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2022年3月26日土曜日

panpanya 『足摺り水族館』 青印版/赤印版

★Twitter 2020/12/21-23より転載+加筆修正★

本屋行ったら、panpanya 『足摺り水族館』が2種類あった。自分が持ってるのは右の「青印」版。左の「赤印」版は新装版 ( てほどでもないか ) なのだろう。厚くなってるので、ページの紙を厚くしたのかな?中身を見てないので、本当のところはわからんが。


Twitter見て調べたところ、2018年の新装版から「赤印」になっているよう。中身も違っていたら買わなきゃ、だが・・・。

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なお、panpanyaについてはkkm10kとstod phyogsで何回か取り上げています。

 




最後の話はけっこうおもしろいと思っているのだが、誰も注目してくれなくて寂しい。

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(追記)
その後調べたところ、旧版=青印版で使っていた紙が絶版となり、そのままでは増刷できなくなったため、似た紙質のものに代えた。ただしページ用紙は少し厚手のものになったため、本の厚みも増した。

なので、旧版と区別するために背の青印を赤印に代えて区別できるようにしたんだそうな。

中身や装丁は同じ。

2018年2月8日木曜日

kashmir 『てるみな 3』

こちらも待望の

・kashmir (2018.2) 『东京猫耳巡礼记 てるみな 3』. 137pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : てるみなNeu Gleis 01~12. 楽園WEB増刊, 2015/4~2017/12.


装丁 : 平谷美佐子

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1~2巻については、こちらをどうぞ。

2017年4月15日土曜日 kashmir 『てるみな』/『ぱらのま』

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連載がWEB増刊だけになってしまったので、2巻から3年もかかってしまったが、勢いは変わることがない。偏執狂的な背景描き込みはむしろ加速している。

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今回最大の見所は、箱根登攀鉄道の箱根(旧)山頂駅(標高2700m)へ向かう路線の絵。


同書, p.18

見よ!この描き込み。おそらく、これを楽しんで描いている。

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箱根山はもともと2700mの高山だったのだが、火山の噴火によるカルデラ陥没で低くなってしまった。しかし、その旧山頂を鉄道で再現しているのだ。

とまあ、そういう妄想理論(笑)。この暴走しまくり、楽しいぞ!

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同書, p.32

これは、东急多魔川線・多魔河原駅と西部多魔川線・是正を結ぶ新線、「多魔多魔線」だ。

路線の大半が多魔川の下を通っているので、トンネルの天井からは漏水ならぬ「漏鯉」が激しい(笑)。このホラ話、いいぞ、いいぞ。

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しかし、何と言っても素晴らしいのは、2回に渡る「銚子編」だな。


同書, p.77

これは銚子の町並み。どこへ行っても異様な干物だらけ。あはは。

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そして醤油(笑)。醤油工場の見学対応係のおねーさんが、とてもアブナくて魅力的だ。


同書, p.83

この溶けたような瞳の描き方は初めて見た。異様だが、いいなあ、これ。アブナさを、こういう風に表現できるんだ。

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今回「あれっ?」と思ったのはこれ。


同書, p.70

読めない字で書かれたおつかいアイテムだ。

これ、panpanyaの「完全商店街」そのまんまじゃないか!

2016年8月9日火曜日 panpanya 3連発

を参照のこと。

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WEB増刊で最初見た時は、「こんな、まんまのパクリ、いいのかよ?」と思ったものだが、今回同時発売の『二匹目の金魚』と『てるみな3』を両方見て、なんとなく事情がわかってきた。

panpanyaの方は、執拗な風景描き込みは今回控えめ。一方、kashmirの方は加速している。

これ、両者の間で何か意識的な「棲み分け」が発生しているようなのだ。

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つまり、風景が主人公になるような、執拗な描き込み路線は、少なくとも「楽園」誌上(あるいはWEB増刊)では、panpanya→kashmirへと継承(あるいは暖簾分け)されたのだ。

だから、『二匹目の金魚』の方は理詰めのストーリー重視。『てるみな3』の方は描き込み重視路線を継続、となっているのではないだろうか?

おそらく両者の間に個人的な交流、それも信頼関係ができているんだと思う。

さっきの「読めない字」を、kashmirがそのまんま出してきたのは、無断ではなく、panpanyaの了解の上。そしてこれで、上述の「継承」が宣言されている、とみた。

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なんちゃって、実際は全然違うかもしれませんが(笑)。

こういう深読みをしたくなるpanpanya、kashmirのマンガ。どちらも素晴らしい。あと何年もこういうマンガを描き続けてほしい。

豊穣なる日本マンガの最先端を、リアルタイムで楽しめる我々は幸せです。

2018年2月6日火曜日

panpanya 『二匹目の金魚』

待望の

・panpanya (2018.2) 『二匹目の金魚』. 191pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : 楽園, no.20(2016/2)~25(2017/10)/楽園WEB増刊, 2016/7~2017/12.


装丁 : panpanya

が出ました。

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これまでのpanpanya作品については、

2016年11月29日火曜日 panpanya 『動物たち』
2016年8月9日火曜日 panpanya 3連発

をどうぞ。また、おまけでこちらも。

・stod phyogs > 2017年4月30日日曜日 panpanyaの語源?

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カバーをひっぺがすと出てくる、凝った装丁も相変わらず。


同書カバー下

今回は「模様すりガラス」だ。手触りもそのまんま。いつまでも触っていたくなる。これは買った人だけが味わえる幸せ。

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今回の特徴は、同人誌(というより個人誌か)で発表した作品がなく、「楽園」もしくは「楽園WEB増刊」で発表された短編でそろえてあること。

最長でも20ページ程度と、短編でも比較的短い作品ばかり。中には1ページなんていう作品もある。だからサクサク読んでいける。

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今回は作風を変えてきた。

それまでの、異様な描き込みの背景が主人公のような作品がなくなり、軽めの日常ストーリーを追う作品ばかり。前作の『動物たち』収録作から、その傾向は現れてきてはいたが。

雑誌掲載の短編ばかり、ということも影響してるんでしょうね。

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冒頭に「変なもの」を出してきて、作者の妄想でそれを展開させたり、謎解きをしたりするヤツ。もっとも、その謎解きがゴールにたどり着かないまま終わるものもあるのがpanpanyaらしいところ。


同書, p.5

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こんなやつを見つけたり、


同書, p.31

こんな所に行ったりする。


同書, p.83

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同書, p.166-167

これは、「縁日がない期間、屋台が常駐する」という、通称「屋台の巣」だ。

あはは、いいなあこれ。行ってみたい。

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同書, p.133

これは、わずか1ページの作品の冒頭なのだが、もうこのコマだけで、この本を買った元が取れるくらいの素晴らしいコマ。

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同書, p.143

これも、この数コマだけで「この本を買ってよかった!」と思わせてくれる。まさに「えーっ?」だ。

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変な言い方だが、全体に「濃さ」が薄まっている感はある。

また、感覚的ではなく、理詰め(その中身は異様だけど)でストーリーが展開されているので、非常にクールな印象の短編集。

しかし、panpanyaからしか出てこない、珍妙な発想は相変わらずで、この人の持ち味が失われているわけではない。

新しい読者にもとっつきやすいかもしれない。『足摺り水族館』あたりは、panpanya初見の読者には濃すぎるし。

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次回、kashmirのこれも新刊『てるみな 3』を紹介するのだが、両書は同時発売だ。

似た作風の両者の単行本を同時に出す、というのは偶然ではないだろう。

おそらく、両者の間で「棲み分け」が生じているのではないか、と推察する(直接接触も発生しているはず)。今回のpanpanyaの作風変化はその一環ではないか?

その辺は次回、引き続き考察してみよう。

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とにかく、今回も素晴らしい本で100%満足でした。

この本を置いている書店はあまり多くないけど、探してでも買う価値のある本です。是非買って手元に置いて下さい。

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(追記)@2018/02/11

今回のもう一つの特徴。

これまで登場人物は、主人公「おかっぱの女の子」、級友「ロングヘアの女の子」、犬「レオナルド」、「タコ男」、それにモブ的な存在として「イルカ」、「なんかの動物」あたりだけですべてのマンガを演じさせていたが、今回いくつかの作品では、それ以外にも登場人物が現れるようになった。

「かくれんぼの心得」では、男子級友が出てくる。これはまだ「レオナルド」や「動物」のヴァリエーションだが。

「知恵」では、主人公にリヤカーを押しつけて逃げていく男。これは何だ?タコ男の息子か?新しいキャラだ。

そして「春の導き」。なんかいろんな変なキャラがいるぞ!楽しい。セリフがあるような人物は、相変わらずタコ男や動物のヴァリエーションだが、メガネをかけている人物やうさぎ耳などもいる。

おそらく、意図的に登場人物を増やそうと思っているわけではなく、「必要に応じて」だとは思うが、今回のマンガがpanpanya作品の中ではぐっと親しみやすくなっている要因の一つが、この登場人物(ほぼモブだが)の微増にもあるのかもしれない。普通のマンガに近づいている、というか・・・。

2017年4月15日土曜日

kashmir 『てるみな』/『ぱらのま』

・kashmir (2013.4) 『东京猫耳巡礼记 てるみな 1』. 149pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : 楽園, no.5-10[2011.5-2012.10]/楽園Web増刊, 2011/4-2012/12.
・kashmir (2015.2) 『东京猫耳巡礼记 てるみな 2』. 149pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : 楽園, no.11-16[2013.2-2014.10]/楽園Web増刊, 2013.4-2014.12.


装丁 : 平谷美佐子

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猫耳小学生が主人公の萌えマンガかと思いきや、中身はこんな ↓


同書1巻, p.67

だったり、こんな↓


同書2巻, p.95

だったりする。

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2016年8月9日火曜日 panpanya 3連発
2016年11月29日火曜日 panpanya 『動物たち』

で紹介したpanpanyaと似た異様に描き込んだ背景が特徴。これに「乗り鉄」、「不気味ファンタジー」、もちろん「ロリ萌え」要素も加えたテンコ盛りの内容。濃いマンガだ。

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「楽園」誌では2011年から連載されていたが、2013年に同系統のマンガを描くpanpanyaも楽園に登場し始めたせいか、本誌では一旦終了。今はWeb増刊で、「てるみなneu」として連載継続中。

panpanyaが相手では分が悪い。kashmirの画力もなかなかのものだが、panpanyaにはやや及ばない。画材(おそらくデジタル?)のせいもあるんだろうけど、まだまだ白っぽくて、禍々しさがちょっと足りないかな。

まあ、そこが、panpanya、そして両者のルーツとなっている逆柱いみりよりもポピュラリティのある所以なんだけど。

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こうして比較してみると、「てるみな」は結構ガロっぽい。時にオチをぶん投げたような回があるし、かなり感覚的。panpanyaは意外にオチをちゃんとつけるし、必ずストーリーがしっかりあるのだ。

どうしても比較してしまうので、kashmir氏には申し訳ないが・・・。

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しかし、


同書1巻, p.118

のように気持ち悪い寄生虫ネタもあるし、


同書2巻, p.79

ローカル(ここでは「東京都」町田市)あるあるネタもあるし、多彩な作風。いろんな才能あるよね。

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なんといっても、現実の東京近郊鉄道路線をモデルとしてはいるが、妄想で7倍位に膨らませた異様な鉄旅が、このマンガの見どころ。

京央線の高尾山頂直通列車、寄生虫に導かれて西部線のお稲荷さんに連れて行かれる話、ゆりくらげ線、町田解放同盟なんかは大好き。

「鉄」要素はないけど、秋葉原の地下へ地下へと潜る話もすごくいい。この辺がkashmir作品の醍醐味。

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「楽園」本誌では、今は「ぱらのま」を連載中。

・kashmir (2017.2) 『ぱらのま 1』. 141pp. 白泉社, 東京.
← 初出 : 楽園, no.17-22[2015.2-2016.10]/楽園Web増刊, 2015.4-2016.12.


装丁 : 平谷美佐子

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こちらは主人公の年齢も上がり、また、異様な風景も抑えた、まっとうな「乗り鉄」というか「国内旅行」マンガ。鉄分かなり多めだけど。


同書1巻, p.7

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この主人公の原型は、すでに「てるみな」にも出てきていた。

この茫洋としているようで、オタク・マインドにあふれた内面は素晴らしい。孤独をものともしないクールさもいい。このキャラ、どっかで見た他のキャラとよく似てるような気がするんだが、誰だか思い出せない。

最後に登場したメガネ女子は、はたしてレギュラーとなるのか?このへんも見どころだ。

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ところでタイトルの「ぱらのま」って、なんだ?「panorama」のアナグラムなのか?「paranormal(超常(現象))」なのか?謎だ。

そういえばペンネームのkashmirも謎だ。これはやはり3D地図ソフトから来てるんだろうか?地図オタクらしいし。

2016年11月29日火曜日

panpanya 『動物たち』

本エントリーは
stod phyogs 2016年11月29日火曜日 panpanya 『動物たち』
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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公称11月30日発売ですが、1日早く手に入れました。

・panpanya (2016.12) 『動物たち』. 180pp. 白泉社, 東京.


















装丁:panpanya

ページ数はちょっと減って180ページだが、カラーが16ページもあるので満足です。

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今回も登場人物は約4人。「おかっぱの女の子」と「タコ男」と犬の「レオナルド」(そのヴァリエーションも含む)と「ロングヘアーの女の子」。

それにしてもそのロングヘアーの子が「部長」役っての無理すぎないか?タコ男も同じシリーズ中で、不動産屋、引越し屋、大家と三役で大活躍。

この「少数精鋭?」にこだわる理由はなんだろう?

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異様で夢みたいな話はちょっと控えめで、散歩エッセイみたいなのが多かった。それもまたよし。

白眉はやはり「猯(まみ)」、「狢(むじな)」、「示談の手引き」の動物三部作。動物といっても、どれも似たようないい加減な絵。表紙の動物たちですね。

扉とカバーを剥がしたところには、そのいい加減な絵の「動物」(これは「猯」かな?)を中途半端にリアル化した絵があって大笑い。


















しかし、どうでもいいが、Google IMEでは「まみ」で「猯」が一発で出たぞ。どうなってんだ?

なお、MS IMEでは本字の「貒」の方が一発で出ました。

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カバーをはがすと、その地は都会の坂道によくある、○○の滑り止が刻印してあるコンクリート路面。この質感がザラザラしていて素晴らしい。コンクリート路面そのものだ!ずーっと触っていたい。

いまや新刊マンガのほとんどはシュリンク(薄いビニールです)がかけてあるので、これは買わないと絶対味わえない幸せ。

この造本だけでも、ものすごく手間と金がかかっているのですよ。だからこれで980円+税は絶対に高くない。買って、この感触をぜひ味わっていただきたい。

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すごい書き込みの背景も健在。特に「猯」のタイトル画は素晴らしいですね。


















『動物たち』 pp.78-79.

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ようやく気づいたんだが、主人公のおかっぱの女の子はなんか、先日完結したばかりの

・石黒正数 (2005.5-2016.12) 「それでも町は廻っている」(通称「それ町」)

の紺先輩と似ている。


















石黒正数 (2007.9) 『それでも町は廻っている 3』(YKコミックス827). p.44. 少年画報社, 東京.

孤独でクールなところが特に。どちらも最近のお気に入りです。

石黒正数もそのうち取り上げてみよう。

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『動物たち』はまだ1回しか読んでないけど、これから何度でもなんどでも楽しめる本。ぜひ買ってください←自主的回し者。

さて、次は『10分後にうんこが出ます』を買ってこよう。今月は楽しい月末だ。

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(追記)@2016/11/30

panpanyaについては

2016年8月9日火曜日 panpanya 3連発

でも書いていますので、こちらもどうぞ。

2016年8月9日火曜日

panpanya 3連発

本エントリーは
stod phyogs 2016年8月9日火曜日 panpanya 3連発
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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これもよくわかんないタイトルですが、やっぱりマンガの話。panpanyaは「パンパンヤ」と読むようです。これも性別不明だが、たぶん男。

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平方イコルスン同様、白泉社「楽園」執筆者だが、知ったのはそちら経由ではない。

本屋に行くたびに、気になってしょうがなかったのだが、この人の本結構高いんですよ。だからなかなか手が出なかった。

でも1冊買ったらもうはまりまくり。といっても寡作なので3冊しかないけど。

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黒っぽい緻密な背景に、ラフスケッチのようないいかげんな人物。

とくると、これはまさに水木しげるではないですか。怪奇色はないけど、水木しげる、あるいはガロ・マンガの後継者の一人、と言っていいでしょう。

こういう人が、青林工藝舎(注)ではないところから出てきて、商業的に成立しているのが21世紀の日本マンガの特徴です。

(注)青林堂が1997年に青林堂と青林工藝舎に分裂した後、ガロらしさを保持しているのは青林工藝舎の方。青林堂は、かつてのおもかげは微塵もなく、ガロも廃刊。保守系活字本である程度ヒットを出しているのはご存知の通り。

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登場人物はというと、全作品同じ。おかっぱの少女が主人公。小学生から社会人まで、どの年代でもこれで押し通す。だいたい高校生くらいのことが多いけど。


主人公の女の子
(『蟹に誘われて』 「方彷の呆」 p.78)

他には、犬のレオナルド


レオナルド(なんでこの名前?)
(『蟹に誘われて』 「THE PERFECT SUNDAY」 p.186)

犬には見えないぞ。「べつやくれい」が描く犬なみのいいかげんさ。

お次は、なんて言ったらいいのかわからない、目も鼻もなく、タコのような口が四方に開いているだけの人物。この二人が必ず出てくる。


なんていう名前だ?この「謎のタコ男」(そうだこれで行こう、今、名前つけたよ)
(『蟹に誘われて』 「パイナップルをご存じない」 p.65)

あと、友だちらしきロングヘアーの女の子と、イルカが時々いろんな役で出てくる。一種のスターシステムと言えないこともない。

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背景に描かれるのは、ゴチャゴチャした街の風景であることが多い。それも看板にやたらと執着している。

こんなの


(『足摺り水族館』 「完全商店街」 p.39)

このコマにpanpanyaのすべてが詰まっていると言っても過言ではない。

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というと、思い出すのは、ガロ出身の逆柱いみり(望月勝広)。

緻密な街の風景、それも昭和30年代テイストでありながらも、架空の看板やら架空の乗り物・生物やらがあふれる幻想テイストの作品を描き続けている人。

そういえば、逆柱いみりも、初期の作品にはショートカットの女子となにか変なものとの掛け合いで、一応ストーリーが展開されていた。panpanyaはそれと似ていますね。

逆柱マンガは、その後徐々にまともな登場人物がいなくなり、ついにはストーリーすら消滅。異様な風景だけがえんえん描かれるという、もはや環境マンガ~アートの世界に入ってしまった。

最初の2冊『象魚』、『马马虎虎』までは追っかけたが、その後ついていけなくなりました。

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調べてみると、panpanyaと逆柱いみりは仲がよいらしく、二人で展覧会などもやっているそうな。まあそうなるでしょうね。しかし、まさか逆柱いみりの後継者が現れるとは・・・驚きの一言。

panpanyaが描く風景は、逆柱に比べると現実味があり(といっても今はもうない、二昔前の風景だが)、逆柱マンガよりはとっつきやすいかもしれない。看板も現実のものを使ってるし(やっぱり二昔前のものだけど)。

結構年食ってる人なのか、レトロ好きの若い人なのか、もう全然わからないです。しかし、レトロ好きであっても、いきなり「HiC50」(缶ジュースです)なんか出せるもんだろうか?

いやいや、最近は串間努さんの一連の著作なんかもあるし、若い人でも調べられるかあ。わからんなあ。

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では単行本と作品をいくつか紹介。

・panpanya (2013.8) 『足摺り水族館』. 323pp. 1月と7月, 東京.


装丁:panpanya
・1月と7月(as of 2016/08/02)
http://1to7.thebase.in/

小さい出版社からのデビュー作。出版社のサイトに行ってみたが、『足摺り水族館』は出版物リストにはない。すでに絶版のようなので、見つけたら逃さず買っておいた方がいいです。

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気になったのは、

「完全商店街」 pp.13-50.

少女はここでは小学生らしい。お母さんに頼まれたお使い。読めないアイテム↓


(『足摺り水族館』「完全商店街」 p.17.)

を探して町をさまよい歩く。百貨店へ行ったり、街中のロシアへ行ったり、そしてついに完全商店街へ。

完全商店街の描写がもう素晴らしすぎて・・・(前述)。よく見るとこれは、映画「ブレードランナー」の世界ですね。なるほど自分が好きなのはそういうことであったか・・・。今気づいた。

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「インノセントワールド」 pp.109-142.

これはいつもと違い、画用紙にスケッチ風に描かれている(あるいはそれ風なデジタル作画?)。

京都への修学旅行。仲間とはぐれ京都タワーを目指すが、いつの間にか第2京都タワーへ。そしてさらには未知の第3京都タワーへ。

夢風に描かれた作品。つげ義春「外のふくらみ」っぽくもあり、とても魅力的。

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「マシン時代の動物たち」 pp.221-256.

真夜中の空き地に向かって、自動販売機たちがどんどん集まり出すシーンは素晴らしい。

落ちは、ちょっと腑に落ちすぎて、イマイチのような気がする。

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「君の魚」 pp.269-316.

私設水族館展示用の魚を求めて多摩川を逆上るのだが、時代設定が1970年代あたりらしく、水質汚染がひどいことになってる。

立川あたりが工場地帯になっていたり、平行している玉川上水を大型漁船が通過しマグロを落としたりと、妄想の多摩川っぷりが実に楽しい。

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・panpanya (2014.4) 『蟹に誘われて』. 219pp. 白泉社, 東京.


装丁:panpanya

そして白泉社から商業誌デビュー。それにしてもこの作風で毎年1冊も単行本が出せるのってすごい。

なお、タコ男がレギュラー化するのはこの本から。

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「わからなかった思い出」 pp.10-14.
← 初出:楽園web増刊, 2013/4.

田舎のおばあちゃんがくれるおもちゃ、

「スーパーボールだよ」
「アメリカンクラッカーだよ」
「アストロジャックスだよ」
「ソムベーソバイだよ」
「オロコッパーヘンデルモルゲンだよ」
「Непонятный(注)」

と徐々にエスカレートしていく話。

(注)

ちなみにこれはロシア語で「奇妙な」という意味です。おそらく、おもちゃの名前ということではないのでしょう。ロシア語、というかキリル文字好きなんだね。

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「innovation」 pp.21-51.
← 初出:同人誌, 2012/2.

発電所で、ベルトコンベアで流れてくるココナッツを棒で叩いて割るアルバイトをしている主人公(今回は高校生)。

学校の授業である竹細工を作り、これをバイトの仕事に使ったために大変なことに。

落ちは謎の解明に向かうのだが、ますますわけがわからなくなる結末でいい。豪快だし。最後の方はなぜか黒田硫黄を思い出す。

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「TAKUAN DREAM」 p.144-147.
← 初出:楽園web増刊, 2013/11.

わずか4ページながら、大傑作。

お話はというと、「たくあん」のプラモデルを作る話だ。どうだ参ったか!

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「鍋」 pp.169-172.
← 初出:楽園, no.14 [2014/2].

スーパーに、

広告の品 「闇鍋セット ゲテモノ・非食品 珍味など愉快な具材をこれ一袋で バラエティアソート スープ付 2~3人前」 ズバリ 特価498円

があるのもビックリだが、その隣りに陳列されている、

広告の品 「AKARUNABE 明鍋セット 明るい鍋で気軽に闇鍋気分! おいしくてもりあがる!! スープ付 2~3人前」 ズバリ 特価 498円

にはもっとビックリ(笑)。

で、レオナルド(繰り返すけど犬です)と一緒に食べる明鍋の驚きの結末!(ってほどじゃないか)。でもこの話好きだなあ。

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「計算機のこころ」 pp.205-216.
← 初出:楽園, no.14 [2014/2].

「鍋」と同時発表か。同月に傑作を2作も描いてしまうとは、すごい。

1960年代にトランジスターやICを搭載した電卓が登場する以前にイルカの頭脳を演算処理装置として利用していた時代があったのだ。(『蟹に誘われて』「計算機のこころ」 p.206)

という偽史をベースに、イルカの計算機をもらってきた主人公。ためしにこのイルカ計算機で、リーマン予想を解かせてみると・・・。

しかし、リーマン予想を解かせるのに、「リーマン予想」と書いた紙を「べこーっ」と入れるだけでいいのは楽だなあ(笑)。

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・panpanya (2015.5) 『枕魚』. 217pp. 白泉社, 東京.


装丁:panpanya

今のところ最新作。2016年は単行本出るかなあ。楽しみ。

細かい背景描き込みに、主人公だけスポットで赤、そして全体にアミかけ、と凝った表紙。panpanyaらしいデザインです。

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「範疇」 pp.9-12.
← 初出:楽園web増刊, 2014/4.

走ってくる車をカウントする主人公。これは車か?車じゃないのか?と悩んでいるうちに目を回す。落ちも完璧。傑作です。

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「備品」 pp.29-32.
← 初出:楽園, no.15 [2014/6].

校庭に現れる犬。それに対処しきれない先生たち。そこに現れたのが謎の備品。

その「備品」は、真上からしか描かれてないのが、想像をかきたてさせてくれて見事。

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「地下行脚」 pp.63-96.
← 同人誌, 2009/11.

新宿の地下、イルカの案内で「変わったピザまん」をさがす話。

確かに深夜の東京、誰もいない地下街や繁華街ってこんな印象だ。暗い暗い意志の塊がうごめいているような・・・。これを絵にできるんだから、この人すごい。

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「ニューフィッシュ」 pp.111-141.
← 同人誌, 2013/10.

これはスペクタクルSF大作(ってほどでもないか)。でも作者にしてはアクションも多く、スケールの大きい珍しい作品なのは確か。

James Cameron監督 (1989) 『THE ABYSS』なみ、なんちゃって。

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「始末」 pp.166-170.
← 初出:楽園web増刊, 2014/11.

電動黒板消し(これ、本当に見たいな)に駆逐されたラーフル(鹿児島方言)の末路は!

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「記憶だけが町②」 pp.193-198.
← 同人誌, 2009/11.

サンエブリー、SPAR、生活彩家、time's、オレンジハート、■ママ(不明、ヤマザキショップ?)、ヒロマルチェーン、モンマート、コミュニティストア、全日食チェーン、マイショップ、くらしハウス、SAVE ON、スリーエフ・・・。

「マイナーコンビニの激戦区だったのか・・・」

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しかし、平方イコルスンにしてもpanpanyaにしても、自分の分身を少女として登場させるのはなぜなんだろう?

「そりゃ、読むのは男なんだから、かわいい女の子出さなきゃ駄目でしょ!何が不思議なの?」
「ユングでしょ。これは作者のアニマであり・・・・」
「男はみな、すべからく少女になりたい願望があるのだよ。」

どれも当たっているかもしれないし、当たってないかもしれない。

そういえば花輪和一のマンガも、作者の分身は少女だ。江口寿史は「オレは女子高生を描きたいんじゃなくて女子高生になりたいんだ」と言った。

この話は奥が深そうなので、ここで終わり。

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panpanyaのマンガは、登場人物がこのかわいい子じゃなければ、マイナーマンガのままで終わったかもしれない。

でもやっぱり、性格は少しひねくれてるし、言葉遣いは「君は○○なのかね?」という具合でやっぱり男。

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それにしても、「最近のマンガはおもしろいものがない」などとほざいて、全然最近のマンガを読んでいなかったオレは大馬鹿野郎だった。

すごいマンガはまだまだあるぞ!どんどん紹介していこう。

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(追記)@2016/11/30

2016年11月29日火曜日 panpanya 『動物たち』

この時点での最新刊

・panpanya (2016.12) 『動物たち』. 180pp. 白泉社, 東京.

について書いていますので、こちらもどうぞ。