2018年5月20日日曜日

変な海外小説大集合! (2) 木原善彦 『実験する小説たち』

今度はガチの実験小説研究書。

・木原善彦 (2017.1) 『実験する小説たち 物語るとは別の仕方で』. 262pp. 彩流社, 東京.


装幀 : 長澤均(Papier Colé)

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著者は阪大准教授。どっかで聞いた名前だと思ったら、

・木原善彦 (2006.2) 『UFOとポストモダン』(平凡社新書). 203pp. 平凡社, 東京.

の人かあ。この本も、最後やや強引なところはあるが、面白い本だった。研究史をまとめるのがうまい人ですね。

文学研究が本職だから、実験小説史をまとめるなんてのは、慣れたものだ。なるほど。

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001-002 はじめに
003-005 目次
007-024 第1章 実験小説とは メタフィクション、グラフィック、マルチメディア、文体
025-036 第2章 現代文学の起点 ジェイムズ・ジョイス 『ユリシーズ』(1922)
037-046 第3章 詩+註釈=小説 ウラジミール・ナボコフ 『青白い炎』(1962)
047-058 第4章 どの順番に読むか? フリオ・コルタサル 『石蹴り遊び』(1963)
059-068 第5章 文字の迷宮 ウォルター・アビッシュ 『アルファベット式のアフリカ』(1974)
069-071 休憩1 タイトルが(内容も)面白い小説
073-086 第6章 ト書きのない戯曲 ウィリアム・ギャディス 『JR』(1975)
087-101 第7章 2人称の小説 イタロ・カルヴィーノ 『冬の夜のひとりの旅人が』(1979)
103-115 第8章 事典からあふれる幻想 ミロラド・バヴィッチ 『ハザール事典』(1984)
117-130 第9章 実験小説に見えない実験小説 ハリー・マシューズ 『シガレット』(1987)
131-138 休憩2 小説ではないけど、興味深い試みをしている本や作家
139-146 第10章 脚注のついた超スローモーション小説 ニコルソン・ベイカー 『中二階』(1988)
147-157 第11章 逆語り小説 マーティン・エイミス 『時の矢』(1991)
159-173 第12章 独り言の群れ エヴァン・ダーラ 『失われたスクラップブック』(1995)
175-185 第13章 幽霊屋敷の探検記? マーク・Z・ダニエレブスキー 『紙葉の家』(2000)
187-202 第14章 これは小説か? デイヴィッド・マークソン 『これは小説ではない』(2001)
203-205 休憩3 個性際立つ実験小説
207-221 第15章 サンドイッチ構造 デイヴィッド・ミッチェル 『クラウド・アトラス』(2004)
223-236 第16章 ビジュアル・ライティング ジョナサン・サフラン・フォア 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2005)
237-245 第17章 擬似小説執筆プログラム 円城塔 『これはペンです』(2011)
247-257 第18章 どちらから読むか? アリ・スミス 『両方になる』(2014)
258-260付録:さらに知りたい人のために
261-262 あとがき

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表題の作品は、見事に1冊も読んだことない(笑)。章末の「これもオススメ!」には、読んだことのある作品が結構あったけど(日本の作家では、筒井康隆が頻出するあたり満足だ)。

各章とも「手法」に主眼をおいて分類している。各章10ページ程度なのですごく読みやすいし、わかりやすい。

かといって、この中でどれだけ「よし、読んでみよう!」となるか?この本で概要を知って、満足しちゃったのが多いかもなあ。

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Burroughsのcup-up小説も、手法紹介や短い文例で見るとすごくおもしろいのだが、長編一冊をその手法でやられると、読み通すのは苦痛以外の何物でもない。

ある程度批評的、分析的な視点を持って読まないと、読破は無理だ。実験小説というやつは。

ツツイストとしては、entertainmentとしても十分楽しめる体裁も備えている筒井康隆実験小説群はやはりすごいんだな、というのが実感できた。

そういえば、筒井康隆のエッセイやブックガイド本でも、かなり実験小説が紹介されているので、ご一読を。

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私は結構こういうカタログ本が好きなんだが、さて、この本を出港地として、実験小説の大海に漕ぎ出していくかどうかは、まだわかりません。今のところBurroughsだけで精一杯だし。

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