめちゃんとの再会は?)。
<関連エッセイ>
「人脈記 屋根裏の講釈師」初出:週刊現代(1975/07/03)
収録:単行本未収録
<インタビュー>
「この妻がいたからこそ貧乏時代を乗りこえられた 水木しげる ひと山百円の腐りかけのバナナを買って女房と食べた日々」初出:婦人倶楽部(1988/03)
収録:単行本未収録
----1950年(28歳)~1965年(43歳)。紙芝居~貸本時代の貧乏生活を奥さんと共に語る。短いものだが、奥さんのインタビューもある。
<対談>
「豪放磊落対談 長井勝一VS水木しげる」初出:ガロ(1991/09)水木しげる特集号
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----1960年(38歳)~1970年(48歳)頃。三洋社~青林堂社長・長井勝一と共に、貸本マンガ~ガロ連載時代の思い出や、白土三平、つげ義春などについて語る。
<インタビュー>
聞き手・伊藤徹
「水木しげる叢書刊行記念緊急インタビュー 餓死寸前だった貸本時代」初出:ガロ(1992/06)
収録:単行本未収録
----1957年(35歳)~1965年(43歳)。貸本復刻本について語るとともに、貸本時代の思い出(主に愚痴)も。
<短編エッセイ>
「わが母校 デッサンにあけくれて将来の夢を描いていた 武蔵野美術学校」初出:週刊文春(1994/04/21)
収録:単行本未収録
----1948年(26歳)~1949年(27歳)。吉祥寺で輪タクのオーナーをやりながら、美術学校に通っていたころの思い出。といってもあまり出席しなかったので、そのころの四方山話が中心。
(追加@2009/05/21)
<短編マンガ>
「東西奇ッ怪紳士録 貸本末期の紳士たち」初出:ビッグゴールド(1996/10)
収録:
『東西奇ッ怪紳士録(壱)』 小学館ビッグコミックスゴールド(1997/05)
『東西奇ッ怪紳士録』 小学館文庫(2001/12)
----1962年(40歳)~1965年(43歳)。つゆきサブロー(吸血鬼エリートのモデル)、山田昌一(桜井昌一、メガネ出っ歯のモデル)、歌多川雅男(宇田川雅夫/政男)、上田(梅田栄太郎、ねずみ男のモデル)、黒洋万平(白土三平)、つげ義春など、奇人揃いの貸本マンガ界崩壊期の人間模様を描く。『昭和史』の一部をリライトした箇所が多い。
<インタビュー>
「水木しげる特別インタビュー 友人つゆき・サブローと兎月書房の思い出」初出:語り下ろし
収録:つゆき・サブロー 『寄生人』 太田出版QJマンガ選書(1997/10)
----1960年(38歳)~1962年(40歳)。貸本店主、映画フィルム収集家、元祖ロリコン愛好家、そしてマンガ家と、多彩な顔を持つつゆき・サブロー(別名:杉本五郎、吸血鬼エリートのモデル)との交流と、兎月書房への愚痴を語る。本書はつゆき・サブローのマンガ作品「寄生人」と「ミイラ島」を復刻したもので、表紙は水木サン画。復刻用原本も水木サンが提供した。本書にはつゆき氏の写真もあり、その姿はまさに吸血鬼エリート。本インタビューの他、つゆき氏の業績を総覧した資料・コメント群も充実している。
(追加@2009/06/04)
<インタビュー>
聞き手・中野晴行
「紙芝居の時代 水木しげる ぼくが紙芝居の絵描きだったころ」初出:大阪人(2002/09)
収録:単行本未収録
----1951年(29歳)~1957年(35歳)。紙芝居作家当時の思い出を語る。この号は「紙芝居の時代」という特集で、これ以外にも貴重な記事が多く、資料的価値がきわめて高い。
<追悼談話>
「私は昌一さんが好きだった」初出:貸本マンガ史研究 no.13(2003/08)追悼・桜井昌一
収録:単行本未収録
----1962年(40歳)頃~1965年(43歳)。2003年4月に逝去した東考社社長・桜井昌一氏を追悼。出会いから東考社で貸本マンガを出版していた頃を振り返る。ほとんどが貧乏話で、亡くなるまで不遇であった桜井氏を悼む沈痛な談話。
(追加@2009/05/31)
<短編エッセイ>
「加太こうじ 『紙芝居昭和史』 解説」初出:書き下ろし
収録:加太こうじ 『紙芝居昭和史』 岩波現代文庫(2004/08)
----1950年(28歳)~1959年(37歳)。『ねぼけ人生』などと内容は重なるが、自分の紙芝居時代の経験を書くことで解説に代えている。
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(追記)@2009/05/21
「わが母校」を追加した。
(追記)@2009/05/31
「私は昌一さんが好きだった」を追加した。
(追記)@2009/06/04
「友人つゆき・サブローと兎月書房の思い出」を追加した。
2009年5月14日木曜日
朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(4) 戦時中
本エントリーは
stod phyogs 2009年5月14日木曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(4) 戦時中
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 戦時中 】
<短編マンガ>
(米替富夫・名義)
「三等兵物語」初出:『少年戦記(2)零戦特集号』 兎月書房(1959)
収録:『水木しげる戦記傑作大全(7)』 人類文化社(2000/05)
----1944年(22歳)。この後、繰り返し描かれる「糞メシ」エピソードの初出。タイトルは前谷惟光『ロボット三等兵』の影響。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン にがい朝食」初出:ビッグコミック(1969/05/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる短編傑作集・不思議編 死女の手』 朝日ソノラマ・サンワイドコミックス(1985/07)
----1944年(22歳)。「三等兵物語」の「糞メシ」エピソードを敷衍した作品。『総員玉砕せよ!』にも同エピソードあり。
<関連エッセイ>
「戦争と糞」初出:書き下ろし
収録:
『第2期現代漫画(11) 戦争漫画傑作集』 筑摩書房(1970/12)
『水木しげるのカランコロン』作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
----それにしてもタイトルがすごい。
<中編マンガ>
「敗走記」初出:別冊少年マガジン(1970/02)
収録:
『敗走記』 ほるぷ出版・平和漫画シリーズ(1983/10)
『水木しげる戦記ドキュメンタリー(2) 敗走記』 講談社KCデラックス(1991/11)
『幽霊艦長』 ちくま文庫(1993/07)
『水木しげる戦記選集 鬼軍曹』 宙出版(2008/10)
----1944年(22歳)。シリアスな戦争体験をマンガ化した最初の作品。最前線の分隊全滅後、中隊基地に帰り着くまでの想像を絶する困難を描く。敗走を共にする鈴木という兵士も現れるが、後のマンガ、エッセイから判断すると、このマンガ用に創作した架空の人物のようだ。また、単行本あとがきでは「親友・真山の体験がモデル」ということになっているが、これは無用の中傷を避けるためかと思われ理解できる。「地獄と天国」でリライトされている。
<短編マンガ>
「セントジョージ岬 総員玉砕せよ」初出:週刊現代増刊・劇画ゲンダイ(1973/08/01)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1943年(21歳)~1944年(22歳)。下記の単行本版「総員玉砕せよ!」の短縮版。結末は単行本版と異なる。
<長編マンガ>
『総員玉砕せよ!』初出:書き下ろし
収録:
『聖ジョージ岬・哀歌 総員玉砕せよ!』 講談社(1973/08)
『姑娘(クーニャン)』 オハヨー出版社・エースファイブコミックス(1980)
『玉砕者の鎮魂歌』 オハヨー出版社・エースファイブコミックス(1980)
『狂気の戦場 総員玉砕せよ!』 オハヨー出版社(1982)
『総員玉砕せよ!聖ジョージ岬・哀歌』 ほるぷ出版・平和漫画シリーズ(1985/07)
『水木しげる戦記ドキュメンタリー(1) 総員玉砕せよ!』 講談社KCデラックス(1991/10)
『総員玉砕せよ!』 講談社文庫(1995/06)
『総員玉砕せよ!』 集英社ホームリミックス(2007/08)
----1943年(21歳)~1944年(22歳)。実体験系戦記物の代表作。ニューブリテン島前線の中隊が理不尽な玉砕命令で全滅する過程を描く。主人公は水木サンがモデルの兵士・丸山。前半はほぼ水木サンの実体験だが、自身は重症を負って途中で離脱。後半は伝聞に基づいており、水木サン言「九十パーセントは事実」とのこと(ラストの再突入玉砕のエピソードは創作で事実と異なり、設定・人名・地名もかなり変えてある)。部分的に『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。人物画は大半がつげ義春の筆と思われる。
<短編エッセイ>
「娘よ あれがラバウルの灯だ」初出:中央公論(1973/09)
収録:単行本未収録
----1944年(22歳)~1945(23歳)。戦争体験の中でも特にトペトロたちとの交流をつづったもの。『娘に語るお父さんの戦記』の原型となった作品。単行本未収録のイラスト多数。
(追加@2009/05/23)
<短編マンガ>
「波の音」初出:週刊朝日増刊(1974/04/30)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 ああ太平洋(下)』 宙出版(2007/12)
----1944年(22歳)。シャレコウベが語る戦場体験という体裁だが、内容は水木サンの実体験。「敗走記」と同じく、最前線からの敗走劇が中心。マラリアで錯乱状態になったのは実話だが、そのままのたれ死にはもちろん創作。
<長編エッセイ>
『娘に語るお父さんの戦記』初出:書き下ろし
河出書房新社(1975)
河出文庫(1982/08)
(絵本版)河出書房新社(1985/07)
(新版)河出文庫(1995/06)
(新版)社会批評社(1999/04)
----1943年(21歳)~1971年(49歳)。兵隊時代の体験を総合的に語ったエッセイ。終わりの方で、オマケ的に戦後の経験~トペトロとの再会も語られる(新版あとがきでは、さらにトペトロの葬式までが語られる)。「娘に語る」という体裁のせいか親しみやすい文体で、これで水木サン文体が確立した。この後、長編エッセイの仕事が増えていくきっかけとなった作品。なお挿画は、初出ではラフなペン画だが、新版では点描画となり数も大幅に増えている。味のある初出ペン画のファンも多い。
<短編マンガ>
「ああ天皇とボクの五十年」初出:面白半分別冊・漫画面白半分(1976/11)
収録:
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)
----1930年(8歳)~1932年(10歳)頃?/1943年(21歳)。小学校時代と兵隊時代の、天皇がらみでの体験談。
<短編エッセイ>
「死者の招き」初出:月刊小説(1977~78のいつか)
収録:『水木しげるの不思議旅行』 サンケイ出版(1978/09)ほか
<関連エッセイ>
「今も聞こえる兵長の「パパイアはまだか」」初出:週刊読売(1984/08/12)
収録:『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)
----1944年(22歳)。怪談仕立てのエッセイ。後半の恐怖譚は創作と思われる。前半、兵長が亡くなるまでは『ねぼけ人生』などにも書かれている。
<中編マンガ>
「地獄と天国」初出:月刊少年ワールド(1979/01~02)
収録:
『水木しげる戦記傑作大全 別巻』 人類文化社(2000/05)
『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。前半は、最前戦から孤軍敗走、マラリヤ、片腕を失う、という「地獄」。後半は、トペトロたちとの出会いと交流、という「天国」を描く。大半が『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている重要作。
<短編マンガ>
「戦争と日本」初出:小学六年生(1991/02)
収録:『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)/1971年(49歳)~1989年(67歳)。小学生向けの学習マンガで、戦争体験とトペトロたちとの交流エピソードがはさまる。
<対談>
水木しげる+砂原勝己、聞き手・永井明
「対談 妖怪マンガの巨匠・水木しげるさんとガン宣告された医師の"落ちこぼれ友情秘話"」初出:女性自身(1992/09/21)
「対談 水木しげるさんとガン宣告された医師の戦後48年めの再会に秘められた感動ドラマ 落ちこぼれの兵隊とずっこけ軍医は生き残った!」初出:女性自身(1992/09/28)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。片腕を失う負傷をし兵站病院に入院した際の軍医だった砂原氏と再会し対談。読者への背景説明のため、半分以上が永井氏の文章で占められ、残念ながら対談のダイナミズムが失われている。
<対談(別編集)>
「回想対談 ラバウルの頃 砂原勝己元軍医VS水木しげる」初出:未発表(1993/07/16収録)
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----上記記事の生データか?(出所不明)。軍の変わり者同士で戦地の思い出を語り合うものだから、おもしろい対談になった。さらに、別編集バージョンが、足立倫行『妖怪と歩く』にも収録されている。
<関連エッセイ>
「軍医の一言」初出:不明
収録:
『妖怪天国』 筑摩書房(1992/04)
『妖怪天国』 ちくま文庫(1996/07)
----砂原軍医の忠告でラバウル現地除隊を思いとどまった話。しかし上記対談によると、砂原氏は「憶えていない」とのこと(笑)。
(一部修正@2009/05/17)
<長編エッセイ+イラスト集>
『水木しげるのラバウル戦記』初出:書き下ろし
筑摩書房(1994/07)
ちくま文庫(1997/07)
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。現地で描いた絵、帰国直後描いた紙芝居風イラストに文章をつけ、ニューブリテン島時代を振り返る。物持ちのいい水木サンならではの作品。
<中編マンガ>
「鬼軍曹」初出:ビッグコミック増刊・終戦五十周年記念特集(1995/08)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 鬼軍曹』 宙出版(2008/10)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。水木サンの上官・鬼軍曹、同輩の景山、そして自分の行動を対比させながら、戦地での立ち回り方を考える。
<インタビュー>
「水木しげるロングインタビュー 亡き戦友が描かせた戦記まんが」初出:語り下ろし
収録:『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。自作品の実体験系戦記マンガを語ることで、水木サンの戦場体験がコンパクトにまとめられた好インタビュー。
<インタビュー>
聞き手・梯久美子
「死者のいる場所(12)~(14) 水木しげるの戦争(1)~(3)」初出:本の旅人(2009/01~03)
収録:単行本未収録
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。『神秘家 水木しげる伝』出版を記念したインタビュー。名義としては梯氏の著作だが、水木サンの独白が多く、実質的にインタビュー記事になっている。内容はいつものやつです。
(追加@2009/05/26)
===========================================
(追記)@2009/05/17
「砂原元軍医との対談」に関するデータを一部修正した。
(追記)@2009/05/23
「娘よ あれがラバウルの灯だ」を追加。
(追記)@2009/05/26
梯久美子「死者のいる場所 水木しげる」を追加した。
stod phyogs 2009年5月14日木曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(4) 戦時中
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 戦時中 】
<短編マンガ>
(米替富夫・名義)
「三等兵物語」初出:『少年戦記(2)零戦特集号』 兎月書房(1959)
収録:『水木しげる戦記傑作大全(7)』 人類文化社(2000/05)
----1944年(22歳)。この後、繰り返し描かれる「糞メシ」エピソードの初出。タイトルは前谷惟光『ロボット三等兵』の影響。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン にがい朝食」初出:ビッグコミック(1969/05/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる短編傑作集・不思議編 死女の手』 朝日ソノラマ・サンワイドコミックス(1985/07)
----1944年(22歳)。「三等兵物語」の「糞メシ」エピソードを敷衍した作品。『総員玉砕せよ!』にも同エピソードあり。
<関連エッセイ>
「戦争と糞」初出:書き下ろし
収録:
『第2期現代漫画(11) 戦争漫画傑作集』 筑摩書房(1970/12)
『水木しげるのカランコロン』作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
----それにしてもタイトルがすごい。
<中編マンガ>
「敗走記」初出:別冊少年マガジン(1970/02)
収録:
『敗走記』 ほるぷ出版・平和漫画シリーズ(1983/10)
『水木しげる戦記ドキュメンタリー(2) 敗走記』 講談社KCデラックス(1991/11)
『幽霊艦長』 ちくま文庫(1993/07)
『水木しげる戦記選集 鬼軍曹』 宙出版(2008/10)
----1944年(22歳)。シリアスな戦争体験をマンガ化した最初の作品。最前線の分隊全滅後、中隊基地に帰り着くまでの想像を絶する困難を描く。敗走を共にする鈴木という兵士も現れるが、後のマンガ、エッセイから判断すると、このマンガ用に創作した架空の人物のようだ。また、単行本あとがきでは「親友・真山の体験がモデル」ということになっているが、これは無用の中傷を避けるためかと思われ理解できる。「地獄と天国」でリライトされている。
<短編マンガ>
「セントジョージ岬 総員玉砕せよ」初出:週刊現代増刊・劇画ゲンダイ(1973/08/01)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1943年(21歳)~1944年(22歳)。下記の単行本版「総員玉砕せよ!」の短縮版。結末は単行本版と異なる。
<長編マンガ>
『総員玉砕せよ!』初出:書き下ろし
収録:
『聖ジョージ岬・哀歌 総員玉砕せよ!』 講談社(1973/08)
『姑娘(クーニャン)』 オハヨー出版社・エースファイブコミックス(1980)
『玉砕者の鎮魂歌』 オハヨー出版社・エースファイブコミックス(1980)
『狂気の戦場 総員玉砕せよ!』 オハヨー出版社(1982)
『総員玉砕せよ!聖ジョージ岬・哀歌』 ほるぷ出版・平和漫画シリーズ(1985/07)
『水木しげる戦記ドキュメンタリー(1) 総員玉砕せよ!』 講談社KCデラックス(1991/10)
『総員玉砕せよ!』 講談社文庫(1995/06)
『総員玉砕せよ!』 集英社ホームリミックス(2007/08)
----1943年(21歳)~1944年(22歳)。実体験系戦記物の代表作。ニューブリテン島前線の中隊が理不尽な玉砕命令で全滅する過程を描く。主人公は水木サンがモデルの兵士・丸山。前半はほぼ水木サンの実体験だが、自身は重症を負って途中で離脱。後半は伝聞に基づいており、水木サン言「九十パーセントは事実」とのこと(ラストの再突入玉砕のエピソードは創作で事実と異なり、設定・人名・地名もかなり変えてある)。部分的に『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。人物画は大半がつげ義春の筆と思われる。
<短編エッセイ>
「娘よ あれがラバウルの灯だ」初出:中央公論(1973/09)
収録:単行本未収録
----1944年(22歳)~1945(23歳)。戦争体験の中でも特にトペトロたちとの交流をつづったもの。『娘に語るお父さんの戦記』の原型となった作品。単行本未収録のイラスト多数。
(追加@2009/05/23)
<短編マンガ>
「波の音」初出:週刊朝日増刊(1974/04/30)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 ああ太平洋(下)』 宙出版(2007/12)
----1944年(22歳)。シャレコウベが語る戦場体験という体裁だが、内容は水木サンの実体験。「敗走記」と同じく、最前線からの敗走劇が中心。マラリアで錯乱状態になったのは実話だが、そのままのたれ死にはもちろん創作。
<長編エッセイ>
『娘に語るお父さんの戦記』初出:書き下ろし
河出書房新社(1975)
河出文庫(1982/08)
(絵本版)河出書房新社(1985/07)
(新版)河出文庫(1995/06)
(新版)社会批評社(1999/04)
----1943年(21歳)~1971年(49歳)。兵隊時代の体験を総合的に語ったエッセイ。終わりの方で、オマケ的に戦後の経験~トペトロとの再会も語られる(新版あとがきでは、さらにトペトロの葬式までが語られる)。「娘に語る」という体裁のせいか親しみやすい文体で、これで水木サン文体が確立した。この後、長編エッセイの仕事が増えていくきっかけとなった作品。なお挿画は、初出ではラフなペン画だが、新版では点描画となり数も大幅に増えている。味のある初出ペン画のファンも多い。
<短編マンガ>
「ああ天皇とボクの五十年」初出:面白半分別冊・漫画面白半分(1976/11)
収録:
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)
----1930年(8歳)~1932年(10歳)頃?/1943年(21歳)。小学校時代と兵隊時代の、天皇がらみでの体験談。
<短編エッセイ>
「死者の招き」初出:月刊小説(1977~78のいつか)
収録:『水木しげるの不思議旅行』 サンケイ出版(1978/09)ほか
<関連エッセイ>
「今も聞こえる兵長の「パパイアはまだか」」初出:週刊読売(1984/08/12)
収録:『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)
----1944年(22歳)。怪談仕立てのエッセイ。後半の恐怖譚は創作と思われる。前半、兵長が亡くなるまでは『ねぼけ人生』などにも書かれている。
<中編マンガ>
「地獄と天国」初出:月刊少年ワールド(1979/01~02)
収録:
『水木しげる戦記傑作大全 別巻』 人類文化社(2000/05)
『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。前半は、最前戦から孤軍敗走、マラリヤ、片腕を失う、という「地獄」。後半は、トペトロたちとの出会いと交流、という「天国」を描く。大半が『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている重要作。
<短編マンガ>
「戦争と日本」初出:小学六年生(1991/02)
収録:『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)/1971年(49歳)~1989年(67歳)。小学生向けの学習マンガで、戦争体験とトペトロたちとの交流エピソードがはさまる。
<対談>
水木しげる+砂原勝己、聞き手・永井明
「対談 妖怪マンガの巨匠・水木しげるさんとガン宣告された医師の"落ちこぼれ友情秘話"」初出:女性自身(1992/09/21)
「対談 水木しげるさんとガン宣告された医師の戦後48年めの再会に秘められた感動ドラマ 落ちこぼれの兵隊とずっこけ軍医は生き残った!」初出:女性自身(1992/09/28)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。片腕を失う負傷をし兵站病院に入院した際の軍医だった砂原氏と再会し対談。読者への背景説明のため、半分以上が永井氏の文章で占められ、残念ながら対談のダイナミズムが失われている。
<対談(別編集)>
「回想対談 ラバウルの頃 砂原勝己元軍医VS水木しげる」初出:未発表(1993/07/16収録)
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----上記記事の生データか?(出所不明)。軍の変わり者同士で戦地の思い出を語り合うものだから、おもしろい対談になった。さらに、別編集バージョンが、足立倫行『妖怪と歩く』にも収録されている。
<関連エッセイ>
「軍医の一言」初出:不明
収録:
『妖怪天国』 筑摩書房(1992/04)
『妖怪天国』 ちくま文庫(1996/07)
----砂原軍医の忠告でラバウル現地除隊を思いとどまった話。しかし上記対談によると、砂原氏は「憶えていない」とのこと(笑)。
(一部修正@2009/05/17)
<長編エッセイ+イラスト集>
『水木しげるのラバウル戦記』初出:書き下ろし
筑摩書房(1994/07)
ちくま文庫(1997/07)
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。現地で描いた絵、帰国直後描いた紙芝居風イラストに文章をつけ、ニューブリテン島時代を振り返る。物持ちのいい水木サンならではの作品。
<中編マンガ>
「鬼軍曹」初出:ビッグコミック増刊・終戦五十周年記念特集(1995/08)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 鬼軍曹』 宙出版(2008/10)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。水木サンの上官・鬼軍曹、同輩の景山、そして自分の行動を対比させながら、戦地での立ち回り方を考える。
<インタビュー>
「水木しげるロングインタビュー 亡き戦友が描かせた戦記まんが」初出:語り下ろし
収録:『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。自作品の実体験系戦記マンガを語ることで、水木サンの戦場体験がコンパクトにまとめられた好インタビュー。
<インタビュー>
聞き手・梯久美子
「死者のいる場所(12)~(14) 水木しげるの戦争(1)~(3)」初出:本の旅人(2009/01~03)
収録:単行本未収録
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。『神秘家 水木しげる伝』出版を記念したインタビュー。名義としては梯氏の著作だが、水木サンの独白が多く、実質的にインタビュー記事になっている。内容はいつものやつです。
(追加@2009/05/26)
===========================================
(追記)@2009/05/17
「砂原元軍医との対談」に関するデータを一部修正した。
(追記)@2009/05/23
「娘よ あれがラバウルの灯だ」を追加。
(追記)@2009/05/26
梯久美子「死者のいる場所 水木しげる」を追加した。
2009年5月11日月曜日
朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(3) 少年時代
本エントリーは
stod phyogs 2009年5月11日月曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(3) 少年時代
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 少年時代 】
<短編マンガ>
「落第王」初出:漫画サンデー(1974/10/19)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7)落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる不思議な世界(4)円盤同乗記』 講談社KCスペシャル(1987/04)
『妖怪ワンダーランド(8)奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1937年(15歳)~1943年(21歳)。職についても学校に行っても次々にクビになりさまよう日々。あきれるほど際限なく失敗談が続くが、読んでいるうちにだんだんトリップしてくる(笑)。名作です。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』にリライトされている。
<関連エッセイ>
「落第記」初出:思想の科学(1981/01)
収録:『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
<長編エッセイ>
『のんのんばあとオレ』初出:書き下ろし
筑摩書房(1977/10)
ちくま文庫(1990/07)
----1925年(3歳)~1943年(21歳)。メンコに、ケンカに、コレクションに、屁に、運動に、妖怪に、絵に、と忙しくも楽しかった小学生時代を中心に回想する。タイトルに反して「のんのんばあ」の出番はあまり多くない。
<短編マンガ>
「花町ケンカ大将」初出:週刊少年キング(1978/09/11)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(5)ぽけっとまん』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1979/04)
『水木サンの幸福論』角川文庫(2007/04)
----1932年(10歳)頃?。ガキ集団同士の抗争の日々を描く。ミソつきのゴッソは、できれば食べたくないものである。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』にリライトされている。
<短編マンガ>
「ぼくのガキ時代」初出:書き下ろし
収録:
『妖怪博士入門どうしたら妖怪博士になれるか(小学館入門百科シリーズ189)』 小学館(1989/08)
『水木伝説(XVI) 水木しげる80歳記念本』 水木伝説(2003/02)
----1927年(5歳)頃?~1932年(10歳)頃?。『昭和史』の少年時代などと内容は重なり、一部そのリライトがある。しかし「けいとう」や「地震とエンバン」など、独自のエピソードもあるので見逃せない。このマンガ以外では、子供向けなのでさすがに戦時中~紙芝居・貸本マンガの苦労時代には触れず、いきなり妖怪博士になっている。「河童(雑誌版)」、「妖怪屋敷」、「イースター島奇談」も併録。
<短編エッセイ>
「沈没したガキ大将」初出:週刊テーミス(1990/09/19)
収録:単行本未収録
----1932年(10歳)頃?。ガニダモ(蟹取りの仕掛け)投げでの失敗談。
(追加@2009/05/21)
<長編マンガ>
『のんのんばあとオレ(1)(2)』初出:書き下ろし
講談社(1992/08~10)
(合本)講談社漫画文庫(1997/07)
(合本)角川書店(2007/11)
----1932年(10歳)頃。NHK総合テレビのドラマ「のんのんばあとオレ(正・続)」と連動した企画。エッセイのマンガ化というより、ドラマをマンガ化した作品で、「創作もの」ととらえた方がいい。主人公名は「村木茂」になっている。ドラマ・オリジナルのストーリーが逆流してきている。
<短編マンガ>
「北浦の松」初出:書き下ろし
収録:『別冊宝島1045 ゲゲゲの鬼太郎 妖怪百物語』 宝島社(2004/07)
----1932年(10歳)頃?。「仙台四郎」的な町の人気者「北浦の松」の思い出。
===========================================
(追記)@2009/05/21
「沈没したガキ大将」を追加した。
stod phyogs 2009年5月11日月曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(3) 少年時代
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 少年時代 】
<短編マンガ>
「落第王」初出:漫画サンデー(1974/10/19)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7)落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる不思議な世界(4)円盤同乗記』 講談社KCスペシャル(1987/04)
『妖怪ワンダーランド(8)奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1937年(15歳)~1943年(21歳)。職についても学校に行っても次々にクビになりさまよう日々。あきれるほど際限なく失敗談が続くが、読んでいるうちにだんだんトリップしてくる(笑)。名作です。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』にリライトされている。
<関連エッセイ>
「落第記」初出:思想の科学(1981/01)
収録:『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
<長編エッセイ>
『のんのんばあとオレ』初出:書き下ろし
筑摩書房(1977/10)
ちくま文庫(1990/07)
----1925年(3歳)~1943年(21歳)。メンコに、ケンカに、コレクションに、屁に、運動に、妖怪に、絵に、と忙しくも楽しかった小学生時代を中心に回想する。タイトルに反して「のんのんばあ」の出番はあまり多くない。
<短編マンガ>
「花町ケンカ大将」初出:週刊少年キング(1978/09/11)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(5)ぽけっとまん』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1979/04)
『水木サンの幸福論』角川文庫(2007/04)
----1932年(10歳)頃?。ガキ集団同士の抗争の日々を描く。ミソつきのゴッソは、できれば食べたくないものである。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』にリライトされている。
<短編マンガ>
「ぼくのガキ時代」初出:書き下ろし
収録:
『妖怪博士入門どうしたら妖怪博士になれるか(小学館入門百科シリーズ189)』 小学館(1989/08)
『水木伝説(XVI) 水木しげる80歳記念本』 水木伝説(2003/02)
----1927年(5歳)頃?~1932年(10歳)頃?。『昭和史』の少年時代などと内容は重なり、一部そのリライトがある。しかし「けいとう」や「地震とエンバン」など、独自のエピソードもあるので見逃せない。このマンガ以外では、子供向けなのでさすがに戦時中~紙芝居・貸本マンガの苦労時代には触れず、いきなり妖怪博士になっている。「河童(雑誌版)」、「妖怪屋敷」、「イースター島奇談」も併録。
<短編エッセイ>
「沈没したガキ大将」初出:週刊テーミス(1990/09/19)
収録:単行本未収録
----1932年(10歳)頃?。ガニダモ(蟹取りの仕掛け)投げでの失敗談。
(追加@2009/05/21)
<長編マンガ>
『のんのんばあとオレ(1)(2)』初出:書き下ろし
講談社(1992/08~10)
(合本)講談社漫画文庫(1997/07)
(合本)角川書店(2007/11)
----1932年(10歳)頃。NHK総合テレビのドラマ「のんのんばあとオレ(正・続)」と連動した企画。エッセイのマンガ化というより、ドラマをマンガ化した作品で、「創作もの」ととらえた方がいい。主人公名は「村木茂」になっている。ドラマ・オリジナルのストーリーが逆流してきている。
<短編マンガ>
「北浦の松」初出:書き下ろし
収録:『別冊宝島1045 ゲゲゲの鬼太郎 妖怪百物語』 宝島社(2004/07)
----1932年(10歳)頃?。「仙台四郎」的な町の人気者「北浦の松」の思い出。
===========================================
(追記)@2009/05/21
「沈没したガキ大将」を追加した。
2009年5月8日金曜日
朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(2) 半生記
本エントリーは
stod phyogs 2009年5月8日金曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(2) 半生記
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 半生記 】
半生を通しでつづった自伝だけで十数作品もあるのですから驚きです。まさに「自伝界の巨人」でもあります。
<長編エッセイ>
『ほんまにオレはアホやろか』初出:書き下ろし
ポプラ社(1978/09)
社会批評社(1998/12)
新潮文庫(2002/08)
ポプラ社私の生き方文庫(2004/11)
----1922年(0歳)~1971年(49歳)。前年に『のんのんばあとオレ』を出したばかりなので、少年時代は大幅に割愛し、青年期~雑誌連載で成功するまでが中心。紙芝居~貸本時代の苦労話に詳しいのが特徴。
<短編エッセイ>
「わが狂乱怒濤時代 奇妙奇天烈な興味の日々」初出:別冊新評水木しげるの世界(1980/10)
収録:
『水木しげるのカランコロン』作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
----1932年(10歳)頃?~1966年(44歳)頃。自分の半生を趣味で切って振り返る。
<長編エッセイ>
『ねぼけ人生』初出:書き下ろし
筑摩書房(1982/03)
ちくま文庫(1986/02)
埼玉福祉会(1992/09)
(新装版)ちくま文庫(1999/07)
----1922年(0歳)~1982年(60歳)。古今東西の自伝作品中の最高傑作と言いきっていいと思う。『ほんまに・・・』からわずか4年でまた自伝、というあたりは、天才の考えることは凡人には計り知れない。こちらは少年時代にもページをさいておりバランスがよい。何度読んでも爆笑する「講堂での屁」エピソードが秀逸。さらに雑誌連載で成功後のエピソードも加わった。世界中の人に読んでもらいたいのに、外国語訳はまだないよう。松田哲夫さん、なんとかしてよ。
<短編エッセイ+イラスト>
「<絵随筆>たわむれの生涯」初出:中央公論(1984/02)
収録:単行本未収録
----1926年(4歳)頃~1984年(62歳)。イラストと共に半生を簡単に振り返る。イラストは見覚えあるものがほとんどだが、これが初出なのか、他の作品からの転用なのか、もうわかりません。
(追加@2009/05/17)
<長編マンガ>
『コミック昭和史(1)~(8)』初出:書き下ろし
講談社(1988/11~89/12)
講談社文庫(1994/08~11)
---1922年(0歳)~1989年(67歳)。昭和史と自分の半生をオーバーラップさせて描く。この後も続く自伝作品のフレームワークがこれで確立した。これまで書いた自伝的マンガのストックが大量にあるので、それを随所でうまく利用している(切り貼りもしくはリライト)。三巻にわたる兵隊時代が詳しいことも特徴。
<短編マンガ集>
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』初出:各種
ちくま文庫(1995/07)
----1937年(15歳)~1969年(47歳)頃。この巻は大半が水木サンの自伝的作品で占められ、それも時系列順に配列されているという気のきいた編集。収録されている自伝的作品は、「落第王」、「街の詩人たち」、「さびしい人」、「国際ギャング団」、「なめちゃん」、「突撃!悪魔くん」、「残暑」、「ドブ川に死す」。他は「怪傑くまくす」と武蔵もの。
<エッセイ集+短編マンガ集>
『カランコロン漂泊記』初出:ビッグコミック(1997/01~12、1999/01~12)
小学館文庫(2000/08)
----1927年(5歳)~1999年(77歳)。断片的なエピソード集になるが、これまでの自伝類で漏れていたエピソードも多い。半生にわたり出会った印象的な人物についてのエッセイが中心。
<インタビュー>
「「家」の履歴書 漫画家・水木しげる 借金して買ったアパートも二年で人手に。筆名に残った「水木荘」」初出:週刊文春(1998/04/30+05/07合併号)
収録:週刊文春・編 『「家」の履歴書』 光進社(2001/01)
----1922年(0歳)~1998年(76歳)。これまで暮らした代々の「家」で語る自伝。生家、戦地の病院、神戸のアパート・水木荘、亀戸の下宿屋、新宿のアパート、そして調布の自宅。
<長編マンガ>
『ボクの一生はゲゲゲの楽園だ マンガ水木しげる自叙伝(1)~(6)』初出:書き下ろし
講談社(2001/05~10)
(3冊に再編の上改題)
『完全版 マンガ水木しげる伝(上)(中)(下)』講談社漫画文庫(2004/11~05/01)
---1922年(0歳)~2001年(79歳)。『昭和史』から水木サンのエピソードを抜き出して再編したものが中心。ちょっと安易な企画、という批判もある。1990年代のエピソードが新たに加わっているが、「妖怪博士の朝食シリーズ」や「メキシコ旅行記」などの転用で、半分はフィクション。今のところ自伝の決定版。
<長編エッセイ>
『生まれたときから「妖怪」だった』初出:書き下ろし
講談社(2002/06)
講談社+α文庫(2005/07)
----1922年(0歳)~2002年(80歳)。「ソツのある生き方」をテーマに、人生訓を織りまぜながら半生をたどる。いつもの文体とは違っており、水木サンから聞き取って編集者がまとめたものと推測できる。
<資料集>
『水木しげる記念館公式ガイドブック』朝日新聞社(2003/03)
----1922年(0歳)~2003年(81歳)。「げげの間水木しげる年代記」は展示物でたどる半生記。これが2年後「大(Oh!)水木しげる展」に発展した。
<エッセイ集>
『水木サンの幸福論 妖怪漫画家の回想』初出:日本経済新聞(2003/08)
日本経済新聞社(2004/03)
角川文庫(2007/04)
----1922年(0歳)~2003年(81歳)。日経新聞連載「私の履歴書」を中心に、最近の水木サンの持論「幸福論」を加える。この辺になると大半が既出でちょっと食傷気味だが、水木ファンではない日経読者が対象だから仕方ない。貴重な写真も公開。三兄弟座談会も秀逸。なお併録マンガは、日経版が「別冊マガジン版鬼太郎の誕生」(ガロ版という売りは誤り)で、角川文庫版は「花町ケンカ大将」。
<資料集>
朝日新聞社事業本部大阪企画事業部ほか・編
『「大(Oh!)水木しげる展」図録』初出:書き下ろし
朝日新聞社(2004/04)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。写真、作品、出版物、コレクションなどの展示物で半生をたどる、水木伝のビジュアル化。大変な労作で、水木ファンなら必携。巻頭「水木しげる人生絵巻」も傑作。
<インタビュー>
桐山秀樹・構成
「水木しげるロング・インタビュー 妖怪の棲めない国はダメになる」初出:中央公論(2004/09)
収録:単行本未収録
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。タイトルではわかりにくいが、水木サンの半生に焦点を当てたインタビューになっている。
(追加@2009/06/04)
<インタビュー>
聞き手・波津博明
「妖怪マンガを創造した"おばけの代理人" 「ゲゲゲの鬼太郎」作者 水木しげるさん」初出:読売新聞(2004/09/01~10/05)
収録:読売新聞解説部・編『読売ブックレット 時代の証言者(8) 「漫画」 水木しげる/やなせたかし』 読売新聞社(2005/08)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。インタビューで構成した半生記。水木ファンでない読売読者が対象なので、シンプルな出来。『幸福論』と似た雰囲気。
<長編エッセイ>
『水木しげるのんのん人生 ぼくはこんなふうに生きてきた』初出:書き下ろし
大和書房(2004/12)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。今度は、絵と文で半生をたどる紙芝居スタイルの自伝。
<資料集>
朝日新聞社事業本部大阪企画事業部ほか・編
『水木しげるの「妖怪」人生絵巻』初出:『「大(Oh!)水木しげる展」図録』(2004/10)
朝日新聞社(2005/07)
----1922年(0歳)~2005年(83歳)。『図録』から主要記事を抜粋して再編した普及版。収録四コママンガなどが微妙に『図録』と違っている。
<長編マンガ>
『神秘家 水木しげる伝』初出:怪(2006~07)
角川書店(2008/04)
----1922年(0歳)~2007年(85歳)。自伝好き水木サンの真骨頂。三度目の自伝マンガ。再編・転用ばかりだった『ゲゲゲの楽園』の出来が不満だったのだろうか、今度は全部新作。近年の動向について詳しいのが特徴。後半は様々な神秘現象と出会ったエピソードが増え、タイトルに相応しい内容となった。一と月の間に本人、奥さん、娘さんの本が出るなんて水木家以外にはあり得ない快挙。
<インタビュー>
『NHK知るを楽しむ 人生の歩き方 テキスト 2008年6月 水木しげる 百歳まで生きるでしょう/細谷亮太 子供の命をみつめて』初出:語り下ろし
日本放送出版協会(2008/06)
----1922年(0歳)~2008年(86歳)。NHK教育テレビの番組「知るを楽しむ人生の歩き方 水木しげる 百歳まで生きるでしょう」(2008/06、全4回)のテキスト。NHK視聴者が対象なので、やはりシンプルな出来。水木サンの普段の生活・言動が垣間見れる映像版の方が圧倒的におもしろい。
===========================================
(追記)@2009/05/17
「<絵随筆>たわむれの生涯」を追加した。
(追記)@2009/06/04
「妖怪の棲めない国は・・・」を追加した。
stod phyogs 2009年5月8日金曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(2) 半生記
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 半生記 】
半生を通しでつづった自伝だけで十数作品もあるのですから驚きです。まさに「自伝界の巨人」でもあります。
<長編エッセイ>
『ほんまにオレはアホやろか』初出:書き下ろし
ポプラ社(1978/09)
社会批評社(1998/12)
新潮文庫(2002/08)
ポプラ社私の生き方文庫(2004/11)
----1922年(0歳)~1971年(49歳)。前年に『のんのんばあとオレ』を出したばかりなので、少年時代は大幅に割愛し、青年期~雑誌連載で成功するまでが中心。紙芝居~貸本時代の苦労話に詳しいのが特徴。
<短編エッセイ>
「わが狂乱怒濤時代 奇妙奇天烈な興味の日々」初出:別冊新評水木しげるの世界(1980/10)
収録:
『水木しげるのカランコロン』作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
----1932年(10歳)頃?~1966年(44歳)頃。自分の半生を趣味で切って振り返る。
<長編エッセイ>
『ねぼけ人生』初出:書き下ろし
筑摩書房(1982/03)
ちくま文庫(1986/02)
埼玉福祉会(1992/09)
(新装版)ちくま文庫(1999/07)
----1922年(0歳)~1982年(60歳)。古今東西の自伝作品中の最高傑作と言いきっていいと思う。『ほんまに・・・』からわずか4年でまた自伝、というあたりは、天才の考えることは凡人には計り知れない。こちらは少年時代にもページをさいておりバランスがよい。何度読んでも爆笑する「講堂での屁」エピソードが秀逸。さらに雑誌連載で成功後のエピソードも加わった。世界中の人に読んでもらいたいのに、外国語訳はまだないよう。松田哲夫さん、なんとかしてよ。
<短編エッセイ+イラスト>
「<絵随筆>たわむれの生涯」初出:中央公論(1984/02)
収録:単行本未収録
----1926年(4歳)頃~1984年(62歳)。イラストと共に半生を簡単に振り返る。イラストは見覚えあるものがほとんどだが、これが初出なのか、他の作品からの転用なのか、もうわかりません。
(追加@2009/05/17)
<長編マンガ>
『コミック昭和史(1)~(8)』初出:書き下ろし
講談社(1988/11~89/12)
講談社文庫(1994/08~11)
---1922年(0歳)~1989年(67歳)。昭和史と自分の半生をオーバーラップさせて描く。この後も続く自伝作品のフレームワークがこれで確立した。これまで書いた自伝的マンガのストックが大量にあるので、それを随所でうまく利用している(切り貼りもしくはリライト)。三巻にわたる兵隊時代が詳しいことも特徴。
<短編マンガ集>
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』初出:各種
ちくま文庫(1995/07)
----1937年(15歳)~1969年(47歳)頃。この巻は大半が水木サンの自伝的作品で占められ、それも時系列順に配列されているという気のきいた編集。収録されている自伝的作品は、「落第王」、「街の詩人たち」、「さびしい人」、「国際ギャング団」、「なめちゃん」、「突撃!悪魔くん」、「残暑」、「ドブ川に死す」。他は「怪傑くまくす」と武蔵もの。
<エッセイ集+短編マンガ集>
『カランコロン漂泊記』初出:ビッグコミック(1997/01~12、1999/01~12)
小学館文庫(2000/08)
----1927年(5歳)~1999年(77歳)。断片的なエピソード集になるが、これまでの自伝類で漏れていたエピソードも多い。半生にわたり出会った印象的な人物についてのエッセイが中心。
<インタビュー>
「「家」の履歴書 漫画家・水木しげる 借金して買ったアパートも二年で人手に。筆名に残った「水木荘」」初出:週刊文春(1998/04/30+05/07合併号)
収録:週刊文春・編 『「家」の履歴書』 光進社(2001/01)
----1922年(0歳)~1998年(76歳)。これまで暮らした代々の「家」で語る自伝。生家、戦地の病院、神戸のアパート・水木荘、亀戸の下宿屋、新宿のアパート、そして調布の自宅。
<長編マンガ>
『ボクの一生はゲゲゲの楽園だ マンガ水木しげる自叙伝(1)~(6)』初出:書き下ろし
講談社(2001/05~10)
(3冊に再編の上改題)
『完全版 マンガ水木しげる伝(上)(中)(下)』講談社漫画文庫(2004/11~05/01)
---1922年(0歳)~2001年(79歳)。『昭和史』から水木サンのエピソードを抜き出して再編したものが中心。ちょっと安易な企画、という批判もある。1990年代のエピソードが新たに加わっているが、「妖怪博士の朝食シリーズ」や「メキシコ旅行記」などの転用で、半分はフィクション。今のところ自伝の決定版。
<長編エッセイ>
『生まれたときから「妖怪」だった』初出:書き下ろし
講談社(2002/06)
講談社+α文庫(2005/07)
----1922年(0歳)~2002年(80歳)。「ソツのある生き方」をテーマに、人生訓を織りまぜながら半生をたどる。いつもの文体とは違っており、水木サンから聞き取って編集者がまとめたものと推測できる。
<資料集>
『水木しげる記念館公式ガイドブック』朝日新聞社(2003/03)
----1922年(0歳)~2003年(81歳)。「げげの間水木しげる年代記」は展示物でたどる半生記。これが2年後「大(Oh!)水木しげる展」に発展した。
<エッセイ集>
『水木サンの幸福論 妖怪漫画家の回想』初出:日本経済新聞(2003/08)
日本経済新聞社(2004/03)
角川文庫(2007/04)
----1922年(0歳)~2003年(81歳)。日経新聞連載「私の履歴書」を中心に、最近の水木サンの持論「幸福論」を加える。この辺になると大半が既出でちょっと食傷気味だが、水木ファンではない日経読者が対象だから仕方ない。貴重な写真も公開。三兄弟座談会も秀逸。なお併録マンガは、日経版が「別冊マガジン版鬼太郎の誕生」(ガロ版という売りは誤り)で、角川文庫版は「花町ケンカ大将」。
<資料集>
朝日新聞社事業本部大阪企画事業部ほか・編
『「大(Oh!)水木しげる展」図録』初出:書き下ろし
朝日新聞社(2004/04)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。写真、作品、出版物、コレクションなどの展示物で半生をたどる、水木伝のビジュアル化。大変な労作で、水木ファンなら必携。巻頭「水木しげる人生絵巻」も傑作。
<インタビュー>
桐山秀樹・構成
「水木しげるロング・インタビュー 妖怪の棲めない国はダメになる」初出:中央公論(2004/09)
収録:単行本未収録
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。タイトルではわかりにくいが、水木サンの半生に焦点を当てたインタビューになっている。
(追加@2009/06/04)
<インタビュー>
聞き手・波津博明
「妖怪マンガを創造した"おばけの代理人" 「ゲゲゲの鬼太郎」作者 水木しげるさん」初出:読売新聞(2004/09/01~10/05)
収録:読売新聞解説部・編『読売ブックレット 時代の証言者(8) 「漫画」 水木しげる/やなせたかし』 読売新聞社(2005/08)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。インタビューで構成した半生記。水木ファンでない読売読者が対象なので、シンプルな出来。『幸福論』と似た雰囲気。
<長編エッセイ>
『水木しげるのんのん人生 ぼくはこんなふうに生きてきた』初出:書き下ろし
大和書房(2004/12)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。今度は、絵と文で半生をたどる紙芝居スタイルの自伝。
<資料集>
朝日新聞社事業本部大阪企画事業部ほか・編
『水木しげるの「妖怪」人生絵巻』初出:『「大(Oh!)水木しげる展」図録』(2004/10)
朝日新聞社(2005/07)
----1922年(0歳)~2005年(83歳)。『図録』から主要記事を抜粋して再編した普及版。収録四コママンガなどが微妙に『図録』と違っている。
<長編マンガ>
『神秘家 水木しげる伝』初出:怪(2006~07)
角川書店(2008/04)
----1922年(0歳)~2007年(85歳)。自伝好き水木サンの真骨頂。三度目の自伝マンガ。再編・転用ばかりだった『ゲゲゲの楽園』の出来が不満だったのだろうか、今度は全部新作。近年の動向について詳しいのが特徴。後半は様々な神秘現象と出会ったエピソードが増え、タイトルに相応しい内容となった。一と月の間に本人、奥さん、娘さんの本が出るなんて水木家以外にはあり得ない快挙。
<インタビュー>
『NHK知るを楽しむ 人生の歩き方 テキスト 2008年6月 水木しげる 百歳まで生きるでしょう/細谷亮太 子供の命をみつめて』初出:語り下ろし
日本放送出版協会(2008/06)
----1922年(0歳)~2008年(86歳)。NHK教育テレビの番組「知るを楽しむ人生の歩き方 水木しげる 百歳まで生きるでしょう」(2008/06、全4回)のテキスト。NHK視聴者が対象なので、やはりシンプルな出来。水木サンの普段の生活・言動が垣間見れる映像版の方が圧倒的におもしろい。
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(追記)@2009/05/17
「<絵随筆>たわむれの生涯」を追加した。
(追記)@2009/06/04
「妖怪の棲めない国は・・・」を追加した。
朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(1) はじめに
本エントリーは
stod phyogs 2009年5月8日金曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(1) はじめに
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
ちょっとまたチベット方面の話題からはずれます。
私はチベット・マニアですがマンガ・マニアでもあります。といっても、興味の範囲は恐ろしく狭く、マンガ全般を俯瞰できるような読み方はしていません(『ドラゴンボール』も読んだことがない)。
収集対象は、水木しげる、諸星大二郎、吾妻ひでお、花輪和一、とり・みき、平田弘史など。特殊ですね(笑)。マンガ・マニアというより特定マンガ・マニアということでいいです。
これら作家の本は、全部合わせても新刊で出るのは年に十冊程度ですから、集めるのも楽なものです。ただし水木作品だけは例外。なにしろ出版点数が尋常ではない。かき集めるのにだいぶ苦労しました。それでも高額復刻本を中心に、まだまだ未入手多数(古い単行本やら貸本オリジナルなどは、手が出るはずもありません)。旅はまだ続きます・・・。
というわけで本blogでも、チベット方面とは全く関係のないマンガの話もちょくちょく挟まってきます。
一発目はやはり今話題の水木サンから。
------------------------------------------
最近驚いたニュースのひとつがこれ↓。
・ナタリー natalie > コミック > 最新ニュース > 「ゲゲゲの女房」、2010年ドラマ化&映画化決定 2009年4月23日 19:18
http://natalie.mu/comic/news/show/id/15811
2007~08年にかけては、何度目か知らない「水木しげるブーム」でした。いつものようにその主役は鬼太郎。映画は出るわ、TVアニメは出るわ、研究書は出るわ、復刻本も続々出るわ、で、極めつけは貸本版「墓場鬼太郎」のアニメ化。これには驚きました(出来がまた素晴らしいんだ)。
その水木ブームも、TVアニメ鬼太郎の終了と共にぱたりとやみ、それまで続いていた貸本時代の復刻本も、発売予告が出たきり音沙汰がなくなってしまいました。残念。今回のブームもこれで終わりかあ、と名残を惜しんでいたところに、このニュース。
それにしても水木作品の底力たるや、恐ろしいものです。いったい何度ブームが来るのか・・・。もっとも、原作になる『ゲゲゲの女房』は、奥さんの布枝さんが書いたエッセイですが。
この自伝も奥さん自身に大きな事件が立て続けに起きるわけではないので、どうしても奥さんから見た「水木しげる伝」というものになります。映画・ドラマでも、水木サンの爆笑エピソードが多数織り込まれるでしょう。
------------------------------------------
その爆笑エピソードを拾うには、『ゲゲゲの女房』だけを読んでいたのでは不十分。膨大な数を誇る水木サンの自伝、自伝的作品、他人の目から見た評伝などを当たる必要があります。
実は水木サンは、マンガ、活字双方において、おそらく日本で一番たくさん自伝を書いた人なんではないか、と思われます。その数、長短合わせて50をこえます。私は一応その大半を読んでいるはずですが、あまりに数が多いのでときどき「あのエピソードはどの作品だったか?」と混乱しきり。
内容には当然ダブリもたくさん出てきます。いくらエピソードの宝庫・水木サンといっても、人生は一回きりです。何度も繰り返し書いていればネタ切れもします。最近の作品では、さすがに既出エピソードの繰り返しばかりでちょっと食傷気味です。
でも、それでいいんです。対象はいつも、初めて「水木伝」に触れる人たちなんですから。伝記をあらかた読むような人(私です)は対象外。新たに自伝を編む際に「この話は前とダブっているから落とそう」なんていう気になったら、新刊ではあの爆笑エピソードやら、この感動エピソードやらがどんどん落ちてしまいます。それでは初めて「水木伝」に触れる人がかわいそうです。
世の中には、同じ話を何度焼き直しても許される究極の「定番」というものも必要。商品としての寿命がきわめて短い今の出版界ではなおさらです。
作り手側がそれを手抜きの言い訳にして、安易な作品を送り出し続けるのは最低ですが、水木サンくらいになれば問題はないでしょう。
------------------------------------------
脚本を担当する山本むつみさん(連ドラ)、大石三知子さん(映画)は、ここに掲げたような自伝・伝記から爆笑エピソードを残さず拾って、後世に残る「水木しげる+布枝」伝の決定版を是非作ってほしいものです。
ただし、これらの自伝類はあくまで「作品」、「商品」として書かれたものですから、「大筋では事実だが、細部には大幅にフィクションが混入している」と考えた方がいいでしょう。「ドキュメンタリー」と云うよりは娯楽要素が強い「実録もの」、「歴史小説」に近い感じでしょうか。
作品によって設定や細部が互いに矛盾しているケースも多く見られ、混乱するかもしれませんが、それは娯楽作品であることを重視した結果でしょう。水木サンの左腕があったりなかったりするのが典型的な例でしょうか(ドラマ・映画ではどうするのかな?)。
自伝・伝記それ自体すでに作品として完成度が高いので、ドラマ・映画にするには好都合でしょうね。
------------------------------------------
しかし、なぜにこんなに自伝系作品が大量にあるのか。その答えはこの証言にありそうです。
「彼に会った人は異口同音に、作品より彼自身の方が面白いという」(呉智英)-伊藤(2007)より
なるほど、自伝執筆依頼が引きも切らないのも納得。
------------------------------------------
ではそのリストを8回(!)に分けて見ていきましょう。まさかこんな分量になるとは思わなかったんですが・・・。自分でも驚いた。
===========================================
参考:
・平林重雄・編(2005) 水木しげる詳細年譜. 水木しげる (2005) 『完全版 マンガ水木しげる伝 (下) 戦後編』所収. pp.479-513. 講談社漫画文庫, 東京.
・平林重雄 (2007) 水木しげると戦争漫画(増補改訂版). ユリイカ, vol.37, no.10, 特集・水木しげる[2007/09], pp.74-85.
・伊藤徹 (2007) 証言構成 水木しげるにみせられて四〇年. ユリイカ, vol.37, no.10, 特集・水木しげる[2007/09], pp.91-101.
・Tome Page > 水木しげる作品不完全リスト(鬼太郎シリーズ以外)
http://www.lares.dti.ne.jp/~hisadome/mizuki_2.html
・中場の屁太郎 : 水木しげる作品案内所 水木しげる~希代の天才画家の出版物ガイド
http://kokekakiikii.blog107.fc2.com/
・妖怪庵 > 怪文 > 水木しげる所蔵リスト
http://isimaru.gooside.com/mizukilist.htm
・げげげ通信 : 「水木しげる」と「水木プロダクション」公式サイト > 新着情報 > テレビ・ラジオ関係
http://www.mizukipro.com/tv.htm
世の中には恐るべき水木マニアがたくさんいます。その方々に比べれば、私など小僧もいいとこです。次回より挙げていくリストは、上記のヘビー級資料群なしでは、作ることはできませんでした。ありがとうございます。
------------------------------------------
・『別冊新評, vol.13, no.3 水木しげるの世界』. pp.210. 新評社(1980/10).
今回は直接参考にしたわけではないが、今に至る「水木しげる研究」の出発点となった記念すべき本なので、是非明記しておきたい。特に、伊藤徹・編「水木しげる作品リスト」(原型は1974年、自費出版-未見)、呉智英・編「水木しげる年譜」は、後に発表される作品リストや年譜の基礎となった重要作。
stod phyogs 2009年5月8日金曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(1) はじめに
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
ちょっとまたチベット方面の話題からはずれます。
私はチベット・マニアですがマンガ・マニアでもあります。といっても、興味の範囲は恐ろしく狭く、マンガ全般を俯瞰できるような読み方はしていません(『ドラゴンボール』も読んだことがない)。
収集対象は、水木しげる、諸星大二郎、吾妻ひでお、花輪和一、とり・みき、平田弘史など。特殊ですね(笑)。マンガ・マニアというより特定マンガ・マニアということでいいです。
これら作家の本は、全部合わせても新刊で出るのは年に十冊程度ですから、集めるのも楽なものです。ただし水木作品だけは例外。なにしろ出版点数が尋常ではない。かき集めるのにだいぶ苦労しました。それでも高額復刻本を中心に、まだまだ未入手多数(古い単行本やら貸本オリジナルなどは、手が出るはずもありません)。旅はまだ続きます・・・。
というわけで本blogでも、チベット方面とは全く関係のないマンガの話もちょくちょく挟まってきます。
一発目はやはり今話題の水木サンから。
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最近驚いたニュースのひとつがこれ↓。
・ナタリー natalie > コミック > 最新ニュース > 「ゲゲゲの女房」、2010年ドラマ化&映画化決定 2009年4月23日 19:18
http://natalie.mu/comic/news/show/id/15811
2007~08年にかけては、何度目か知らない「水木しげるブーム」でした。いつものようにその主役は鬼太郎。映画は出るわ、TVアニメは出るわ、研究書は出るわ、復刻本も続々出るわ、で、極めつけは貸本版「墓場鬼太郎」のアニメ化。これには驚きました(出来がまた素晴らしいんだ)。
その水木ブームも、TVアニメ鬼太郎の終了と共にぱたりとやみ、それまで続いていた貸本時代の復刻本も、発売予告が出たきり音沙汰がなくなってしまいました。残念。今回のブームもこれで終わりかあ、と名残を惜しんでいたところに、このニュース。
それにしても水木作品の底力たるや、恐ろしいものです。いったい何度ブームが来るのか・・・。もっとも、原作になる『ゲゲゲの女房』は、奥さんの布枝さんが書いたエッセイですが。
この自伝も奥さん自身に大きな事件が立て続けに起きるわけではないので、どうしても奥さんから見た「水木しげる伝」というものになります。映画・ドラマでも、水木サンの爆笑エピソードが多数織り込まれるでしょう。
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その爆笑エピソードを拾うには、『ゲゲゲの女房』だけを読んでいたのでは不十分。膨大な数を誇る水木サンの自伝、自伝的作品、他人の目から見た評伝などを当たる必要があります。
実は水木サンは、マンガ、活字双方において、おそらく日本で一番たくさん自伝を書いた人なんではないか、と思われます。その数、長短合わせて50をこえます。私は一応その大半を読んでいるはずですが、あまりに数が多いのでときどき「あのエピソードはどの作品だったか?」と混乱しきり。
内容には当然ダブリもたくさん出てきます。いくらエピソードの宝庫・水木サンといっても、人生は一回きりです。何度も繰り返し書いていればネタ切れもします。最近の作品では、さすがに既出エピソードの繰り返しばかりでちょっと食傷気味です。
でも、それでいいんです。対象はいつも、初めて「水木伝」に触れる人たちなんですから。伝記をあらかた読むような人(私です)は対象外。新たに自伝を編む際に「この話は前とダブっているから落とそう」なんていう気になったら、新刊ではあの爆笑エピソードやら、この感動エピソードやらがどんどん落ちてしまいます。それでは初めて「水木伝」に触れる人がかわいそうです。
世の中には、同じ話を何度焼き直しても許される究極の「定番」というものも必要。商品としての寿命がきわめて短い今の出版界ではなおさらです。
作り手側がそれを手抜きの言い訳にして、安易な作品を送り出し続けるのは最低ですが、水木サンくらいになれば問題はないでしょう。
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脚本を担当する山本むつみさん(連ドラ)、大石三知子さん(映画)は、ここに掲げたような自伝・伝記から爆笑エピソードを残さず拾って、後世に残る「水木しげる+布枝」伝の決定版を是非作ってほしいものです。
ただし、これらの自伝類はあくまで「作品」、「商品」として書かれたものですから、「大筋では事実だが、細部には大幅にフィクションが混入している」と考えた方がいいでしょう。「ドキュメンタリー」と云うよりは娯楽要素が強い「実録もの」、「歴史小説」に近い感じでしょうか。
作品によって設定や細部が互いに矛盾しているケースも多く見られ、混乱するかもしれませんが、それは娯楽作品であることを重視した結果でしょう。水木サンの左腕があったりなかったりするのが典型的な例でしょうか(ドラマ・映画ではどうするのかな?)。
自伝・伝記それ自体すでに作品として完成度が高いので、ドラマ・映画にするには好都合でしょうね。
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しかし、なぜにこんなに自伝系作品が大量にあるのか。その答えはこの証言にありそうです。
「彼に会った人は異口同音に、作品より彼自身の方が面白いという」(呉智英)-伊藤(2007)より
なるほど、自伝執筆依頼が引きも切らないのも納得。
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ではそのリストを8回(!)に分けて見ていきましょう。まさかこんな分量になるとは思わなかったんですが・・・。自分でも驚いた。
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参考:
・平林重雄・編(2005) 水木しげる詳細年譜. 水木しげる (2005) 『完全版 マンガ水木しげる伝 (下) 戦後編』所収. pp.479-513. 講談社漫画文庫, 東京.
・平林重雄 (2007) 水木しげると戦争漫画(増補改訂版). ユリイカ, vol.37, no.10, 特集・水木しげる[2007/09], pp.74-85.
・伊藤徹 (2007) 証言構成 水木しげるにみせられて四〇年. ユリイカ, vol.37, no.10, 特集・水木しげる[2007/09], pp.91-101.
・Tome Page > 水木しげる作品不完全リスト(鬼太郎シリーズ以外)
http://www.lares.dti.ne.jp/~hisadome/mizuki_2.html
・中場の屁太郎 : 水木しげる作品案内所 水木しげる~希代の天才画家の出版物ガイド
http://kokekakiikii.blog107.fc2.com/
・妖怪庵 > 怪文 > 水木しげる所蔵リスト
http://isimaru.gooside.com/mizukilist.htm
・げげげ通信 : 「水木しげる」と「水木プロダクション」公式サイト > 新着情報 > テレビ・ラジオ関係
http://www.mizukipro.com/tv.htm
世の中には恐るべき水木マニアがたくさんいます。その方々に比べれば、私など小僧もいいとこです。次回より挙げていくリストは、上記のヘビー級資料群なしでは、作ることはできませんでした。ありがとうございます。
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・『別冊新評, vol.13, no.3 水木しげるの世界』. pp.210. 新評社(1980/10).
今回は直接参考にしたわけではないが、今に至る「水木しげる研究」の出発点となった記念すべき本なので、是非明記しておきたい。特に、伊藤徹・編「水木しげる作品リスト」(原型は1974年、自費出版-未見)、呉智英・編「水木しげる年譜」は、後に発表される作品リストや年譜の基礎となった重要作。