に行ってきました。
・ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 公式サイト(as of 2017/12/02)
http://gogh-japan.jp/
ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 東京展 概要
会期 : 2017年10月24日(火)─2018年1月8日(月・祝)
会場 : 東京都美術館
住所 : 〒110-0007 東京都台東区上野公園8−36
アクセス : JR「上野駅」公園口より徒歩7分 東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口より徒歩10分 京成電鉄「京成上野駅」より徒歩10分 ※駐車場はありませんので、車での来場はご遠慮ください。
開室時間 : 午前9時30分~午後5時30分 ※金曜日、11月1日(水)、2日(木)、4日(土)は午後8時まで ※いずれも入室は閉室の30分前まで
休室日 : 月曜日、12月31日(日)、1月1日(月・祝) ※ただし、1月8日(月・祝)は開室
観覧料 (税込) 当日(前売・団体) : 一般 1,600円(1,300円) 大学生・専門学校生 1,300円(1,100円) 高校生800円(600円) 65歳以上1,000円(800円) 11月15日(水)、12月20日(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料(要証明)。混雑が予想されます。 ※団体割引の対象は20名以上。 ※中学生以下は無料 ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料 ※毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は一般当日料金の半額 ※いずれも証明できるものをご持参ください
主催 : 東京都美術館、NHK、NHKプロモーション
後援 : 外務省、オランダ王国大使館
協賛 : 損保ジャパン日本興亜
協力 : KLMオランダ航空、日本航空
共同企画 : ファン・ゴッホ美術館
お問い合わせ : 03-5777-8600(ハローダイヤル)
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同展パンフレット, p.1
同展パンフレット, pp.2-3
同展パンフレット, p.4
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2017年11月18日土曜日 国立西洋美術館 「北斎とジャポニズム」展
とも連動した「Japonisme」をテーマにした展覧会です。
Vincent van Gogh(1853-1890)が、日本の浮世絵を模写したり、自分の絵に取り入れているのはつとに有名。
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今回の目玉はパンフレットp.1にもデカデカと取り上げられている
・Vincent van Gogh (1887) Japonaiserie : Courtesan (after Eisen)(日本趣味 : 花魁(渓斎英泉による))
これは、p.3左上にある
・渓斎英泉 (1820s―30s) 雲竜打ち掛けの花魁.
を左右裏返しにして丸写ししたもの。
何故裏返しになっているかというと、直接英泉の浮世絵を写したわけではないから。フランスの雑誌 Pari Illustré, no.45 & 46, 1886/5 が、この英泉を模写した絵を表紙に使った際に、表紙のレイアウトに合わせて絵を裏返し、Goghはそれを模写したらしいのだ。
その全てが展示されているので、その辺の経緯がわかっておもしろい。
しかし英泉の繊細な浮世絵と、ザクザクした荒々しい線が持ち味のGoghというのは実にミスマッチでおもしろい。
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「Goghと浮世絵」といったら、出てくるのは主に歌川(安藤)広重(1797-1858)だ。
風景画を得意とした広重は、「東海道五十三次絵」、「不二三十六景」などのシリーズ物で人気を得た。
広重の浮世絵も西欧にかなり流出し、その大胆な構図と色使いは、Japonismeに多大な影響を与えました。
上記「北斎とジャポニズム」展でカバーしきれなかった、広重のJaponismeへの影響の一端が、この展覧会で見ることができる、と思いきや・・・。
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Goghが模写している絵には広重のものが多いのです。
有名なのは、「名所江戸百景 亀戸梅屋敷」や「名所江戸百景 大はし あたけの夕立」の模写。
ところが、今回、元絵の浮世絵は来ていたのですが、これを模写したGoghの
・Vincent van Gogh (1887) Japonaiserie : l'arbre (Prunier en fleurs)(日本趣味 : 梅の開花).
・Vincent van Gogh (1887) Japonaiserie : pont sous la sluie (日本趣味 : 雨の大橋).
が来てないではないか!ショック!
どちらもVan Gogh Museumの所蔵で、今回の展覧会は共同企画になっているのに・・・。せめてレプリカくらい展示があってもいいだろうに・・・。
図録にも入っていないので、Goghの代表的な浮世絵模写が把握できないという、重大な欠陥がある展覧会でした。
しょうがないので、
・ウィキペディア > フィンセント・ファン・ゴッホの模写作品(最終更新 2015年11月20日 (金) 08:10)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%83%E3%83%9B%E3%81%AE%E6%A8%A1%E5%86%99%E4%BD%9C%E5%93%81
・michiのひとりごと > ゴッホと広重を比較してみました・・・(作成日時 : 2012/10/28 12:44)
http://michi0103.at.webry.info/201210/article_84.html
・yumi takahashi 高橋ユミ *箱の詩学と美術綺譚* > 2016年6月26日 歌川広重「名所 江戸百景 大はしあたけの夕立」
http://yumitakahashi.ciao.jp/petitatelier/2016/06/26/%E6%AD%8C%E5%B7%9D%E5%BA%83%E9%87%8D%E3%80%8C%E5%90%8D%E6%89%80-%E6%B1%9F%E6%88%B8%E7%99%BE%E6%99%AF-%E5%A4%A7%E3%81%AF%E3%81%97%E3%81%82%E3%81%9F%E3%81%91%E3%81%AE%E5%A4%95%E7%AB%8B%E3%80%8D/
あたりで比較を楽しんでみてください。
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・Vincent van Gogh (1888) The Sower(種まく人)
(パンフレットp.2参照)
には、和風の梅のような形で木が描かれており、これもなかなか楽しい。画面の中央の大胆に木を横切らせるというのが、浮世絵の構図を取り入れたものらしい。
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「北斎とジャポニズム」ほど、比較に力を入れていないので、今ひとつわかりにくい点はあったが、それでもGoghが一時は日本の浮世絵にかなり入れ込んでいたことはよく理解できた。
個人的な所感だが、Goghが一番浮世絵から影響を受けたのは、「輪郭を描いてしまう」という技法じゃないか?と感じた。
Goghの絵の特徴の一つに、ぶっとく輪郭を描いてしまう作品が多いが、これ、他の西洋画ではあまり見られない。繊細な浮世絵の輪郭とは全く印象が違ってしまうが、もしかするとGoghなりに浮世絵の技法を消化した技なのかもしれない。
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まあ「浮世絵の影響」という観点では十分楽しめなかったが、今までGoghをちゃんと見たことがなかったので、いろいろ有名作品を見ることが出来たので、その意味では楽しい展覧会でした。
・Vincent van Gogh (1887) In the Café : Agostina Segatori in Le Tambourine(カフェ・ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ)
(パンフレットp.3参照)
は、この展覧会では、バックに浮世絵が描かれていることで展示対象となっているのですが、それとは別に、この歪んだ表情や、同じく歪んだテーブル・椅子がすごい迫力。これぞGoghだね。
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後半は、「日本人のファン・ゴッホ巡礼」というテーマだったが、こちらはほとんど興味がないので、ざっと見ておしまい。
Goghはマンガにもかなり影響を与えている。主にガロ系ですね。
代表は「つげ忠男」。他にも古川益三や安部慎一(アベシン)にもザクザクしたGoghのタッチの影響が見てとれる。
そしてそのタッチは、1970年代には「跋折羅」で活躍した劇画家(三宅秀典、伊藤重夫など)などに受け継がれている。
最近は、マンガでこういう絵なくなったなあ。ちょっと寂しい。
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しかしまあ、こういう
日本(浮世絵)→Gogh(Europe)→劇画(日本)
といった流れも考えつつ見ていくと、また別の楽しみ方ができる、という「ゴッホ展」でした。
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