2016年5月19日木曜日

冬目景 『空中庭園の人々』 「夕闇古書市」

本エントリーは
stod phyogs 2016年5月19日木曜日 冬目景 『空中庭園の人々』 「夕闇古書市」
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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ついに冬目景に手を出してしまいました。

この人の本は、ここ10年くらい本屋へ行くたびに手に取るのだが、ハマるのがわかりきっていたので、ずっと恐くて買わずに来た(おかしいか?)。

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ついに買った記念すべき1冊めは最新刊

・冬目景 (2016.4) 『冬目景作品集 空中庭園の人々』(BIRZ COMICS). 175pp. 幻冬舎/幻冬舎コミックス, 東京.


















うまい!うますぎる!絵もストーリーもうますぎ。

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冬目景の素晴らしさは、今さら私が語るまでもないのだが、もう非の打ち所がない。

・「夕闇古書市」. 『空中庭園の人々』所収, pp.73-97.
← 初出:(2012.9) 月刊コミックバーズ, 2012年9月号.


















わずか24ページの作品だが、盛り上げ方、オチの切れ味、探している本のエピソード、美少年、女の子の可愛さ・・・完璧です。

もっとも、諸星大二郎ファンとしては、古本屋での怪異、妖艶な着物美女、妖怪の本体は○○だった、などなど、すべてどこかで見たような設定・展開ではあるのだが・・・。しかしその完成度は高い。

作者はもしかすると、本格的に妖怪物に手を出す前の習作としてこれを描いたのかも・・・などと考えたりもする。

とにかく、これはもう「短編マンガの教科書」にしてもいいくらいの完成度。新人作家が、習作のネタとして使ってもいいかも。むしろ同じネタで他の作家がどう描くか、見てみたい気すらする。

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・「青密花」. 『空中庭園の人々』所収, pp.123-173.
← 初出:(2016.3-4) 月刊コミックバーズ, 2016年3月号+4月号.

のような暗い作品が、実は冬目景の本質のような気がする。

しかし本人があとがきで書いているように、ページ数が少ないとコメディにした方がまとめやすいようで、

・「ELEMENT 7」. 『空中庭園の人々』所収, pp.3-32.
← 初出:(2011.12) 月刊コミックバーズ, 2011年12月号.
・「コビト事情」. 『空中庭園の人々』所収, pp.33-54.
← 初出:(2013.12) 月刊コミックバーズ, 2013年12月号.
・「Apartment of the Dead アパート・オブ・ザ・デッド」. 『空中庭園の人々』所収, pp.55-72.
← 初出:(2015.8) 月刊コミックバーズ, 2015年8月号.
・「天国のドア」. 『空中庭園の人々』所収, pp.99-122.
← 初出:(2013.5) 月刊コミックバーズ, 2013年5月号.

はSF/怪奇/ファンタジー・テイストのコメディとしてこれまた完成度が高い。

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というわけで、わかっていたことではあるのだが、当然のようにハマりまして、『空中庭園の人々』を買って以後、3週間ほどで冬目景の単行本は早くも17冊に達しました(笑)。冬目景作品集めで、夏くらいまでは楽しめそうだな。

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(追記)@2016/05/26

とか書きましたが、その後も狂ったようにかき集め、現在28冊。残すは『イエスタ』11+1冊だけとなりました。

『ACONY』がよかったなあ。こういう生意気な小娘に翻弄される系の話は好きだ。アコニーがかわいくない、という意見もあるが、かわいいですよね。「かわいげ」はないけど。

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(追記)@2016/06/05

『イエスタデイをうたって』全11巻読了。なんだ・・・この話は・・・。ダラダラ・マンガ・オールタイム・ベスト10には必ず入る作品。

桑田乃梨子『888』全6巻(10年)のダラダラっぷりもすごかったが、それをはるかに上回るダラダラっぷり。18年で全11巻。

ハルちゃんがどんどん暗くなっていくのが耐えられなかった。

これで冬目景マンガ単行本は全部揃ってしまった。夏まで持たなかったな。今のところ画集に手を出す気はない。

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