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2018年2月8日木曜日

kashmir 『てるみな 3』

こちらも待望の

・kashmir (2018.2) 『东京猫耳巡礼记 てるみな 3』. 137pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : てるみなNeu Gleis 01~12. 楽園WEB増刊, 2015/4~2017/12.


装丁 : 平谷美佐子

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1~2巻については、こちらをどうぞ。

2017年4月15日土曜日 kashmir 『てるみな』/『ぱらのま』

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連載がWEB増刊だけになってしまったので、2巻から3年もかかってしまったが、勢いは変わることがない。偏執狂的な背景描き込みはむしろ加速している。

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今回最大の見所は、箱根登攀鉄道の箱根(旧)山頂駅(標高2700m)へ向かう路線の絵。


同書, p.18

見よ!この描き込み。おそらく、これを楽しんで描いている。

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箱根山はもともと2700mの高山だったのだが、火山の噴火によるカルデラ陥没で低くなってしまった。しかし、その旧山頂を鉄道で再現しているのだ。

とまあ、そういう妄想理論(笑)。この暴走しまくり、楽しいぞ!

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同書, p.32

これは、急多川線・多河原駅と西川線・是を結ぶ新線、「多魔多魔線」だ。

路線の大半が多川の下を通っているので、トンネルの天井からは漏水ならぬ「漏」が激しい(笑)。このホラ話、いいぞ、いいぞ。

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しかし、何と言っても素晴らしいのは、2回に渡る「銚子編」だな。


同書, p.77

これは銚子の町並み。どこへ行っても異様な干物だらけ。あはは。

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そして醤油(笑)。醤油工場の見学対応係のおねーさんが、とてもアブナくて魅力的だ。


同書, p.83

この溶けたような瞳の描き方は初めて見た。異様だが、いいなあ、これ。アブナさを、こういう風に表現できるんだ。

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今回「あれっ?」と思ったのはこれ。


同書, p.70

読めない字で書かれたおつかいアイテムだ。

これ、panpanyaの「完全商店街」そのまんまじゃないか!

2016年8月9日火曜日 panpanya 3連発

を参照のこと。

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WEB増刊で最初見た時は、「こんな、まんまのパクリ、いいのかよ?」と思ったものだが、今回同時発売の『二匹目の金魚』と『てるみな3』を両方見て、なんとなく事情がわかってきた。

panpanyaの方は、執拗な風景描き込みは今回控えめ。一方、kashmirの方は加速している。

これ、両者の間で何か意識的な「棲み分け」が発生しているようなのだ。

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つまり、風景が主人公になるような、執拗な描き込み路線は、少なくとも「楽園」誌上(あるいはWEB増刊)では、panpanya→kashmirへと継承(あるいは暖簾分け)されたのだ。

だから、『二匹目の金魚』の方は理詰めのストーリー重視。『てるみな3』の方は描き込み重視路線を継続、となっているのではないだろうか?

おそらく両者の間に個人的な交流、それも信頼関係ができているんだと思う。

さっきの「読めない字」を、kashmirがそのまんま出してきたのは、無断ではなく、panpanyaの了解の上。そしてこれで、上述の「継承」が宣言されている、とみた。

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なんちゃって、実際は全然違うかもしれませんが(笑)。

こういう深読みをしたくなるpanpanya、kashmirのマンガ。どちらも素晴らしい。あと何年もこういうマンガを描き続けてほしい。

豊穣なる日本マンガの最先端を、リアルタイムで楽しめる我々は幸せです。

2017年6月29日木曜日

中央線本新刊と今尾恵介・多摩本2冊

2016年8月24日水曜日 『終電ちゃん』の副読本2冊

で紹介した

・山田亮 (2016.5) 『JR中央線・青梅線・五日市線 各駅停車』. 223pp. 洋泉社, 東京.

に続く中央線本を買った。それがこれ↓。

・矢島秀一・文, 朝日新聞社・写真 (2017.7) 『朝日新聞社が撮った中央線の街と駅 【1960~80年代】』. 127pp. メディア・パル, 東京(発売)/フォト・パブリッシング, 東京(発行).


デザイン : 柏倉栄治

若干控えめですが、やっぱり中央線カラー(笑)。

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前掲書とは、編集方針がほぼ同じような本。中央線の各駅の古い写真と古い地図を掲載している。だから地図も写真もダブりまくり。

この本の特色としては、版型が大きいこと(B5版)と朝日新聞社撮影の航空写真(これが売り)が多いこと。

版型が大きいだけに、写真も地図も細部観察がしやすく助かる。こういう本は1度見て終わりではなく、何度も眺めて細部を観察し、色んな発見をするのが醍醐味。

これからしばらく楽しめそうだ。

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しかし、路線・駅ウンチクは、前掲書のほうが充実してるかな。なによりも、前掲書は中央線だけじゃなく、青梅線・五日市線もカバーしてるし。

最近は、こういった東京周辺の鉄道・駅の古い写真と古い地図を組み合わせた本がたくさん出ている。本屋へ行くと、そんな本が平積みされてるんだから驚きですよね。

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この手の本では、実は写真こそない、か、少ないものの、地図マニアの第一人者・今尾恵介さんの本が一番面白い。

写真がないかわりに、今尾さんの本では、歴史の視点が強いことが特徴。古い地図も2枚以上並べて、その変化を分析するのが今尾流。

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今尾地図本はたくさんあるけど、その中でも東京・多摩を取り上げた本は2冊出ている。

・今尾恵介 (2008.7) 『多摩の鉄道沿線 古今御案内』. 317pp. けやき出版, 立川.


装丁 : 山口裕美子

・今尾恵介 (2015.4) 『地図でたどる多摩の街道 30市町村をつなぐ道』. 197pp. けやき出版, 立川.


カバーデザイン :福田正江

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どちらも、多摩地区ローカル誌「多摩ら・び」(現「たまら・び」、けやき出版刊)での連載が母体になっている。

前者は鉄道路線ごとに鉄道と街の発展に注目し、後者は市町村ごとに道に注目してまとめているのが特徴。

中身も紹介したいのだが、今尾本では、常に国土地理院の承認を得た上で地図を掲載している。ここで無許可複製するわけにはいかない。

ぜひ買ってじっくり見てほしい。立ち読みや図書館から借りて1回位読んだだけじゃ、この本を本当に楽しんだことにならない。何度も何度も地図を舐めるように見比べて、そして実際の場所にも行ってみたりして、頭の中に3次元歴史地図(平面×時間)を作り出してほしい。

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(追記)@2017/06/29

ちなみに、矢島+朝日(2017.7)では、古い地図ではまだ駅ができていなかった東小金井、西国分寺については、現在の位置に赤丸がついている。・・・はずなのだが、全然違う場所だ。トホホ。

地図担当の人は、地図読み、特に多摩地区についてはあまり詳しくない人のようで、残念。

2017年4月15日土曜日

kashmir 『てるみな』/『ぱらのま』

・kashmir (2013.4) 『东京猫耳巡礼记 てるみな 1』. 149pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : 楽園, no.5-10[2011.5-2012.10]/楽園Web増刊, 2011/4-2012/12.
・kashmir (2015.2) 『东京猫耳巡礼记 てるみな 2』. 149pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : 楽園, no.11-16[2013.2-2014.10]/楽園Web増刊, 2013.4-2014.12.


装丁 : 平谷美佐子

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猫耳小学生が主人公の萌えマンガかと思いきや、中身はこんな ↓


同書1巻, p.67

だったり、こんな↓


同書2巻, p.95

だったりする。

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2016年8月9日火曜日 panpanya 3連発
2016年11月29日火曜日 panpanya 『動物たち』

で紹介したpanpanyaと似た異様に描き込んだ背景が特徴。これに「乗り鉄」、「不気味ファンタジー」、もちろん「ロリ萌え」要素も加えたテンコ盛りの内容。濃いマンガだ。

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「楽園」誌では2011年から連載されていたが、2013年に同系統のマンガを描くpanpanyaも楽園に登場し始めたせいか、本誌では一旦終了。今はWeb増刊で、「てるみなneu」として連載継続中。

panpanyaが相手では分が悪い。kashmirの画力もなかなかのものだが、panpanyaにはやや及ばない。画材(おそらくデジタル?)のせいもあるんだろうけど、まだまだ白っぽくて、禍々しさがちょっと足りないかな。

まあ、そこが、panpanya、そして両者のルーツとなっている逆柱いみりよりもポピュラリティのある所以なんだけど。

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こうして比較してみると、「てるみな」は結構ガロっぽい。時にオチをぶん投げたような回があるし、かなり感覚的。panpanyaは意外にオチをちゃんとつけるし、必ずストーリーがしっかりあるのだ。

どうしても比較してしまうので、kashmir氏には申し訳ないが・・・。

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しかし、


同書1巻, p.118

のように気持ち悪い寄生虫ネタもあるし、


同書2巻, p.79

ローカル(ここでは「東京都」町田市)あるあるネタもあるし、多彩な作風。いろんな才能あるよね。

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なんといっても、現実の東京近郊鉄道路線をモデルとしてはいるが、妄想で7倍位に膨らませた異様な鉄旅が、このマンガの見どころ。

線の高尾山頂直通列車、寄生虫に導かれて西線のお稲荷さんに連れて行かれる話、ゆりくらげ線、町田解放同盟なんかは大好き。

「鉄」要素はないけど、秋葉原の地下へ地下へと潜る話もすごくいい。この辺がkashmir作品の醍醐味。

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「楽園」本誌では、今は「ぱらのま」を連載中。

・kashmir (2017.2) 『ぱらのま 1』. 141pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : 楽園, no.17-22[2015.2-2016.10]/楽園Web増刊, 2015.4-2016.12.


装丁 : 平谷美佐子

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こちらは主人公の年齢も上がり、また、異様な風景も抑えた、まっとうな「乗り鉄」というか「国内旅行」マンガ。鉄分かなり多めだけど。


同書1巻, p.7

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この主人公の原型は、すでに「てるみな」にも出てきていた。

この茫洋としているようで、オタク・マインドにあふれた内面は素晴らしい。孤独をものともしないクールさもいい。このキャラ、どっかで見た他のキャラとよく似てるような気がするんだが、誰だか思い出せない。

最後に登場したメガネ女子は、はたしてレギュラーとなるのか?このへんも見どころだ。

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ところでタイトルの「ぱらのま」って、なんだ?「panorama」のアナグラムなのか?「paranormal(超常(現象))」なのか?謎だ。

そういえばペンネームのkashmirも謎だ。これはやはり3D地図ソフトから来てるんだろうか?地図オタクらしいし。

2016年9月25日日曜日

『終電ちゃん 2』発売!

本エントリーは
stod phyogs 2016年9月25日日曜日 『終電ちゃん 2』発売!
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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・藤本正二 (2016.9) 『終電ちゃん 2』(モーニングKC-2658). 158pp. 講談社, 東京.


















装丁:杉本智行(uni-co)

が発売になりました。

1巻のお話は、こちらでどうぞ。

2016年8月16日火曜日 終電ちゃんに叱られたい

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全7話ですが、中央線の終電ちゃんの主な登場回は3回のみ。他は山手線の終電ちゃん、大阪環状線の終電ちゃん、東海道新幹線の終電ちゃん、長崎の終電ちゃん二人。

表紙は山手線の終電ちゃんですが、第12話にしか出てきません。

全体に散漫になって、1巻の熱気はもうないですね。ページ数も少ないし。狂言回しの寺岡がうまく機能するか・・・、この辺が今後の課題でしょう。

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中央線の終電ちゃんが背負ってる勾配標。あれ、少し反ってるのがいいですね。

線路沿いで見ると、勾配が書いてる板はやっぱり反ってます。木製だから、どこでの勾配標も少し反ってるのです。これがちゃんと描いてあるのが素晴らしい。

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しかし、この勾配標、終電ちゃんはひもで背負ってるんだが、そのひもがかかってるのは終電ちゃんの首(笑)。大丈夫なんだろうか?

まあもう50年以上あのまんまなんだから、もうひもも体と一体化してるのかも知らん。

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ちょっと驚いたんですが、奥付の発行日が、2016年9月23日になっていました。

最近本を発売当日に買うなんてことをしたことがなかったので、知らなかった。いつからそうなってるんですか?

出版業界では、奥付の発行日は実際の発売日の1ヶ月先にすることが通例でしたが、ついにこの悪しき慣例が改善される日が来たのか。感慨深いねえ。

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あと最近感じるのは、出荷時からシュリンク(薄いビニールですね)がかかっているマンガがずいぶん増えたこと。もちろん『終電ちゃん 2』もそう。これによって書店の負担はだいぶ減ったことだろう。

また、バーコードはシュリンクに貼られているので、裏カバーからバーコードが消えた。これによって、裏カバーのデザイン制限がだいぶなくなった。装丁/デザイン担当は喜んでいるでしょう。おそらくカバー絵を描くマンガ家も。

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そのかわり、出版社名と値段も裏カバーから消えた。これは残してもよかったんじゃないかな。特に値段。

バーコード付きシュリンクをはがすと、値段は本のどこにもなくなってしまう。後年、値段を知りたい人は、どっか別のルートで調べなきゃいけなくなる。これは要再考。

本から値段の表示が消えたということは・・・もしかしてこれは、再販制度撤廃の序曲?なんて思ったりして。

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(追記)@2016/09/25

おまけですが、3巻の冒頭は、熱血終電ちゃんが帰ってきます。すでにモーニング掲載済みなのだ。熱血と友情・・・ジャンプみたいだな。

2016年8月24日水曜日

『終電ちゃん』の副読本2冊

本エントリーは
stod phyogs 2016年8月24日水曜日 『終電ちゃん』の副読本2冊
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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・山田亮 (2016.5) 『JR中央線・青梅線・五日市線 各駅停車』. 223pp. 洋泉社, 東京.


















装丁:志村佳彦(ユニルデザインワークス)

中央線本はたくさんあって、ちょっと食傷気味なほど。その中でもこれは買い!

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古い写真、古い地図満載。古い地図(昭和前半頃のものが多い)は住宅・商業地造成による改変前の原地形がわかって興味深い。

古い地図を集めた本も、結構多いんだが、みな高いんですよ。だからこういうコンパクトにまとめた本は貴重。

あと、青梅線、五日市線を取り上げているのもポイント高い。

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お次はマンガ。

・小坂俊史(こさかしゅんじ) (2009.10) 『中央モノローグ線』(BAMBOO COMICS). 115pp. 竹書房, 東京.


















装丁:名和田耕平デザイン事務所

表1の風景がどこか、中央線住民ならすぐわかりますね。ついでに表4も。


















これもすぐわかるでしょう。著者の中央線愛が伝わってくる表紙です。

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中央線住民の女性たちのモノローグ四コマ。最初に出てくるのは、中野、高円寺、吉祥寺。

あーありがちだなー、と思って見ていると、次に出てくるのがなんと武蔵境。これがこの本の特殊な点ですね。

いわゆる「中央線文化」と呼ばれるのは、高円寺とか吉祥寺とかが中心となっている。だいたい三鷹より東、中央・総武線エリアだ。三鷹以西の「田舎くさい中央線」とは別世界。

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その田舎くさい中央線が始まるのが、「一昔前は」武蔵境からだった。高架化以降ずんずん都会化して、武蔵境はいまや「中央線マイナー四強」からは脱却しつつある。

残りの「マイナー三強」は、東小金井、西国分寺、西八王子です。さすがにこのエリアは、このマンガでも取り上げられなかったが。

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しかしこのマンガ、作者は男性なのですね。

男性がマンガで描く女性は、時に女性には気持ち悪く映るらしいのだが、このマンガは女性が読んでも違和感ないんじゃないだろうか?

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中央線マンガは他にも何冊かあったと思うので、そのうちまた探して取り上げてみよう。

それにしても2冊とも見事に中央線カラーだなあ(笑)。

2016年8月16日火曜日

終電ちゃんに叱られたい

本エントリーは
stod phyogs 2016年8月16日火曜日 終電ちゃんに叱られたい
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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・藤本正二 (2016.3) 『終電ちゃん 1』(モーニングKC-2580). 190pp. 講談社, 東京.


















装丁:杉本智行(uni-co)

いわゆる「擬人化マンガ」と思いきや、どうもちょっと違うらしい。

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東京都を東西に横断するJR中央線。その高尾行最終電車を司っているのが「終電ちゃん」。正確には「中央線の終電ちゃん」。

というのは、各社各路線にそれぞれ独自の「終電ちゃん」がいるらしいのだ。

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駅では酔客をどなりつけ、酔いつぶれている客は起こしたり車内に運び入れたり、とにかくすべての客を乗せるのを使命としている。ダイヤを守ることは重視していない。

徹底的に乗客への慈愛に満ちている。口は悪いが。だから乗客からの信頼・人気もすごいのだ。

「よーし 出発する前に一言 お前たち全員に 言っておきたいことがある!」
「終電ちゃんだ!」
「明日は必ず もっと早い電車で帰るって 約束しな!!」
「はーい!!!するするーッ!!」

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馴染みの乗客にはいちいち声をかける。どうやら、終電ちゃんは、すべての客の下の名前を知っているらしいのだ。ただの擬人化キャラではありませんね。

厳しさと慈愛を兼ね備えたキャラ。これは・・・。

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発車時刻も終電ちゃんが決める。東京総合指令室より偉いのだ。運転士も車掌も駅員も、駅長すら終電ちゃんを怖れ、へりくだって話しかける。


















(『終電ちゃん 1』 p.38)

見得を切るポーズの男前なこと。

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終電ちゃんは中央線終電の擬人化キャラか?妖精か?それとも女神か?と議論がなされているわけですが、これはもう決定です。

『終電ちゃん』「終電ちゃんとクリスマス(後編)」 p.139で終電ちゃんが言っているではないですか

「ああやっと分かったかい 厄介事ばかりの疫病神なんだよ私は!」

って。だから(女)神様なんですよ。

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中央線の終電ちゃんは、なぜか背中に変なものを背負っている。これは勾配標。

仏教の仏様は、皆独自の持ち物(持物(じもつ)と云います)を持っています。たとえば、観世音菩薩=蓮華、薬師如来=薬壺、文殊菩薩=経冊+剣など。それぞれの尊格の属性(つまりお経で語られている仏の性格)を一発で表現する持ち物となっています。

中央線の終電ちゃんの勾配標はこれと同じですね。

他の終電ちゃんも独自の持物を持っています。JR山手線の終電ちゃんは転轍機を引きずっているし、小田急小田原線の終電ちゃんはカンテラを持っています。

それぞれの持物にはこういう由来が・・・ないんだろうなあ(笑)。この辺は、下手につじつまを合わせるとツッコミが入るところでしょうから、由来を語るエピソードなどは入れない方がいいかも。

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終電ちゃんは、走行中は電車の先頭の屋根に座っています(ほんとはあり得ないが)。これも女神である証拠。

これは、船の舳先に飾られているアレ。そう船の守り神である女神様、それと同じなのです。

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マンガで語られている中央線の終電は高尾行。しかし、実は高尾行終電の後には、武蔵小金井行終電、三鷹行終電がまだあるのだ。

                                東京   新宿   吉祥寺   終点
高尾行終電             24:20  24:41  24:58    高尾 25:37
武蔵小金井行終電  24:27  24:50  25:07    武蔵小金井 25:17
三鷹行終電             24:35  25:01  25:18    三鷹 25:21

出典:
・chuosen.jp > 基礎知識 終電時刻表 (as of 2016/08/15)
http://www.chuosen.jp/timetable/lasttrain/

ということは、武蔵小金井行終電ちゃん、三鷹行終電ちゃんもいるのだろうか?

ここは「中央線の終電ちゃんは実は三姉妹」という説を主張したい。もちろん長女があの「高尾行終電ちゃん」。

いつか二人の妹終電ちゃんも見てみたいが(自分でかってに思っているだけですが)、このへんも「今まで全然触れないじゃないか」とツッコミが入りそうなので、もし出すとしても、おまけの四コマかなんかで軽く触れるだけにしといた方がいいかも。

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それにしても、この作者は新人にしてすごいキャラを発見してしまったもんだ。ちばてつや賞受賞作の週刊モーニング掲載後わずか2ヶ月でいきなり連載開始(月一連載)なんだから、実力はある。

絵はまだ下手だけど、これからみるみるうまくなるはずだから全然心配していない。

絵よりもストーリーに長けた人。「人情もの」の展開は安定しているし、ストックもまだまだ持ってそう。そんなに若い人ではないと見た(30代?)。

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とはいえ、「終電ネタ」でそうそう続くものでもないだろう。「終電ちゃんとクリスマス(前後編)」で大ネタをかましてしまったし(たぶんこれが一番描きたかったネタとみたぞ)。

あとは終電ちゃんを狂言回しにして、乗客の人情話で延々連載を続けるか・・・。

ネタ出しに苦しむくらいなら、3巻くらいで早めに風呂敷をたたむのもひとつの手。実力ありそうだから、次回作も楽しみだ。

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誰も指摘しないけど、「終電ちゃん」のタイトルロゴ。これは、駅とも関係が深い「修悦体」を模したもの。これもなかなかいい感じ。

2巻は2016年9月23日発売だそうだ。楽しみ。