本エントリーは
stod phyogs 2016年3月23日水曜日 高野雀5連発
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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ある日ネット上で『13月のゆうれい 1』の表紙を見つけ、「おおこれは!」と思いました。江口寿史っぽかったから。元・江口ファンとしてはちょっと懐かしかった。
江口寿史展との連動で、芸術新潮やユリイカが特集を組んでいたのですよ。久々に江口ファンであったことを思い出した。その矢先。
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それで、すぐに本屋に買いに出ました。『さよならガールフレンド』と『13月のゆうれい 1』はすぐに見つかったが、『低反発リビドー』が見つからない。5軒目、結局近所の本屋にあった。
翌日、今度はヤングマガジンに掲載された読み切り「ストロボソーダ」を探しに。すでに次号が出たあとなので、ちょっと作戦が必要だったが、意外にすぐ見つかった。
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だいたいこういう直感は当たるもので、絵も中身も当たりでした。
以下、印象羅列。
男でも読める。
コマ割りがトラディショナルで読みやすい。
女性キャラが色気がなくて大変よろしい。
描線・画面処理すべてデジタルで、クールな空気。
目に星がない。レレレのおじさんのような目。
メガネ率が異様に高い。
すこし額が後退し始めたかな?という年頃のメガネ男子が繰り返し繰り返し登場(おそらく作者の男の好み)。
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・高野雀 (2015.1) 『さよならガールフレンド』(FC swing). 191pp. 祥伝社, 東京.
装丁:黒木香+ベイブリッジ・スタジオ
単行本デビュー作。主軸は、同人誌(個人誌?)に発表された中編「さよならガールフレンド」。
(1)さよならガールフレンド pp.3-71.
← 初出:(2012.11) 『さよならガールフレンド』. 同人誌.
ヤン女萌えマンガだそうです。冒頭のアオカンはいらないような気も・・・。あと、平気で「まんこ」とか出てくるのな。もう大丈夫になったんかー。もしかして、6d745のおかげ?
短いエピソードを積み上げてストーリーを進める構成力が素晴らしい。工場なんかの小道具も効果的。
(2)面影サンセット pp.73-96.
← 初出:(2014.2) フィールヤング, 2014年2月号, 祥伝社.
(商業誌デビュー作)
さっそくメガネ男子登場。
この人、登場人物が感情を爆発させるシーンでも大ゴマやアップを使わないし、効果線やマンガ的な符号(いわゆる「漫符」)も全く使わないので、一層クールな印象が際立つ。
(3)わたしのニュータウン pp.99-118.
← 初出:(2014.9) フィールヤング, 2014年9月号, 祥伝社.
女子会ダベリマンガ。このシチュエーション多いなあ。実際、女子会でネタを拾う機会が多いらしい。
(4)ギャラクシー邂逅 pp.121-136.
← 初出:(2014.11) フィールヤング, 2014年11月号, 祥伝社.
ポエム満載。また出たメガネ男子。二人も。電車は何線なんだろうか?多摩川渡ってるな。
(5)まぼろしチアノーゼ pp.139-162.
← 初出:(2014.6) フィールヤング, 2014年6月号, 祥伝社.
暗い話。今度は主人公の女子がメガネ。ケバいヤリマンに見えるおねえちゃんだが、実はよくできた人でいいな。
(6)エイリアン/サマー pp.165-189.
← 初出:(2009.11) 『Teenage Fanclub』. 同人誌.
これもヤン女萌えマンガ(中坊版)だそうです。えー、しつこいようですが、メガネ男子(のび太)がまた出てきます。
(7)あとがき pp.190-191.
← 描きおろし
短編だと地味な作品が多い人だとわかりました。丁寧な描写をする人なので、16ページくらいだと、派手にストーリーを展開させるまでに至らないんだろうな。
「さよならガールフレンド」くらいページ数があると、力が充分発揮できるんだが。編集側が「実力派」というキャッチを付けたくなる気持ちもわかる。ほんとにうまい。これくらいの尺をとって発表できるスペースを、商業誌は作家に与えてほしいもんだが、むずかしいんだろうなあ。
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・高野雀 (2015.6) 『低反発リビドー』(ゼノンコミックス). 189pp. ノース・スターズ・ピクチャーズ, 東京/徳間書店, 東京.
← 初出:(2014.2-15.4) WEBコミックぜにょん, ノース・スターズ・ピクチャーズ.
装丁:岩屋民穂 GraphersRock.
全30話+あとがき。5ページものの連作(第1話は8ページ、第30話は7ページ)。月2回くらいのアップロードだったのかな。
団地に住む住民たちの、ライトフェチ/ライト変態オムニバス。「フェチの掘り下げが足りない」などという評もあるけど、それは別のマンガでどうぞ。軽いコメディなんだから、この程度で充分。
私が好きなのは、「射精管理の夫婦」と「傷口フェチの美少女」。
「ゴスロリ」の、りなちゃんは肝が座ってていいなあ。どうしてそんな難易度高いタスクに、すぐにノリノリになれるのだ?
30話中16話にメガネが登場。メガネ率相変わらず高い。あとこの人、ジジイを描けるのが素晴らしい。
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・高野雀 (2016.2) 『13月のゆうれい 1』(FC Swing). 191pp. 祥伝社, 東京.
← 初出:(2015.2~16.1) フィールヤング, 2015年2月号/4月号/7月号/9月号/10月号/12月号/2016年1月号, 祥伝社.
装丁:川名潤(prigraphics)
さあ、そしてついに連載。ほぼ隔月ペースだけど。
オトコっぽい女子+女装男子の双子(二卵性)に(お馴染みの)メガネ男子の三角関係?
作者も編集さんもかなり頑張って作った感のある設定。
ちょっと無理矢理感はあるけど、主人公たちのキャラは丁寧に描写されているし、生い立ちも丁寧に説明してくれるので、この設定も納得できるようになっています。この説明シーンとストーリー展開が、いい具合に配置されているので、リズムもいい。
なにかドラマ化・映画化狙いの派手な設定にも見えるが、実力のある人が売れるためには必要なステップなのかも。
連載ということもあり、コマ割りなどはちょっと動的になっている。
この人の男子の描き方は、「リアル」とまでは行かないけど、「こんな奴いるかよ」てな男子が出てこないのも特徴。だから男でも読めるんだな。
でももしかすると、女子読者は物足りなく感じているかもしれない。わかりやすい王子様は出てこないから。ちょっと王子様入ってるキリにしても、3日寝込んだ後にはちゃんと無精ひげ(ポヤポヤだけど)はえてるし。まじめな作者だなあ。
それにしても登場人物たち、偶然に出会いすぎ(笑)。
2巻で完結しそうだけど、キリにはお相手を見つけてやるのかな?あと1巻じゃ尺が足りないか。完結後に、キリを主人公にスピンアウトを描いてもおもしろいかもね。
とにかく、続き楽しみです。周防くんのねーちゃん(腐女子)をもっと出してくれ、これまで7コマしか出てないけど。
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・高野雀 (2016.2) ストロボソーダ. ヤングマガジン, vol.37, no.14(2016年11号=2016年2月29日号=2016年2月15日発売), pp.221-236, 講談社, 東京.
講談社初登場が、女性誌じゃなくて「ヤングマガジン」ってのがおもしろい。
作者談「認知症ポエム」(笑)。オチは本当にちゃんとポエムになっています。それにしてもうまいなー。相変わらずジジイ描くのもうまいし。
一人っ子家庭の老後(子供が結婚前)ってこんな感じなのかー、とちょっと新鮮でした。
表紙に『13月のゆうれい』の広告が出ているのが、ちょっと不思議。他にもページ柱には各社の単行本宣伝。多分にバーターくさいが、バーターを受け入れても登場させたかった、ってことで、講談社がいかに高野雀をほしがっているかわかる。
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・高野雀 (2015.1) あたらしいひふ My Favorite Skin. 58pp. 『さよならガールフレンド』特設サイト, 祥伝社.
http://www.shodensha.co.jp/sayonaragirlfriend/
← 初出:(2013.5) 『あたらしいひふ My Favorite Skin』. 同人誌.
特設サイトの白黒表紙では、おもしろさが全くわからないので、初出の同人誌表紙も見るべし↓(作者のblog)。
・高野雀/chapter22 > 2013年04月19日 あたらしいひふ(my favorite skin) 2013年5月5日発行
http://blog.livedoor.jp/chapter22/archives/7837688.html
これも一種のヤン女萌えマンガか。58ページも必要な話とは思えないが、同人誌なんだから自由でかまわん。
作者は、『とめはねっ!』の加茂ちゃんファン?そういえば、このソリッドなタッチは、河合克敏とちょっと似てるかも。
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以上、高野雀についての報告でした。
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