2022年4月1日金曜日

Louise Brooks (1) 大岡昇平 『ルイズ・ブルックスと「ルル」』 - ほぼ写真集+ファン・ブック

★Twitter 2021/01/09より転載+加筆修正★

大岡昇平 (1984.10) 『ルイズ・ブルックスと「ルル」』. 116pp. 中央公論社.

で触れた『ルイズ・ブルックスと「ルル」』をようやく入手しました。意外に安かったし、36年前の本にしては状態もすこぶる良い。今やめったに見ない本なので掘り出し物であった。

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出版当時、大岡昇平は75歳。それがまるでアイドルの追っかけのように、Louise Brooks (1906-85) への愛を熱く語る。

スチール写真は、東京国立近代美術館フィルムセンター (現・国立映画アーカイブ) 保有の 

【Movie】 George Willhelm Pabst (dir) (1929) DIE BÜCHSE DER PANDORA (パンドラの箱).

の USA version の film より複製。全くもうアイドルの追っかけそのもの。呆れるがほほえましい。

同フィルムセンターはこの撮影直後、1984年9月に火災を起こし多くの films を焼失した。その中にこの film も含まれていたらしい。残っている同映画の film は世界的にも数少ないので、貴重な記録でもある。

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【DVD】George Willhelm Pabst (dir) / DIE BÜCHSE DER PANDORA : CRITICAL EDITION (パンドラの箱 : クリティカル・エディション) [紀伊国屋書店<Jp>] rel.2006

DVD化もされている。これはドイツ・オリジナル版を収録したもの。が、やたら高価な上にめったに見ない代物なので、輸入盤でもいいかもしれない ( Region Code 要確認)。

【DVD】George Willhelm Pabst (dir) / PANDORA'S BOX : SPECIAL EDITION  [Second Sight<UK>] rel.2002

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実はYouTubeにも全編上がっている。字幕は英語。これはもうpublic domainと考えていいのかな?

Pandora's Box (1929) 

写真集だけではわからない部分が多いので観るべき。

思ったよりも Lulu を子供っぽく描いている。これはもう Vladimir Nobokov の小説 (1955)、あるいは Stanley Kubric 監督の映画 (1962) LOLITA の先駆的な作品と言っていいだろう。とにかく Louise Brooks 演じる Lulu が美しい。

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大岡昇平のストーリー紹介は、原作・舞台・映画が入り乱れていてわかりにくいので、Wiki あたりも参考にした方がいいだろう。

Wikipedia (en) > Pandora's Box (1929 film)

映画は、原作から省略や微妙な設定変更も多い。Lulu の前歴 ( 曲芸団の売れっ子踊り子 )  もバッサリ省略されている。映画のストーリーの前に、Lulu の彼氏や夫がすでに二人死んでいることも省略。映画でも、登場人物はどんどん死んだり犯罪者に堕ちていく。まさに魔性の女。

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なお、原作戯曲の邦訳もある。

F.ヴェデキント・著+岩淵達治・訳 (1984.12) 『地霊・パンドラの箱 ルル二部作』 (岩波文庫). 310pp. 岩波書店.

ツヅク

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