2009年5月20日水曜日

朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(5) 紙芝居・貸本時代

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stod phyogs 2009年5月20日水曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(5) 紙芝居・貸本時代
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。

【 紙芝居・貸本時代 】
このあたりから奥さんの布枝さんが登場し始めます。ドラマ、映画でも、下記の作品から引用されるエピソードも多くなることでしょう。

<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 机」初出:ビッグコミック(1969/04/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(8) ボヤ鬼』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981)
『水木しげる幻想怪奇(4) 地獄の水』 講談社KCスペシャル(1986/06)
----1960年(38歳)頃。マンガの収入だけでは生活が苦しいので自宅に下宿人をおいたが、その下宿人の運を左右する不思議な古机の話(ほぼ実話のようだ)。
<関連エッセイ>
(東真一郎・名義)
「ロータリー 机」初出:ガロ(1965/09)
収録:
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
『なまけものになりたい』 河出文庫(2003/06)
<関連エッセイ>
「器物に宿る霊」初出:月刊小説(1977~78のいつか)
収録:『水木しげるの不思議旅行』 サンケイ出版(1978/09)ほか

<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 倒産」初出:ビッグコミック(1969/05/10)
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----1962年(40歳)。子供が生まれたのに、貸本版元が倒産し原稿料としてもらった約束手形も不渡りに。一番苦しかった時代の思い出。内容がリアルすぎるせいか単行本にもめったに収録されない作品。

<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン 国際ギャング団」初出:ビッグコミック(1969/07/10)
収録:『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1951年(29歳)~1952年(30歳)頃。神戸で紙芝居作者のかたわらアパート経営をしていた時代の話。隣りに住む下宿人は愛想のいい男だったが・・・。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。

<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン さびしい人」初出:ビッグコミック(1969/09/10)
収録:
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
『ビッグコミックセレクション 名作短編集』 小学館ビッグコミックスペシャル(2009/03)
----1950年(28歳)~1951年(29歳)。神戸でアパート経営時代の話が再び(この話ではまだ紙芝居作者は始めていない)。いつもボンヤリしているメガネ男や景気のいい夫婦など、様々な下宿人が住んでいたが、そのメガネ男の部屋に泥棒が入り・・・。

<短編マンガ>
「突撃!悪魔くん」初出:月刊少年ジャンプ(1973/05)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる不思議な世界(4) 円盤同乗記』 講談社KCスペシャル(1987/04)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
『水木しげる』 小学館ビッグコミックススペシャル(1997/11)
『水木しげるホラー劇場』 集英社ホームリミックス(2007/06)
----1962年(40歳)~1963年(41歳)。貸本版元は倒産するわ、家は取られそうになるわ、で苦しい日々。その怒りをぶつけて生まれたのが「悪魔くん」だった。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。

<短編マンガ>
「街の詩人たち」初出:漫画アクション(1973/12/22)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1947年(25歳)。マンガでは昭和24年(1949年)とされているが、年譜などにより訂正。芸術家連中と共に焼ビルを占拠し、その後魚屋を始めるが・・・。実際は芸術家連ではなく傷痍軍人連だったようだ。芸術家連のモデルとなったのは、その頃通っていた美術学校の奇人たち(『トペトロとの50年』参照)や後に知り合う田辺一鶴らしい。『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』で、より事実に即した形にリライトされている。

<短編マンガ>
「なめちゃん」初出:週刊プレイボーイ(1975/06/10)
収録:『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』 ちくま文庫(1995/07)
----1958年(36歳)。紙芝居に見切りをつけ上京した水鬼しかばね(水木サンがモデル)は、亀戸の下宿で講談師・鍋底一角(田辺一鶴がモデル)をアシスタントに貸本マンガを描く。今でいう風俗嬢の「なめちゃん」のところに二人で行くと・・・。なめちゃん登場以降は、大半がフィクションかも?。下宿屋のオヤジさん(紙芝居の親方・小寺国松)の葬式で両人が再会した話は事実のよう(なめちゃんとの再会は?)。
<関連エッセイ>
「人脈記 屋根裏の講釈師」初出:週刊現代(1975/07/03)
収録:単行本未収録

<インタビュー>
「この妻がいたからこそ貧乏時代を乗りこえられた 水木しげる ひと山百円の腐りかけのバナナを買って女房と食べた日々」初出:婦人倶楽部(1988/03)
収録:単行本未収録
----1950年(28歳)~1965年(43歳)。紙芝居~貸本時代の貧乏生活を奥さんと共に語る。短いものだが、奥さんのインタビューもある。

<対談>
「豪放磊落対談 長井勝一VS水木しげる」初出:ガロ(1991/09)水木しげる特集号
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----1960年(38歳)~1970年(48歳)頃。三洋社~青林堂社長・長井勝一と共に、貸本マンガ~ガロ連載時代の思い出や、白土三平、つげ義春などについて語る。

<インタビュー>
聞き手・伊藤徹
「水木しげる叢書刊行記念緊急インタビュー 餓死寸前だった貸本時代」初出:ガロ(1992/06)
収録:単行本未収録
----1957年(35歳)~1965年(43歳)。貸本復刻本について語るとともに、貸本時代の思い出(主に愚痴)も。

<短編エッセイ>
「わが母校 デッサンにあけくれて将来の夢を描いていた 武蔵野美術学校」初出:週刊文春(1994/04/21)
収録:単行本未収録
----1948年(26歳)~1949年(27歳)。吉祥寺で輪タクのオーナーをやりながら、美術学校に通っていたころの思い出。といってもあまり出席しなかったので、そのころの四方山話が中心。
(追加@2009/05/21)

<短編マンガ>
「東西奇ッ怪紳士録 貸本末期の紳士たち」初出:ビッグゴールド(1996/10)
収録:
『東西奇ッ怪紳士録(壱)』 小学館ビッグコミックスゴールド(1997/05)
『東西奇ッ怪紳士録』 小学館文庫(2001/12)
----1962年(40歳)~1965年(43歳)。つゆきサブロー(吸血鬼エリートのモデル)、山田昌一(桜井昌一、メガネ出っ歯のモデル)、歌多川雅男(宇田川雅夫/政男)、上田(梅田栄太郎、ねずみ男のモデル)、黒洋万平(白土三平)、つげ義春など、奇人揃いの貸本マンガ界崩壊期の人間模様を描く。『昭和史』の一部をリライトした箇所が多い。

<インタビュー>
「水木しげる特別インタビュー 友人つゆき・サブローと兎月書房の思い出」初出:語り下ろし
収録:つゆき・サブロー 『寄生人』 太田出版QJマンガ選書(1997/10)
----1960年(38歳)~1962年(40歳)。貸本店主、映画フィルム収集家、元祖ロリコン愛好家、そしてマンガ家と、多彩な顔を持つつゆき・サブロー(別名:杉本五郎、吸血鬼エリートのモデル)との交流と、兎月書房への愚痴を語る。本書はつゆき・サブローのマンガ作品「寄生人」と「ミイラ島」を復刻したもので、表紙は水木サン画。復刻用原本も水木サンが提供した。本書にはつゆき氏の写真もあり、その姿はまさに吸血鬼エリート。本インタビューの他、つゆき氏の業績を総覧した資料・コメント群も充実している。
(追加@2009/06/04)

<インタビュー>
聞き手・中野晴行
「紙芝居の時代 水木しげる ぼくが紙芝居の絵描きだったころ」初出:大阪人(2002/09)
収録:単行本未収録
----1951年(29歳)~1957年(35歳)。紙芝居作家当時の思い出を語る。この号は「紙芝居の時代」という特集で、これ以外にも貴重な記事が多く、資料的価値がきわめて高い。

<追悼談話>
「私は昌一さんが好きだった」初出:貸本マンガ史研究 no.13(2003/08)追悼・桜井昌一
収録:単行本未収録
----1962年(40歳)頃~1965年(43歳)。2003年4月に逝去した東考社社長・桜井昌一氏を追悼。出会いから東考社で貸本マンガを出版していた頃を振り返る。ほとんどが貧乏話で、亡くなるまで不遇であった桜井氏を悼む沈痛な談話。
(追加@2009/05/31)

<短編エッセイ>
「加太こうじ 『紙芝居昭和史』 解説」初出:書き下ろし
収録:加太こうじ 『紙芝居昭和史』 岩波現代文庫(2004/08)
----1950年(28歳)~1959年(37歳)。『ねぼけ人生』などと内容は重なるが、自分の紙芝居時代の経験を書くことで解説に代えている。

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(追記)@2009/05/21

「わが母校」を追加した。

(追記)@2009/05/31

「私は昌一さんが好きだった」を追加した。

(追記)@2009/06/04

「友人つゆき・サブローと兎月書房の思い出」を追加した。

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