2018年5月13日日曜日

ヨコイエミ 『カフェでカフィを 2』

2017年10月30日月曜日 高野文子の娘たち (2) ヨコイエミ 『カフェでカフィを』

で紹介した『カフェでカフィを』の2巻が登場。今回は在庫が結構あったので、出るの早かったな。

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・ヨコイエミ (2018.4) 『カフェでカフィを 2』(集英社クリエティブコミックス). 159pp. 集英社, 東京/集英社クリエイティブ, 東京.
← 初出 : Office You, 2015年11月号~2017年12月号.


デザイン : 松本哲児

前回もそうだったが、表紙の色使いいいですね。今回はパステル・グリーンが基調。色コーディネートを見ながら作ったような色使いをマンガに持ち込んだのは、実は高野文子『るきさん』なのだが、もはや一般的なことでもあるし、取り立てて高野さんの影響云々を言う必要もないでしょう。

今回はずいぶんページ数を減らしてきた(前回は191ページ)。1巻がよほど売れたようだ。「早く読みたかったでしょ?だからページ数少なくても、早めに出したんですよ」と出版社に言われているようだが、図星なのでぐうの音も出ない。

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このマンガには、前回の登場人物が次回にもちらっと現れる、という縛りを入れていたのだが、2巻ではそれはあまり強く出していない。むしろ、登場人物たちが暮らすボロアパートを、そこはかとなく絡めている。

「このボロアパートが実は!」といった大河もの的な仕掛けがあるわけではないので、まあ、それも特に気にする必要はないのだが。

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1巻の実験マンガ的な作風はおとなしめで、女性誌らしいカップルもの中心の作品が多い。前回から引き続き登場しているのは、腐れ縁の堀-佐藤コンビと残業の小田-田中コンビ。「よかったですね」としか言いようがないが(笑)。

徐々に私の興味からは離れつつあるけど、最後の「通過駅」では、絵にもストーリーにも少し実験的な試みがあって、私の好み。


同書, pp.154-155

余談だが、この前回「午後二時 ホテルのラウンジで」のアゴヒゲ男が、ゴリラおじさんの後ろにちらっと顔を出しているのに、今気づいた。探すとあるんだろうなあ。

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絵はもうヨコイエミの絵柄が確立しているので、この調子で安定して描いてくれればいいような気がする。高野風ではなくなった。

しかし、ところどころ森泉岳土とか近藤聡乃を思わせる絵柄が出てくるのがおもしろい。この人マンガ好きなんだなあ。


同書, pp.134-135

いや、マンガ家に「マンガ好き」と言うのも変だが、自分のマンガにしか興味ないというマンガ家も結構いるのだ。

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この人は、ところどころ結構えげつない性描写をぶち込んでくる人なんだが、p.41なんかは参ったなあ。こんなのマンガで見たの初めてだ。

P.76あたりもなかなかにすごい。設定を考えると、結構やばい話になってくるのだが、あんまり掘らないようにしよう(笑)。

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1巻の三爺に続いて、2巻では三婆が登場。こういう高齢者をちゃんと描けるのがこの人の強み。こういうパターンは次でも続けてほしい。

この調子で続けてくれるなら、3巻ももちろん買うぞ。出るのは2年後になりそうだが。

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