2017年4月29日土曜日

藤本正二 『終電ちゃん 3』

ここんとこ、毎日マンガを買ってるわけなんですが、4月は新刊多いのかね。

・藤本正二 (2017.4) 『終電ちゃん 3』(モーニングKC-2705). 158pp. 講談社, 東京.


装丁 : 杉本智之(uni-co)

今回の表紙は、「小田急線の終電ちゃん」。

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2巻よりは、「中央線の終電ちゃん」の出番が多くてよかったな。

「各地の終電ちゃん」紹介路線は、実はあまり好きじゃないんだが、忘年会でみんな集まる回は、なかなかおもしろかった。東宝怪獣総出演の映画『怪獣総進撃』(1968年)みたいで(笑)。各終電ちゃんのキャラ設定に細かく気を使ってるのに、あらためて感心したよ。

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同書, p.43

珍しく、こういうアングルに工夫した大ゴマのアクション・シーンにも挑戦しているし、これから絵もどんどんうまくなるんだろう。

ちなみに、これは、初登場の東京メトロ大江戸線の終電ちゃん。

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でもやっぱり、この人の持ち味は巻末「JTB時刻表」に掲載された話のような「ベタな人情話」だと思う。モーニングよりもビッグコミック・オリジナルあたりが似合いそうな・・・。

狂言回し・寺岡の出番はこれくらいの頻度で充分かもしれない。

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このマンガ、もう少し追っかけてみよう。

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(追記)@2017/04/29

『終電ちゃん』1・2巻の話はこちらでどうぞ↓

2016年9月25日日曜日 『終電ちゃん 2』発売!
2016年8月16日火曜日 終電ちゃんに叱られたい

2017年4月27日木曜日

冬目景 『空電ノイズの姫君 1』 欠落だらけの物語

1年ぶりの冬目景姉さんの単行本が出た。

・冬目景 (2017.4) 『空電ノイズの姫君 1』(バーズコミックス). 187pp. 幻冬舎/幻冬舎コミックス, 東京.


cover design : Tamura Keiichiro(makena graphics)

「自信なさげなオチビちゃん」と「ロング黒髪の謎美人」という、冬目景作品ではおなじみのキャラが主人公。

どっちかというと、オチビなのにギターがプロ級にうまい(磨音(まお))ちゃんがメイン。謎美人(夜祈子(よきこ))は、まだ脇役の域を出ていないが、2巻以降メイン・ストーリーにどうからんでくるのか楽しみ。

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絵は例によって文句なし。どれも見たことあるようなキャラばかりだが、この人はこういう描きなれたキャラで見せてくれる安定感が持ち味(になってしまった、というべきか・・・)。

マオちゃんのギターを弾く姿は、カワイイ上にカッコイイよね。


同書, p.156

普通は「長くつしたのピッピ」頭だが、ギターに熱中すると、天パ頭爆発になる。これは本現物で見てくれ。

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それにしても、このマンガは「欠落」だらけ。どの登場人物も、「家族や仲間の欠落」をかかえている。

(1) マオちゃんは、母親が不在(離婚だけど)。

(2) マオちゃんの父親(ミュージシャン)は、かつてバンド・リーダーが死んでバンド解散。

(3) 夜祈子は、家族自体がいない(お婆ちゃんだけ遠くで入院中)。その上、慕っていた謎の叔父さんも外国で消息不明。

(4) マオちゃんをバンドに誘っている高瀬と日野は、ヴォーカル+ギター(高瀬の弟)が事故死でバンド解散の危機。

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今のところは(4)が機能して物語を動かしているが、いずれ(1)~(3)も発動するのだろう。特に(3)の発動が展開のキーになりそうな気がする。

もしかすると作者も、夜祈子をどう動かしていくか、まだ考え中なのかもしれない。

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まあ何はともあれ、新刊が出たことを喜びたい。

あとは完結までダレずに続けてくれれば満足。全4巻くらいと予想(それ以上続くと、物語をたたみきれなさそうだから・・・)。

2017年4月24日月曜日

府中市美術館 「歌川国芳 21世紀の絵画力」展 2回目

2017年3月29日水曜日 府中市美術館 「歌川国芳 21世紀の絵画力」展

で宣言した通り、2回目に行って来ました。大満足でした。


同展パンフレット, 外3面

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今回も冒頭で出迎えてくれた「通俗水滸傳百八人」シリーズ。後期展示も、当然ながら素晴らしい作品ばかり。

いったい体がどうなっているのやら、さっぱりわからないながら、ものすごい迫力の「黒旋風李逵」、原典「水滸伝」では地味な存在なのに、国芳画では存在感たっぷりな「急先鋒索超」など、いきなり充実した内容だ。

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次の役者絵コーナーでは、なんといっても「四代目中村歌右衛門死絵」のどでかい顔が見もの。いやあ、迫力だあ。

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そして、「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」ついに見ました。国芳は、他にもこういった「裸体寄せ絵」をたくさん描いているが、やはりこの「みかけハ・・・」は別格の完成度であることが、あらためてわかった。

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さらに「相馬の古内裏」。上記パンフレットの右下、巨大ガイコツですね。現物はやっぱりすごい、そして美しい。

今回は、隣に杉田玄白・著, 大槻玄沢・重訂, 南小柿寧一・画, 中伊三郎・版刻 (1826) 『重訂解体新書図編』(これもはじめて見た!)が置いてあり、この絵の解剖学的な正確さを確認させてくれた。

もう至れり尽くせりの展示です。

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「宮本武蔵と巨鯨」も後期のみの展示。いやあ感動ですね。

この絵を描くシーンは、マンガ『ひらひら 国芳一門浮世譚』でも取り上げられていますから、そちらも是非どうぞ。

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同展パンフレット, 内3面

とにかく、これだけ充実した展覧会はめったにない。おまけに2回見てもわずか1050円なのだ。他の展覧会1回分よりまだ安い。

こりゃあ、見ない手はありませんぜ。

遠くに住んでいる方も、連休中に無理に遠出してでも見る価値は絶対あります。まさに「見逃すな!」。

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もし見逃したら、しゃーない。その時は図録を買いましょう。一般書店で市販されています。

・府中市美術館(金子信久+音ゆみ子)・編著 (2017.3) 『歌川国芳 21世紀の絵画力』. 287pp. 講談社, 東京.


ブックデザイン : 島内泰弘デザイン室

図録の充実ぶりも異常なほどです。展示に忠実な構成・レイアウトなので、行けなかった人もかなり満足できるでしょう。