2022年4月17日日曜日

迂闊 『のみじょし 7&8』 と 『のみじょし 増刊号』 - 「リア充部」が単行本収録される日は来るのか?

★Twitter 2021/03/07+20より転載+加筆修正★

迂闊 (2020.7) 『のみじょし 7』(BAMBOO COMICS). 106pp. 竹書房. 

迂闊 (2021.2) 『のみじょし 8』(BAMBOO COMICS). 106pp. 竹書房. 

7・8巻同時購入。7巻買うのがなんで遅れたかというと、その前に出た『のみじょし 増刊号』とほとんど同じ内容だろう、と思い、なかなか買う気にならなかったのだ。

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迂闊 (2020.5) 『のみじょし 増刊号』(まんがライフセレクション 2020年7月号). 160pp. 竹書房.

『のみじょし 増刊号』は160p中、すでに単行本に収録済が30pあるが、それでも当時単行本未収録作が120pも収録されていた。単行本よりvolumeあるのだ。だから、増刊号の内容は7巻+8巻の一部にまたがる。それでいて¥429+税なんだから、アホみたいにお得だったのだなあ、といまさら実感。『増刊号』では、巻頭描き下ろし「リングマッスル」エピソードはもちろんカラーだし ( 単行本8巻では白黒 )。

しかし、おかげで7巻の売れ行きは初動が悪かったのでは?とちょっと心配 ( 自分だって最初買わなかったくせに )。

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これは、大昔、

つげ義春 (1987.6) 『無能の人 連作<石を売る>総集版』. 219pp. 日本文芸社.

をソフトカバーで安く出してしまった ( つげ作品を知らない層にも手に取ってほしかったのだそうな ) ために、箱入りハードカバー単行本

つげ義春 (1988.4) 『無能の人』. 239pp. 日本文芸社.

が売れなくなってしまったエピソードを思い起こさせる。『のみじょし 7』の方は、実際どうだったんだろ?

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増刊号収録の描き下ろし (リングマッスルね) も 「迂闊なエッセイ」 1p×4本も8巻に再録されているのだが、1本だけ再録されてないのがある。

それが 「リア充部」 (5p)。なお、「青藍高校リア充部」とは関係ありません (たぶん)。


中身もちょっとだけ。


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これは、「のみじょし」連載開始前に、編集さんに見せる用に描いた試作品。なので未発表だったのが、今回初公開。

見てわかる通り、むっちゃんとアキオがすでに出てくるのだ。みっちゃんより先にむっちゃんが生まれていたというのは意外だった。

アキオは、「のみじょし」では苗字・秋尾になってるが、「リア充部」では下の名前 ( 多木アキオ )。むっちゃんのヤバイ趣味の設定もそのまま。

ただし、「のみじょし」では二人は中学の同級生だったことになっている ( 同窓会エピソードより ) が、「リア充部」は高校っぽい。まあ中・高とも同級生でもかまわないけど・・・。

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アキオの相方・宮部タカシは「のみじょし」では登場していない、と思いきや、実はちらっとだけ登場済。

例のむっちゃんの同窓会エピソードで、アキオの吹き出しの中で「すまん 残業」と言ってるのがタカシだろう。髪型も同じだし。「リア充部」では、タカシの家はむっちゃん家の隣りで幼馴染、ということになっている。


タカシは「軍艦無駄話」みたいな顔してるなあ。

さて、タカシは今後 「のみじょし」 に現れるのか?そして、むっちゃんをメロメロにする、タカシの妹ゆりちゃんは?注目だ。

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まあ「のみじょし」で「リア充部」の設定が生きているか、知らんけど。しかし「リア充部」のむっちゃんはより凶暴だ。

「のみじょし」の中でも、むっちゃん-アキオ・コントは特におもしろい。「のみじょし」前から出来上がっていたんだから、よくこなれてるわけだ。

8巻 の「鳥唐バカ盛」も笑ったなあ。しかし、金沢にあのバカ盛もう上陸してるのかな?フィクションだから、金沢じゃなくてもいいんだけど。

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それにしても、みっちゃんの家、実家にかなり近そうなんだけど、なんで一人暮らししてんのか?ハッ!みっちゃんもかつては彼氏がいた・・・??

まあ、どうでもいいや・・・。

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(追記)
『のみじょし 1』を読み返したら、冒頭第1杯目で「わたし前の彼氏と別れて4年じゃないですか」とあったな。


このマンガ、サザエさんループに入っているので、今でも4年前のことなのだろうな。

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それにしても迂闊さんぐいぐい絵がうまくなってるなあ。1巻の頃もうまいんだけど、今は絵の密度が上がってるよね。

2022年4月4日月曜日

USCA (ユースカ) No.5 - 森泉岳土、かつしかけいた

★Twitter 2021/01/18より転載+加筆修正★


であげた装丁家・森敬太さんは、同人誌 ( 市販もされていたよう ) USCA ( ユースカ ) の主宰者でもあるのだな。手元のあるのは no.2 (2014/2) とno.5 (2016/5)。→ ( 2022/04追記 ) その後no.3、4 も入手。No.1 はなかなか見ない。

これはno.5。

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2と5にある作者名で、デビュー済の人で知ってる人を挙げると、ひらのりょう、谷口奈津子、宮崎夏次系、笠辺哲、座二郎、西村ツチカ、本秀康、森泉岳土、真造圭伍。他にデビュー済みの人がいたらごめんなさい。ほぼセミプロ同人誌だ。アックスよりメジャー感あり。

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No.5の森泉岳土 「手牛の血」は、初期森泉でよくあった「わけわかんなさ」がいかんなく発揮されている作品。


こういう変な作品がまた読みたい。連載しているビッグコミックオリジナル増刊の読者相手じゃ無理かな・・・。

「手牛の地」は以下の単行本収録。

森泉岳土 (2018.9) 『セリー』 (ビームコミックス). 192pp. KADOKAWA.

(補足)
ビッグコミックオリジナル増刊連載作は以下の単行本にまとまっています。

森泉岳土 (2020.7) 『爪のようなもの・最後のフェリー その他の短篇』 (ビッグコミックススペシャル). 232pp. 小学館.

もう、うますぎて何も言うことはないのだが、「彼ならこれくらい描くだろうな」という予想の範囲内という気がしないでもない。安定の作品集。

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USCAでは「かつしかけいた」という人も気になる。USCAでは地元・葛飾に特化したマンガを描いているよう。No.2の「街跡」は、ホント散歩して人・風景を描写してるだけだが、No.5の「まままい」はストーリー、というか変な設定が立ててあって意外だった。このプレハブ、実在する。


架空の大学「葛飾区立大学 (← えー?)」の生徒4人 ( 全学生4人って大学なのか、これ? ) の日々を描く。変な話だなー。

この人観察/スケッチの人なので、やっぱりこの辺が面白い。いますよね、こういう人。それを小柄な女子でやってるのもいい。


絵柄はルポの挿絵とかでよく見るタイプの絵なのだが、「誰と似てる」というのも思い出せない不思議な絵。面白い人なので、そのうちどっかでまた出くわすでしょう。それはたぶんマンガ雑誌ではないような気がする。→ BCオリジナルなどで挿絵をやってるのを確認。

2022年4月3日日曜日

熊倉献 『ブランクスペース 1』 - 妄想系女子の深い闇・・・

★Twitter 2021/01/15-16より転載+加筆修正★

熊倉献 (2021.1) 『ブランクスペース 1』 (ヒーローズコミックス ふらっと). 158pp. ヒーローズ(発行)/小学館クリエイティブ(発売).

『春と盆暗』 (2017.1) 以来4年ぶり ( もうそんなになるの・・・ ) の熊倉献の単行本。今回は連載で、まだ続いてる。

『春と盆暗』に触れたエントリーはこちら。


今回もまたポヤンとした話かと思いきや、「え、百合?」・・・「え、AKIRA?」・・・「え、キャリー?」・・・「え、タルパ?」・・・「え、ホムンク・・・?」。と、どこに転がるかわからないマンガ。この親しみやすい絵柄からは想像できない深い闇へ突入して行きそう。どうなるの?

しかし、このストーリーも前作と同様、妄想過多女子が中心になるのは『春と盆暗』と同じだ。ホント面白い人だなあ。

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しかしこの余白の多い装丁素晴らしいですね。装丁:森敬太 ( 飛ぶ教室 )。白い Blue Noteである。あと人物トリミングの仕方、「1」の font の選び方にも Blue Note taste を感じる。