こちらも待望の
・kashmir (2018.2) 『东京猫耳巡礼记 てるみな 3』. 137pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : てるみなNeu Gleis 01~12. 楽園WEB増刊, 2015/4~2017/12.
装丁 : 平谷美佐子
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1~2巻については、こちらをどうぞ。
2017年4月15日土曜日 kashmir 『てるみな』/『ぱらのま』
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連載がWEB増刊だけになってしまったので、2巻から3年もかかってしまったが、勢いは変わることがない。偏執狂的な背景描き込みはむしろ加速している。
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今回最大の見所は、箱根登攀鉄道の箱根(旧)山頂駅(標高2700m)へ向かう路線の絵。
同書, p.18
見よ!この描き込み。おそらく、これを楽しんで描いている。
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箱根山はもともと2700mの高山だったのだが、火山の噴火によるカルデラ陥没で低くなってしまった。しかし、その旧山頂を鉄道で再現しているのだ。
とまあ、そういう妄想理論(笑)。この暴走しまくり、楽しいぞ!
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同書, p.32
これは、东急多魔川線・多魔河原駅と西部多魔川線・是正を結ぶ新線、「多魔多魔線」だ。
路線の大半が多魔川の下を通っているので、トンネルの天井からは漏水ならぬ「漏鯉」が激しい(笑)。このホラ話、いいぞ、いいぞ。
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しかし、何と言っても素晴らしいのは、2回に渡る「銚子編」だな。
同書, p.77
これは銚子の町並み。どこへ行っても異様な干物だらけ。あはは。
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そして醤油(笑)。醤油工場の見学対応係のおねーさんが、とてもアブナくて魅力的だ。
同書, p.83
この溶けたような瞳の描き方は初めて見た。異様だが、いいなあ、これ。アブナさを、こういう風に表現できるんだ。
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今回「あれっ?」と思ったのはこれ。
同書, p.70
読めない字で書かれたおつかいアイテムだ。
これ、panpanyaの「完全商店街」そのまんまじゃないか!
2016年8月9日火曜日 panpanya 3連発
を参照のこと。
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WEB増刊で最初見た時は、「こんな、まんまのパクリ、いいのかよ?」と思ったものだが、今回同時発売の『二匹目の金魚』と『てるみな3』を両方見て、なんとなく事情がわかってきた。
panpanyaの方は、執拗な風景描き込みは今回控えめ。一方、kashmirの方は加速している。
これ、両者の間で何か意識的な「棲み分け」が発生しているようなのだ。
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つまり、風景が主人公になるような、執拗な描き込み路線は、少なくとも「楽園」誌上(あるいはWEB増刊)では、panpanya→kashmirへと継承(あるいは暖簾分け)されたのだ。
だから、『二匹目の金魚』の方は理詰めのストーリー重視。『てるみな3』の方は描き込み重視路線を継続、となっているのではないだろうか?
おそらく両者の間に個人的な交流、それも信頼関係ができているんだと思う。
さっきの「読めない字」を、kashmirがそのまんま出してきたのは、無断ではなく、panpanyaの了解の上。そしてこれで、上述の「継承」が宣言されている、とみた。
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なんちゃって、実際は全然違うかもしれませんが(笑)。
こういう深読みをしたくなるpanpanya、kashmirのマンガ。どちらも素晴らしい。あと何年もこういうマンガを描き続けてほしい。
豊穣なる日本マンガの最先端を、リアルタイムで楽しめる我々は幸せです。
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