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2017年9月18日月曜日

アルチンボルド「裸体寄せ絵人面画」の追随者たち

2017年8月7日月曜日 アルチンボルド→国芳の流れ

の続きになります。

Arcimboldoの追随者の作品、特に「裸体寄せ絵人面画」をいくつか見つけました。


Google画像検索結果を一部改変

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これは、Google画像検索で「arcimboldo herod|herodes」で検索した結果。

1~6と9は、いずれも「Herod」あるいは「Herodes」というタイトル。すなわち古代ユダヤのヘロデ王のことです。

これらの作品は、「Arcimboldo作」とされていることもあれば、「Arcimboldoの追随者の作」とされていることもあります。

でも私は、どれも「追随者の作」だと思います。だって下手だもん。

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7は「ヘロデ王」ではありませんが、これも「裸体寄せ絵人面画」。これも「追随者の作」でしょう。

しかしこれで、前回紹介したBossiの他にも、Arcimboldoを真似て「裸体寄せ絵人面画」を描いた画家が、思いのほかたくさんいることがわかった。これは収穫だった。

それならば、そのうちのいくつかが、おそらく模写という形で日本に伝わってもおかしくない。『芸海余波』のように。

調べると色々面白いことがわかってくる。調査継続。

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ところで、おまけでもう一つ面白いことがわかった。

先ほどの検索結果の8。タイトルは「Trojan Horse(トロイの木馬)」。

これも「Arcimboldoの作」とも「追随者の作」ともいわれている。

これまたすごい作品だ。SwedenのNational Portrait Gallery所蔵だそうな。うーん、見てみたい。

参考 :

・Jahsonic/The Art & Popular Culture Encyclopedia > Trojan Horse (Arcimboldesque) (This page was last modified 15:04, 8 December 2013)
http://www.artandpopularculture.com/Trojan_Horse_%28Arcimboldesque%29

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なお、10は、

2017年8月7日月曜日 アルチンボルド→国芳の流れ

で紹介しきれなかったEveです。

2017年8月7日月曜日

アルチンボルド→国芳の流れ

2017年7月1日土曜日 「アルチンボルド展」に行ってきました

でも触れましたが、Arcimboldoの寄せ絵と歌川国芳の寄せ絵は、確実とは言えないまでも、「ある程度関係ありそうだ」というところまではわかっています。

でも、絵なしではその流れはわかりにくいですね。というわけで、絵をつけました。

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Giuseppe Arcimboldo (1578) Eve and the Apple, with Counterpart (right, Adam).
デ・ジローラミ・チーニー(2017)p.222より.

Eve像は省略。この絵がArcimboldo自身の筆になるものかどうかは確実ではないらしく、作者が「アルチンボルドの工房」となっている場合もあります。

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その後、Arcimboldoの追随者が現れますが、ほとんどはヘタな模倣でした。

「裸体寄せ絵肖像画」で、上記Eve & Adam画にそっくりな絵は、18~19世紀に現れます。


Bartolomeo Bossi(18~19C) Composite Head of a Man.
フェリーノ=パグデン+渡辺・編 (2017)p.155より.

この絵は、今回の展覧会が世界初公開。Eve画は省略。

Arcimboldoから約200年たって、突如そっくりさんが現れたかのように見えますが、おそらく「現在見つかっているのはこれだけ」ということなのでしょう。Eve & Adam画の模倣者は、Arcimboldo以降連綿と続いていたと思われます。

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そういった寄せ絵の一部は、模写という形で19世紀の日本に伝わります。


松平斉民・収集 (19C) 人物画. 『芸海余波 第五集』所収. 早稲田大学図書館所蔵, 東京.
府中市美術館・編(2017)p.84より.

この絵は、ArcimboldoともBossiとも若干違います。おそらく、この手の「裸体寄せ絵肖像画」はたくさんあったのでしょう。そのうちの一つが、模写という形で日本まで届いていたということです。

これは大発見。府中市美術館エライ!

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そして、勉強家である歌川国芳が、この本を見たか、あるいは別ルートで、この手の「裸体寄せ絵肖像画」を見た可能性は充分あるでしょう。

もしかすると、「西洋には、こういう変な絵があるよ」と人づてで聞いただけなのかもしれません。国芳なら、そんな情報だけからでも「裸体寄せ絵肖像画」を描いてしまいそうな気がします。

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そして描かれたのが、一連の「裸体寄せ絵肖像画」


歌川国芳 (ca.1848) 人かたまつて人になる.
府中市美術館・編(2017)p.84より.

これは横顔なので、Arcimboldoの流れをくんでいる、とも言えそうですが、


歌川国芳 (ca.1848) みかけハこハゐがとんだいゝ人だ.
府中市美術館・編(2017)p.85より.

こういう斜めからの角度は、国芳独自の発想でしょう。

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というわけで、Arcimboldo→国芳という流れは、ある程度つながるわけですが、まだ「『芸海余波』→国芳」の部分がmissing linkになっています。

でも、昨今の国芳研究には目覚ましいものがあるので、その部分も早晩解決しそうな気がします。期待していましょう。

それにしても、「時空的に離れた二者がつながっている」ことがわかった瞬間は、ほんとうに驚きだし、また楽しいですよね。まさに学問の醍醐味です。

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なお、「アルチンボルド展」図録に収録されているバイヤー(2017)では、Arcimboldo流「裸体寄せ絵肖像画」の日本への伝来については、「かといって否定されるべきものでもない」と言うにとどめています。

しかしバイヤー先生が「国芳展」図録を見たら、両者の関係性について、より発展的な考察が展開されることになるでしょう。こちらも今後に期待しましょう。

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文献 :

・府中市美術館(金子信久+音ゆみ子)・編著 (2017.3) 『歌川国芳 21世紀の絵画力』. 287pp. 講談社, 東京.
・シルヴィア・フェリーノ=パグデン+渡辺晋輔・責任編集 (2017.6) 『ARCIMBOLDO : NATURE INTO ART』. 244pp. 国立西洋美術館, 東京/NHK, 東京/NHKプロモーション, 東京/朝日新聞社, 東京.
・アンドレアス・バイヤー・著, 岩谷秋美・訳 (2017.6) 多重形象化の芸術 ジュゼッペ・アルチンボルドの寄せ絵と二重化されたイメージの意味生産. 『ARCIMBOLDO : NATURE INTO ART』所収. pp.137-141. 国立西洋美術館, 東京/NHK, 東京/NHKプロモーション, 東京/朝日新聞社, 東京.
・レアナ・デ・ジローラミ・チーニー・著, 笹山裕子・訳 (2017.6) 『アルチンボルド アートコレクション』. 255pp. グラフィック社, 東京.
← 英語原版 : Leana De Girolami-Cheney (2013.10) ARCIMBOLDO (MEGA SQUARE). 256pp. Parkstone Press, NY, USA.

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なお、府中市美術館の「国芳展」については、こちらをどうぞ↓

2017年3月29日水曜日 府中市美術館 「歌川国芳 21世紀の絵画力」展
2017年4月24日月曜日 府中市美術館 「歌川国芳 21世紀の絵画力」展 2回目

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(追記)@2017/08/10

なお、

・松平斉民・収集 (19C) 『芸海余波 第五集』. 早稲田大学図書館所蔵, 東京.

は、早稲田大学図書館のサイトで見ることができます。

・早稲田大学 > 学部・大学院・図書館 > 図書館 : 早稲田大学図書館 > コレクション・刊行物 > 古典籍総合データベース >芸海余波. 第1-16集 > 芸海余波 第5集(as of 2017/08/09)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i05/i05_01646/i05_01646_0005/i05_01646_0005.html

このうち、前述の「裸体寄せ絵肖像画」(模写)のページは、

・早稲田大学 > 学部・大学院・図書館 > 図書館 : 早稲田大学図書館 > コレクション・刊行物 > 古典籍総合データベース >芸海余波. 第1-16集 > 芸海余波 第5集 > 16枚目 (as of 2017/08/09)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i05/i05_01646/i05_01646_0005/i05_01646_0005_p0016.jpg

「裸体寄せ絵肖像画」(模写)のクローズアップは

・早稲田大学 > 学部・大学院・図書館 > 図書館 : 早稲田大学図書館 > コレクション・刊行物 > 古典籍総合データベース >芸海余波. 第1-16集 > 芸海余波 第5集 > 図55 (as of 2017/08/09)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i05/i05_01646/i05_01646_0005/i05_01646_0005_p1055.jpg

2017年7月1日土曜日

「アルチンボルド展」に行ってきました

2017年5月29日月曜日 「アルチンボルド」展は絶対行きます

で宣言したとおり、上野の国立西洋美術館に行ってきました。

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・国立西洋美術館/アルチンボルド展(as of 2017/05/28)
http://arcimboldo2017.jp/

会期 : 2017年6月20日(火)-9月24日(日)
会場 : 国立西洋美術館[東京・上野公園]
http://www.nmwa.go.jp/
〒110-0007 東京都台東区上野公園7−7
休館日 : 月曜日、7月18日(火) *ただし、7月17日(月)、8月14日(月)、9月18日(月)は開館
時間 : 午前9時30分―午後5時30分(金・土曜日は午後8時まで) *入館は閉館の30分前まで
お問合せ : 03-5777-8600[ハローダイヤル]
観覧料金 : 当日 一般 1,600円 大学生 1,200円 高校生 800円   前売/団体 一般 1,400円 大学生 1,000円 高校生 600円  ※中学生以下は無料 ※団体は20名以上 ※心身に障がいのある方とその付き添い者1名は無料(入館の際に障がい 者手帳をご提示ください) 【前売券】2017年3月21日(火)〜6月19日(月)まで〔国立西洋美術館では6月18日(日)まで販売〕
【チケット販売場所】国立西洋美術館(開館日のみ)、展覧会ホームページほか、ローソンチケット、イープラス、チケットぴあなど各主要プレイガイドにて販売 ※手数料がかかる場合があります


同展パンフレット, p.1

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毎年書いてるが、この時期、上野は修学旅行の中学生でいっぱい。にぎやかでいいね。

驚いたことに、このArcimboldo展を見に来ている修学旅行生もいた。中学生は無料だからにしても、偉いぞ君たち。こういう変な絵をたくさん見て、変な大人になってくれたまえ。

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入ってすぐの「自分の顔をArcimboldo風にしてくれるアトラクション」は、平日だというのに長蛇の列。少し眺めて、自分がトライするのは諦めた。

でも、見たところ、みんなArcimboldoと言うよりは、その追随者であるFrancesco Zucchi(1562~1622)ぽくなっていたが、どうか?

しかしこれは人気あるだろうね。おもしろいもの。ソフト作製者エライ!

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Arcimboldoと言えば「寄せ絵」だが、今回の展覧会に来ていたArcimboldo作の寄せ絵は

「紙の自画像」、「四季」、連作「四季」4作、連作「四大元素」4作、「ソムリエ(ウェイター)」、「司書」、「法律家」、「庭師/野菜」、「コック/肉」

と、15作品。思ったよりも少なかった。

それでも、今回の目玉である連作「四季」、連作「四大元素」はやっぱりすごかった!

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奥様方に人気なのはやっぱり、花でできた「春」。海棲生物でできた「水」も人気だった。細部の見どころは、これが一番あるしね。

細部を見て理屈脳を作動させつつ、そこから徐々に遠ざかり、顔面であることが認識できた時に、感覚脳に切り替わる瞬間がたまらない。

脳が騙されている様子を、リアルタイムで自分の脳が観察できるのだよ。こんな楽しいことはない。

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あと驚いたのは、発色のよさ。とても450年前(16世紀末)のものとは思えない。保守・修復がよっぽど緻密に管理されてるんだな。油彩画恐るべし。

これは図録↓

・シルヴィア・フェリーノ=パグデン+渡辺晋輔・責任編集 (2017.6) 『ARCIMBOLDO : NATURE INTO ART』. 244pp. 国立西洋美術館, 東京/NHK, 東京/NHKプロモーション, 東京/朝日新聞社, 東京.


デザイン : 梯耕治

残念ながら、図録は発色が悪い。図録でも悪くはないが、現物の発色は圧倒的な迫力。照明のセッティングも見事なのだろうけど。

とにかく「現物を見ろ」だ。

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Arcimboldoの絵は、寄せ絵以外にも普通の肖像画、生物画、生物画、下絵デッサンなども多数展示。Leonaldo da Vinciの流れをくむルネッサンスの画家であることがはっきりわかる。特に博物学的な絵に長けた人。

Vienna Habsburg家が世界中から集め、収蔵庫Kunst und Wunder Kammer(芸術と驚異の部屋)に保管していた珍しい産物や生物標本を、憑かれたように大量にスケッチしていったArcimboldoだが、彼はそれに飽きたらず、それらを組み合わせてバストショットの肖像画にして行ったのだった。

その過程が理解できるように展示が工夫されていた。

ただし、目玉の寄せ絵は数が少ないので、会場・図録のあちこちに同じ絵(レプリカ)が何度も顔を出す。ちょっとしつこく感じる人もいるかもしれない。

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Arcimboldo以前、以後の寄せ絵も多数展示されていて、寄せ絵のパースペクティヴがだいぶ把握できるようになった。それだけでも、ものすごく面白い。

まず驚くのは、Giuseppe Arcimboldo(1526~93)以前の寄せ絵。

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一番古いのは、なんと「男根の組み合わせで顔面を描いた絵皿」だ。Italy GubbioのFrancesco Urbini(?~1530-36~?)による1536年の作品。

所蔵館であるUniversity of Oxford(UK)のAshmolean Museumのwebsiteで見ることができる。

・Gardens, Libraries & Museums, University of Oxford > Out in Oxford > Ashmolean Museum > Dish with a composite head of penises(as of 2017/06/30)
http://www.glam.ox.ac.uk/outinoxford-ash-dish

性欲に支配された男を風刺したものだという。悪趣味、気持ち悪い、と思う人が多いかもしれない。

しかし、これがArcimboldoに影響を与えたのは、ほぼ確実でしょう。Gubbioは中部イタリアの都市。Milano出身のArcimboldoがこの作品自体、あるいはその類似品を見ている可能性はかなり高い。

今回展示されている作品は、動植物や無機物の寄せ絵ばかりだが、実はArcimboldoには人間の裸体を組み合わせた寄せ絵もある(後述)。それらは特に上記男根寄せ絵と似ている。

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お次は、「風刺作家・詩人Pietro Aretino(1492~1557)の肖像を描いたメダル」。16世紀第2四半期(1525~50頃)の作品。

メダル自体はかなりの数鋳造されているので、web上でもあちこちで見ることができるが、今回展示されていたメダルが最も保存がよい。Museo Nazionale del Bargello, Firenze, Italyの所蔵。北イタリアVeneziaで作られたもので、先ほどのGubbioよりMilanoに近づいている。

・Antiqua.mi > Attilio Troncavini/Medaglie aretiniane "satiriche"(「風刺作家」アレティーノのメダル)(2016/05/02)
http://www.antiqua.mi.it/Troncavini_Medaglie_Mag16.html

表はAretinoの横顔。これは普通。

しかし裏は、髪の毛が男根で出来ている男の横顔だ。この男がAretinoとどういう関係で、なぜんそんな絵を裏においたのか謎。Aretinoのおふざけぶりを賞賛するものなのか、馬鹿にするものなのか・・・。

しかし、男根肖像の絵皿よりは、だいぶ洗練されてきている。

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そして、16世紀後半、Arcimboldoが次々と寄せ絵を作り始める。しかし寄せ絵の素材は、動植物・無機物とすっかり上品になり、男根などという下品な素材は出てこない。

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今回展示されているArcimboldoの寄せ絵は15作品だが、今回来なかった寄せ絵がまだまだある。

Arcimboldoの作品一覧はここを見るといいだろう↓

・WahooArt.com > Fine Art : All Artists > G > Giuseppe Arcimboldo > All 170 Artworks of Giuseppe Arcimboldo (as of 2017/06/30)
http://en.wahooart.com/Art.nsf/Art_EN?Open&Query=[Champ1]+contains+%22Giuseppe%20Arcimboldo%22

特に惜しいのが、

Vortumnus(Rudolf II)
Basket of Fruit
5作あるThe Seasons
Seated Figure of Summer
The Admiral
四季シリーズも別バージョンが色々あるらしい

あたり。

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代表作ともいえる「ルドルフ2世」は、2017年11月~2018年5月(福岡→渋谷→滋賀)に開催される「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」

・チェコ文化年2017委員会/日本におけるチェコ文化年2017 > イベント : 展覧会/美術 > 神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展(as of 2017/06/30)
http://czechculture2017.jp/310703285412525125401251024093222693034324093-12523124891252312501652981999012398395143006412398199903002823637.html

で別途来ることを知っていたので、私はショックではなかったが、これを楽しみにしていた観覧客も、かなりいたんじゃないかなあ(図録には小さい絵で何度か登場する)。

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私が楽しみにしていた作品で、今回来なかった、そして図録にも取り上げられていない重要な2作品がこれ↓

・WahooArt.com > Fine Art : All Artists > G > Giuseppe Arcimboldo > Portrait of Eve(as of 2017/06/30)
http://en.wahooart.com/@@/8BWLJR-Giuseppe-Arcimboldo-Giuseppe-Arcimboldo--Portrait-of-Eve

・WahooArt.com > Fine Art : All Artists > G > Giuseppe Arcimboldo > Portrait of Adam(as of 2017/06/30)
http://en.wahooart.com/@@/8BWLJQ-Giuseppe-Arcimboldo-Giuseppe-Arcimboldo--Portrait-of-Adam

「イヴの肖像」「アダムの肖像」だ。

これらは、子供の裸体で構成された肖像画なのだ。さあどんどん国芳の寄せ絵に近づいて来たぞ。

裸体で構成されているのは顔面だけで、他の部分は普通の絵なので、動植物を素材とした作品に比べると、完成度は低いかもしれない。

しかし、Arcimboldo作品の中では最も不気味な光を放つ2作品であり、今回来なかったのが本当に残念だ。

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Arcimboldoの奇妙な寄せ絵は、若干の追随者を生んだらしく、それらの寄せ絵もいくつか展示されていた。

しかし大半は、Arcimboldo作品の単なる模写、それもヘタ、であり、見てもあまり面白いものではない。

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上記「イヴの肖像」、「アダムの肖像」とよく似た、裸体を素材に使った寄せ絵が、18~19世紀に突如現れる。

それがBartolomeo Basso(18C~19C)による「女性の頭部」「男性の頭部」だ。これは間違いなくArcimboldoの「イヴ」「アダム」を見て影響を受けている。そっくりだもの。

なお、これは今回世界初公開で、web上で検索しても全く出てこない。

唯一今回の展覧会の紹介記事に入っているので、そこで見てほしい(もちろん展覧会にも行ってほしい)。

・アソビュー/asoview ! NEWS 読むとお出かけしたくなる、遊びのニュース > エンタメ > 古怒田桃子/「アルチンボルト展」国立西洋美術館で開催中!謎の絵画の全貌を一挙レポート(最終更新:2017/06/21)
https://asoview-news.com/article/12043/

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この手の「裸体寄せ絵肖像画」は、この他には報告がないが、おそらく結構あったんだと思う。

2017年5月29日月曜日 「アルチンボルド」展は絶対行きます

のコメント欄でちょっとだけ触れた、

・松平斉民・収集 (19世紀) 『芸海余波 第五集』. 早稲田大学図書館所蔵, 東京.
http://www.wul.waseda.ac.jp/kosho/i05/i05_01646/

に収録されている「裸体寄せ絵肖像画」(線画での模写)の原画は、そんな絵の一つだったに違いありません。

「裸体寄せ絵肖像画」がこういった形で日本まで伝わり、それを見たか、あるいは噂で「こういう変な絵があるよ」と聞いただけかもしれませんが、江戸時代末期の絵師・歌川国芳(1798~1861)が影響を受け、「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」をはじめとする寄せ絵を描いた可能性は十分あるのです。


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「国芳の寄せ絵が、Arcimboldoの寄せ絵の影響を受けている」と言われても、「いや、時代も場所もぜんぜん違うでしょ。偶然じゃないの?」と思っていたのだが、先般の府中での「国芳展」と今回の「Arcimboldo展」で、両者が細いながらも糸でつながった。

これには大変興奮しました。いやあ、見てきてホントよかった。

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なお、Arcimboldoから国芳、インド細密画まで、寄せ絵の系譜を総覧した論文が図録に収録されているので、そちらも必読です。

・アンドレアス・バイヤー・著, 岩谷秋美・訳 (2017.6) 多重形象化の芸術 ジュゼッペ・アルチンボルドの寄せ絵と二重化されたイメージの意味生産. 『ARCIMBOLDO : NATURE INTO ART』所収. pp.137-141. 国立西洋美術館, 東京/NHK, 東京/NHKプロモーション, 東京/朝日新聞社, 東京.

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それから、もう一つ「目からウロコ」だったのが、Arcimboldoがシュールレアリズムに影響を与えている、という事実。

細部はこの上なく写実的なのに、全体はとてつもなく奇妙奇天烈な絵になっているあたりは、確かにシュールレアリズム、特にSalvador Dali(1904~89)と似ている。

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日本の国芳からDaliまで、時代と空間を超えて意外な影響力を放っているGiuseppe Arcimboldo。

これまでは、「変な絵を描くキワモノ画家」という扱いだったArcimboldoは、実は隠れた大画家であることがわかったわけで、今後ますます注目度が上がっていくでしょう。

次回は、今回来なかった絵、特に「イヴ」と「アダム」も含めて、さらに国芳なんかも入れて、もっと大々的に回顧展をやってほしい。まあ、早くても10年後くらいだろうけど・・・。

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(追記)@2017/07/01

図録はArcimboldoの寄せ絵作品を網羅していないので、ちょっと不満が残る。それでこんな本も買ってしまいました。

・レアナ・デ・ジローラミ・チーニー・著, 笹山裕子・訳 (2017.6) 『アルチンボルド アートコレクション』. 255pp. グラフィック社, 東京.
← 英語原版 : Leana De Girolami-Cheney (2013.10) ARCIMBOLDO (MEGA SQUARE). 256pp. Parkstone Press, NY, USA.


Design : Baseline/カバーデザイン : 石岡真一

版型は小さいのですが、今回展覧会に来なかった作品も収録しています。特に「イヴ」と「アダム」も。

じっくり見て国芳と比較しよう。

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(追記)@2017/08/07

Arcimboldoの影響が日本の浮世絵師・歌川国芳に及んでいるのではないか?というお話を、絵入りで補足しました。こちらもどうぞ。

2017年8月7日月曜日 アルチンボルド→国芳の流れ

2017年5月29日月曜日

「アルチンボルド」展は絶対行きます

・国立西洋美術館/アルチンボルド展(as of 2017/05/28)
http://arcimboldo2017.jp/

会期 : 2017年6月20日(火)-9月24日(日)
会場 : 国立西洋美術館[東京・上野公園]
http://www.nmwa.go.jp/
〒110-0007 東京都台東区上野公園7−7
休館日 : 月曜日、7月18日(火) *ただし、7月17日(月)、8月14日(月)、9月18日(月)は開館
時間 : 午前9時30分―午後5時30分(金・土曜日は午後8時まで) *入館は閉館の30分前まで
お問合せ : 03-5777-8600[ハローダイヤル]
観覧料金 : 当日 一般 1,600円 大学生 1,200円 高校生 800円   前売/団体 一般 1,400円 大学生 1,000円 高校生 600円  ※中学生以下は無料 ※団体は20名以上 ※心身に障がいのある方とその付き添い者1名は無料(入館の際に障がい 者手帳をご提示ください) 【前売券】2017年3月21日(火)〜6月19日(月)まで〔国立西洋美術館では6月18日(日)まで販売〕
【チケット販売場所】国立西洋美術館(開館日のみ)、展覧会ホームページほか、ローソンチケット、イープラス、チケットぴあなど各主要プレイガイドにて販売 ※手数料がかかる場合があります

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同展パンフレット, p.1


同展パンフレット, p.2-3


同展パンフレット, p.4

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Arcimboldoの寄せ絵を見て、国芳の寄せ絵を思い出す人は多いでしょう。

江戸時代末期の絵師・歌川国芳(1798~1961)は、「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」をはじめとする「寄せ絵」の達人としても有名です。

参考:
・Japaaan日本の文化と ”今” をつなぐ! > Japaaanマガジン > アート > 日本画・浮世絵 > Japaaan編集部/猫や人が入り乱れる!浮世絵の寄せ絵(だまし絵)まとめ(@2013/05/22)
http://mag.japaaan.com/archives/6005

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国芳の「寄せ絵」が、独自の発想であるのか、Arcimboldoの影響であるのか、は議論が分かれるところでしょう。

Giuseppe Arcimboldo(1527~93)は、ルネッサンス期のイタリアの人。その絵は油彩画ですから、19世紀の日本人・国芳がArcimboldo作品の現物を見た可能性はありません。

しかし国芳は、若い頃から西洋画(特に洋書の銅版画挿絵)を集めては自分の絵に反映させるという、創意にあふれた人でした。

であるので、国芳の寄せ絵が、洋書に記されたArcimboldoの寄せ絵の模写あるいは類画)を見て、その影響を受けた可能性は十分あるのです。

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というわけで、このArcimboldo展は、国芳ファン、浮世絵ファンにとっても重要な展覧会なのです。

これは絶対行くぞ。

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(追記)@2017/07/10

ちゃんと行きましたよ(笑)。

2017年7月1日土曜日 「アルチンボルド展」に行ってきました