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stod phyogs 2009年5月14日木曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(4) 戦時中
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 戦時中 】
<短編マンガ>
(米替富夫・名義)
「三等兵物語」初出:『少年戦記(2)零戦特集号』 兎月書房(1959)
収録:『水木しげる戦記傑作大全(7)』 人類文化社(2000/05)
----1944年(22歳)。この後、繰り返し描かれる「糞メシ」エピソードの初出。タイトルは前谷惟光『ロボット三等兵』の影響。
<短編マンガ>
「水木氏のメルヘン にがい朝食」初出:ビッグコミック(1969/05/25)
収録:
『水木しげる幻想と怪奇(7) 落第王』 朝日ソノラマ・サンコミックス(1981/09)
『水木しげる短編傑作集・不思議編 死女の手』 朝日ソノラマ・サンワイドコミックス(1985/07)
----1944年(22歳)。「三等兵物語」の「糞メシ」エピソードを敷衍した作品。『総員玉砕せよ!』にも同エピソードあり。
<関連エッセイ>
「戦争と糞」初出:書き下ろし
収録:
『第2期現代漫画(11) 戦争漫画傑作集』 筑摩書房(1970/12)
『水木しげるのカランコロン』作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
----それにしてもタイトルがすごい。
<中編マンガ>
「敗走記」初出:別冊少年マガジン(1970/02)
収録:
『敗走記』 ほるぷ出版・平和漫画シリーズ(1983/10)
『水木しげる戦記ドキュメンタリー(2) 敗走記』 講談社KCデラックス(1991/11)
『幽霊艦長』 ちくま文庫(1993/07)
『水木しげる戦記選集 鬼軍曹』 宙出版(2008/10)
----1944年(22歳)。シリアスな戦争体験をマンガ化した最初の作品。最前線の分隊全滅後、中隊基地に帰り着くまでの想像を絶する困難を描く。敗走を共にする鈴木という兵士も現れるが、後のマンガ、エッセイから判断すると、このマンガ用に創作した架空の人物のようだ。また、単行本あとがきでは「親友・真山の体験がモデル」ということになっているが、これは無用の中傷を避けるためかと思われ理解できる。「地獄と天国」でリライトされている。
<短編マンガ>
「セントジョージ岬 総員玉砕せよ」初出:週刊現代増刊・劇画ゲンダイ(1973/08/01)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1943年(21歳)~1944年(22歳)。下記の単行本版「総員玉砕せよ!」の短縮版。結末は単行本版と異なる。
<長編マンガ>
『総員玉砕せよ!』初出:書き下ろし
収録:
『聖ジョージ岬・哀歌 総員玉砕せよ!』 講談社(1973/08)
『姑娘(クーニャン)』 オハヨー出版社・エースファイブコミックス(1980)
『玉砕者の鎮魂歌』 オハヨー出版社・エースファイブコミックス(1980)
『狂気の戦場 総員玉砕せよ!』 オハヨー出版社(1982)
『総員玉砕せよ!聖ジョージ岬・哀歌』 ほるぷ出版・平和漫画シリーズ(1985/07)
『水木しげる戦記ドキュメンタリー(1) 総員玉砕せよ!』 講談社KCデラックス(1991/10)
『総員玉砕せよ!』 講談社文庫(1995/06)
『総員玉砕せよ!』 集英社ホームリミックス(2007/08)
----1943年(21歳)~1944年(22歳)。実体験系戦記物の代表作。ニューブリテン島前線の中隊が理不尽な玉砕命令で全滅する過程を描く。主人公は水木サンがモデルの兵士・丸山。前半はほぼ水木サンの実体験だが、自身は重症を負って途中で離脱。後半は伝聞に基づいており、水木サン言「九十パーセントは事実」とのこと(ラストの再突入玉砕のエピソードは創作で事実と異なり、設定・人名・地名もかなり変えてある)。部分的に『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている。人物画は大半がつげ義春の筆と思われる。
<短編エッセイ>
「娘よ あれがラバウルの灯だ」初出:中央公論(1973/09)
収録:単行本未収録
----1944年(22歳)~1945(23歳)。戦争体験の中でも特にトペトロたちとの交流をつづったもの。『娘に語るお父さんの戦記』の原型となった作品。単行本未収録のイラスト多数。
(追加@2009/05/23)
<短編マンガ>
「波の音」初出:週刊朝日増刊(1974/04/30)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 ああ太平洋(下)』 宙出版(2007/12)
----1944年(22歳)。シャレコウベが語る戦場体験という体裁だが、内容は水木サンの実体験。「敗走記」と同じく、最前線からの敗走劇が中心。マラリアで錯乱状態になったのは実話だが、そのままのたれ死にはもちろん創作。
<長編エッセイ>
『娘に語るお父さんの戦記』初出:書き下ろし
河出書房新社(1975)
河出文庫(1982/08)
(絵本版)河出書房新社(1985/07)
(新版)河出文庫(1995/06)
(新版)社会批評社(1999/04)
----1943年(21歳)~1971年(49歳)。兵隊時代の体験を総合的に語ったエッセイ。終わりの方で、オマケ的に戦後の経験~トペトロとの再会も語られる(新版あとがきでは、さらにトペトロの葬式までが語られる)。「娘に語る」という体裁のせいか親しみやすい文体で、これで水木サン文体が確立した。この後、長編エッセイの仕事が増えていくきっかけとなった作品。なお挿画は、初出ではラフなペン画だが、新版では点描画となり数も大幅に増えている。味のある初出ペン画のファンも多い。
<短編マンガ>
「ああ天皇とボクの五十年」初出:面白半分別冊・漫画面白半分(1976/11)
収録:
『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)
----1930年(8歳)~1932年(10歳)頃?/1943年(21歳)。小学校時代と兵隊時代の、天皇がらみでの体験談。
<短編エッセイ>
「死者の招き」初出:月刊小説(1977~78のいつか)
収録:『水木しげるの不思議旅行』 サンケイ出版(1978/09)ほか
<関連エッセイ>
「今も聞こえる兵長の「パパイアはまだか」」初出:週刊読売(1984/08/12)
収録:『妖怪になりたい』 河出文庫(2003/05)
----1944年(22歳)。怪談仕立てのエッセイ。後半の恐怖譚は創作と思われる。前半、兵長が亡くなるまでは『ねぼけ人生』などにも書かれている。
<中編マンガ>
「地獄と天国」初出:月刊少年ワールド(1979/01~02)
収録:
『水木しげる戦記傑作大全 別巻』 人類文化社(2000/05)
『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。前半は、最前戦から孤軍敗走、マラリヤ、片腕を失う、という「地獄」。後半は、トペトロたちとの出会いと交流、という「天国」を描く。大半が『昭和史』、『ゲゲゲの楽園』に転用されている重要作。
<短編マンガ>
「戦争と日本」初出:小学六年生(1991/02)
収録:『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)/1971年(49歳)~1989年(67歳)。小学生向けの学習マンガで、戦争体験とトペトロたちとの交流エピソードがはさまる。
<対談>
水木しげる+砂原勝己、聞き手・永井明
「対談 妖怪マンガの巨匠・水木しげるさんとガン宣告された医師の"落ちこぼれ友情秘話"」初出:女性自身(1992/09/21)
「対談 水木しげるさんとガン宣告された医師の戦後48年めの再会に秘められた感動ドラマ 落ちこぼれの兵隊とずっこけ軍医は生き残った!」初出:女性自身(1992/09/28)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。片腕を失う負傷をし兵站病院に入院した際の軍医だった砂原氏と再会し対談。読者への背景説明のため、半分以上が永井氏の文章で占められ、残念ながら対談のダイナミズムが失われている。
<対談(別編集)>
「回想対談 ラバウルの頃 砂原勝己元軍医VS水木しげる」初出:未発表(1993/07/16収録)
収録:『水木しげるのカランコロン』 作品社(1995/09)
----上記記事の生データか?(出所不明)。軍の変わり者同士で戦地の思い出を語り合うものだから、おもしろい対談になった。さらに、別編集バージョンが、足立倫行『妖怪と歩く』にも収録されている。
<関連エッセイ>
「軍医の一言」初出:不明
収録:
『妖怪天国』 筑摩書房(1992/04)
『妖怪天国』 ちくま文庫(1996/07)
----砂原軍医の忠告でラバウル現地除隊を思いとどまった話。しかし上記対談によると、砂原氏は「憶えていない」とのこと(笑)。
(一部修正@2009/05/17)
<長編エッセイ+イラスト集>
『水木しげるのラバウル戦記』初出:書き下ろし
筑摩書房(1994/07)
ちくま文庫(1997/07)
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。現地で描いた絵、帰国直後描いた紙芝居風イラストに文章をつけ、ニューブリテン島時代を振り返る。物持ちのいい水木サンならではの作品。
<中編マンガ>
「鬼軍曹」初出:ビッグコミック増刊・終戦五十周年記念特集(1995/08)
収録:
『水木伝説(XVII) 戦記漫画特集(雑誌編)』 水木伝説(2004/12)
『水木しげる戦記選集 鬼軍曹』 宙出版(2008/10)
----1944年(22歳)~1945年(23歳)。水木サンの上官・鬼軍曹、同輩の景山、そして自分の行動を対比させながら、戦地での立ち回り方を考える。
<インタビュー>
「水木しげるロングインタビュー 亡き戦友が描かせた戦記まんが」初出:語り下ろし
収録:『水木しげる戦記選集 ああ玉砕』 宙出版(2007/08)
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。自作品の実体験系戦記マンガを語ることで、水木サンの戦場体験がコンパクトにまとめられた好インタビュー。
<インタビュー>
聞き手・梯久美子
「死者のいる場所(12)~(14) 水木しげるの戦争(1)~(3)」初出:本の旅人(2009/01~03)
収録:単行本未収録
----1943年(21歳)~1945年(23歳)。『神秘家 水木しげる伝』出版を記念したインタビュー。名義としては梯氏の著作だが、水木サンの独白が多く、実質的にインタビュー記事になっている。内容はいつものやつです。
(追加@2009/05/26)
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(追記)@2009/05/17
「砂原元軍医との対談」に関するデータを一部修正した。
(追記)@2009/05/23
「娘よ あれがラバウルの灯だ」を追加。
(追記)@2009/05/26
梯久美子「死者のいる場所 水木しげる」を追加した。
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