2018年4月7日土曜日

保谷伸 『マヤさんの夜ふかし 1~3(完結)』

2018年3月23日金曜日 やりすぎの人 小林銅蟲(1) 『めしにしましょう 1~4(続刊)』

で紹介した『めしにしましょう』を買ってきて読んでいると、ところどころ自分の記憶と一致しないのに気づいた。

あれ?なんかコタツがあったような・・・
あれ?メガネ女の方が立場が上だったような・・・
あれ?もっとジャンクフードがあったような・・・

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そう、最初は立ち読みで知ったマンガなので、『めしにしましょう』の青梅川と、『マヤさんの夜ふかし』のマヤさんがごっちゃになっていたのでした。

どちらもメガネ、黒髪ロング、前髪パッツンと、よく似てるのだ。サブキャラがマンガ家なのも似てるし。

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・保谷伸 (2016.11) 『マヤさんの夜ふかし 1』(ゼノンコミックス). 156pp. ノース・スターズ・ピクチャーズ, 武蔵野(徳間書店, 東京).
← 初出 : WEBコミックぜにょん, 2016年5月~9月.
・保谷伸 (2017.4) 『マヤさんの夜ふかし 2』(ゼノンコミックス). 157pp. ノース・スターズ・ピクチャーズ, 武蔵野(徳間書店, 東京).
← 初出 : WEBコミックぜにょん, 2016年9月~2017年2月.
・保谷伸 (2017.12) 『マヤさんの夜ふかし 3』(ゼノンコミックス). 157pp. ノース・スターズ・ピクチャーズ, 武蔵野(徳間書店, 東京).
← 初出 : WEBコミックぜにょん, 2017年3月~10月.


デザイン : ナルティス

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その中身はというと、女子二人が夜中にSkype(作中ではスカイペ)で延々雑談しているだけ。


同書1巻, pp.112-113

これでマンガが成立するのか?と思うかもしれないが、成立するんですよ。日本のマンガって、やっぱりすごい。

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雑談の話題は、夜食カップ麺、通販サイト、猫飼いたい、賃貸サイト、ゴミ出し、部屋の模様替え、スーパーのレジ待ち、髪を切らなきゃ、などなど・・・・。ホントにしょーもねーな。

一番しょーもないのは、マヤさんがメガネを忘れて外出した時のエピソード。




同書2巻, p.128 & p.126.

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そんな低テンションなマンガでも、一応盛り上がりがあったりもするのだ。


同書3巻, pp.34-35.

これは豆山クンが、応募した漫画賞に入選したところ。

「お、百合か?百合なのか?」と思ってしまうが、実は何も起きません(笑)。

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最終話では、二人で遠野へ旅行。


同書3巻, pp.122-123.

でも、やっぱり何も起きませんでしたとさ。

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マヤさんは「魔女」という設定なのだが、その設定が生かされることはほとんどない。時折、手を使わずにゴミをくず入れに入れたりするくらい。


同書1巻, p.106

でも、ごくまれに、ほうきに乗ったり、遠隔魔法で、寝落ちした豆山をベッドに寝かしつけたり、東京から仙台まで桜の花びらを送ったりする大技もこなす。

大技を使うとお腹を壊すので、滅多にやらないが。まあ「魔女」設定はほとんど忘れて読んでかまわない。

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書いていて、どうもこのマンガの面白さが伝わってるか、自信がないんだが・・・。まあいいか、自分が面白きゃ。

豆山クンかわいいし(アホ毛ありのボク女だけど)。

2018年4月1日日曜日

原田ちあき 『誰にも見つからずに泣いてる君は優しい』

2017年11月20日月曜日 『原田ちあきの挙動不審日記』

で紹介した原田ちあきの新刊が出ました。

・原田ちあき (2018.4) 『誰にも見つからずに泣いてる君は優しい』. 205pp.+2pls. 大和書房, 東京. 


ブックデザイン : 山下リサ

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すぐにヴィレッジヴァンガード(VV)に買いに行きましたよ。VVで買うと、おまけでdummy coverがついてくる。



本体を隠すためにかけても、かえって恥ずかしくなる、ふざけたカバー(笑)。

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ドギツイ配色の人なので、もう「表紙だけでダメ」ていう人も多いかもしれない。

今回はマンガではなく、イラスト+エッセイ集。この人は本来Pop Artの人なのだ。

前にも書いたように、絵には佐伯俊男、太田螢一、なんきん などの影響が見える。

そしてイラストになると、画面構成、粗いdot使い、原色ギラギラで、Andy Warhol、Roy Lichtenstein、横尾忠則あたりの仲間であることがわかる。

さっき思ったのだが、1960年代の前衛ギャグ・マンガ/アニメ作家・久里洋二あたりともちょっとセンスが近い。

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今回は、ここ数年描きためた「悪口シリーズ」の集大成。

大半はWEB上で発表済みのものだが、やっぱり紙媒体で手にすると格別だ。

ただし色はWEBで見た方が発色がいい。どっちかというと、WEB発表向きの人かもしれない。でも、現物見たことないから、わからんな。現物もいつか見てみよう。

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ここでは、WEBでは見たことなかったものを紹介してみよう。


同書, pp.22-23

サイコーですね。

主題の女の子は常に泣いている。そして恨みつらみを吐いている。主に失恋の恨みだ。泣いてもいるし、笑ってもいる、その微妙な表情が素晴らしい。

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最近では、Andy Warholが発見した「版ズラシ」の手法にも凝っているよう。勉強家だなあ。


同書, pp.74-75

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Scanして色調整をしているときに気づいたんだが、普通の図版の色調整なんて苦痛でしかないのだが、原田イラストの色調整は楽しい。

なんかハイになってくる。原色ばっかりで、気配りする要素が少ないせいもあるだろうけど。

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エッセイの方は、ほぼ自伝的な内容。文章はまだまだだけど、内容は面白い。特に、今のような原色ギトギトになったきっかけ話が、アホみたいにおもしろい。いったい何が幸いするかホントわからんもんだ。

生の感情をぶちまけたような内容も多いが、そこに怒りはない。怒りはイラストの方で発散させているから。だから、読んでいて不快感がないのだ。

うまい文章じゃないけど、マンガと一緒で、書いていくうちにどんどんうまくなりそう。たぶん文章でもイケルと思う。

そのうちに「原田ちあきの挙動不審人生相談」とかできそうだなー。

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「不器用・バカ」と自虐的な発言が多いけど、実は結構器用だし頭もいい人だ。なんでもできそう。もちろんTVもイケルぞ。

今は波が来てるから、その波に乗ってどんどん行けばいい。ただし、体にだけは気をつけてね。

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一般には、まだまだ「気持ち悪い」という評価が多いと思うけど、


同書, p.170(©タツノコプロ)

あたりからポピュラリティが広がりそう。これホントいい絵だし。