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stod phyogs 2009年5月8日金曜日 朝の連続テレビ小説+映画「ゲゲゲの女房」の予習をしておこう の巻(2) 半生記
からの移籍です。日付は初出と同じです。
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えー、ただ今、水木しげる先生の自伝の数々をみております。
【 半生記 】
半生を通しでつづった自伝だけで十数作品もあるのですから驚きです。まさに「自伝界の巨人」でもあります。
<長編エッセイ>
『ほんまにオレはアホやろか』初出:書き下ろし
ポプラ社(1978/09)
社会批評社(1998/12)
新潮文庫(2002/08)
ポプラ社私の生き方文庫(2004/11)
----1922年(0歳)~1971年(49歳)。前年に『のんのんばあとオレ』を出したばかりなので、少年時代は大幅に割愛し、青年期~雑誌連載で成功するまでが中心。紙芝居~貸本時代の苦労話に詳しいのが特徴。
<短編エッセイ>
「わが狂乱怒濤時代 奇妙奇天烈な興味の日々」初出:別冊新評水木しげるの世界(1980/10)
収録:
『水木しげるのカランコロン』作品社(1995/09)
『妖怪になりたい』河出文庫(2003/05)
----1932年(10歳)頃?~1966年(44歳)頃。自分の半生を趣味で切って振り返る。
<長編エッセイ>
『ねぼけ人生』初出:書き下ろし
筑摩書房(1982/03)
ちくま文庫(1986/02)
埼玉福祉会(1992/09)
(新装版)ちくま文庫(1999/07)
----1922年(0歳)~1982年(60歳)。古今東西の自伝作品中の最高傑作と言いきっていいと思う。『ほんまに・・・』からわずか4年でまた自伝、というあたりは、天才の考えることは凡人には計り知れない。こちらは少年時代にもページをさいておりバランスがよい。何度読んでも爆笑する「講堂での屁」エピソードが秀逸。さらに雑誌連載で成功後のエピソードも加わった。世界中の人に読んでもらいたいのに、外国語訳はまだないよう。松田哲夫さん、なんとかしてよ。
<短編エッセイ+イラスト>
「<絵随筆>たわむれの生涯」初出:中央公論(1984/02)
収録:単行本未収録
----1926年(4歳)頃~1984年(62歳)。イラストと共に半生を簡単に振り返る。イラストは見覚えあるものがほとんどだが、これが初出なのか、他の作品からの転用なのか、もうわかりません。
(追加@2009/05/17)
<長編マンガ>
『コミック昭和史(1)~(8)』初出:書き下ろし
講談社(1988/11~89/12)
講談社文庫(1994/08~11)
---1922年(0歳)~1989年(67歳)。昭和史と自分の半生をオーバーラップさせて描く。この後も続く自伝作品のフレームワークがこれで確立した。これまで書いた自伝的マンガのストックが大量にあるので、それを随所でうまく利用している(切り貼りもしくはリライト)。三巻にわたる兵隊時代が詳しいことも特徴。
<短編マンガ集>
『妖怪ワンダーランド(8) 奇人怪人大図鑑』初出:各種
ちくま文庫(1995/07)
----1937年(15歳)~1969年(47歳)頃。この巻は大半が水木サンの自伝的作品で占められ、それも時系列順に配列されているという気のきいた編集。収録されている自伝的作品は、「落第王」、「街の詩人たち」、「さびしい人」、「国際ギャング団」、「なめちゃん」、「突撃!悪魔くん」、「残暑」、「ドブ川に死す」。他は「怪傑くまくす」と武蔵もの。
<エッセイ集+短編マンガ集>
『カランコロン漂泊記』初出:ビッグコミック(1997/01~12、1999/01~12)
小学館文庫(2000/08)
----1927年(5歳)~1999年(77歳)。断片的なエピソード集になるが、これまでの自伝類で漏れていたエピソードも多い。半生にわたり出会った印象的な人物についてのエッセイが中心。
<インタビュー>
「「家」の履歴書 漫画家・水木しげる 借金して買ったアパートも二年で人手に。筆名に残った「水木荘」」初出:週刊文春(1998/04/30+05/07合併号)
収録:週刊文春・編 『「家」の履歴書』 光進社(2001/01)
----1922年(0歳)~1998年(76歳)。これまで暮らした代々の「家」で語る自伝。生家、戦地の病院、神戸のアパート・水木荘、亀戸の下宿屋、新宿のアパート、そして調布の自宅。
<長編マンガ>
『ボクの一生はゲゲゲの楽園だ マンガ水木しげる自叙伝(1)~(6)』初出:書き下ろし
講談社(2001/05~10)
(3冊に再編の上改題)
『完全版 マンガ水木しげる伝(上)(中)(下)』講談社漫画文庫(2004/11~05/01)
---1922年(0歳)~2001年(79歳)。『昭和史』から水木サンのエピソードを抜き出して再編したものが中心。ちょっと安易な企画、という批判もある。1990年代のエピソードが新たに加わっているが、「妖怪博士の朝食シリーズ」や「メキシコ旅行記」などの転用で、半分はフィクション。今のところ自伝の決定版。
<長編エッセイ>
『生まれたときから「妖怪」だった』初出:書き下ろし
講談社(2002/06)
講談社+α文庫(2005/07)
----1922年(0歳)~2002年(80歳)。「ソツのある生き方」をテーマに、人生訓を織りまぜながら半生をたどる。いつもの文体とは違っており、水木サンから聞き取って編集者がまとめたものと推測できる。
<資料集>
『水木しげる記念館公式ガイドブック』朝日新聞社(2003/03)
----1922年(0歳)~2003年(81歳)。「げげの間水木しげる年代記」は展示物でたどる半生記。これが2年後「大(Oh!)水木しげる展」に発展した。
<エッセイ集>
『水木サンの幸福論 妖怪漫画家の回想』初出:日本経済新聞(2003/08)
日本経済新聞社(2004/03)
角川文庫(2007/04)
----1922年(0歳)~2003年(81歳)。日経新聞連載「私の履歴書」を中心に、最近の水木サンの持論「幸福論」を加える。この辺になると大半が既出でちょっと食傷気味だが、水木ファンではない日経読者が対象だから仕方ない。貴重な写真も公開。三兄弟座談会も秀逸。なお併録マンガは、日経版が「別冊マガジン版鬼太郎の誕生」(ガロ版という売りは誤り)で、角川文庫版は「花町ケンカ大将」。
<資料集>
朝日新聞社事業本部大阪企画事業部ほか・編
『「大(Oh!)水木しげる展」図録』初出:書き下ろし
朝日新聞社(2004/04)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。写真、作品、出版物、コレクションなどの展示物で半生をたどる、水木伝のビジュアル化。大変な労作で、水木ファンなら必携。巻頭「水木しげる人生絵巻」も傑作。
<インタビュー>
桐山秀樹・構成
「水木しげるロング・インタビュー 妖怪の棲めない国はダメになる」初出:中央公論(2004/09)
収録:単行本未収録
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。タイトルではわかりにくいが、水木サンの半生に焦点を当てたインタビューになっている。
(追加@2009/06/04)
<インタビュー>
聞き手・波津博明
「妖怪マンガを創造した"おばけの代理人" 「ゲゲゲの鬼太郎」作者 水木しげるさん」初出:読売新聞(2004/09/01~10/05)
収録:読売新聞解説部・編『読売ブックレット 時代の証言者(8) 「漫画」 水木しげる/やなせたかし』 読売新聞社(2005/08)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。インタビューで構成した半生記。水木ファンでない読売読者が対象なので、シンプルな出来。『幸福論』と似た雰囲気。
<長編エッセイ>
『水木しげるのんのん人生 ぼくはこんなふうに生きてきた』初出:書き下ろし
大和書房(2004/12)
----1922年(0歳)~2004年(82歳)。今度は、絵と文で半生をたどる紙芝居スタイルの自伝。
<資料集>
朝日新聞社事業本部大阪企画事業部ほか・編
『水木しげるの「妖怪」人生絵巻』初出:『「大(Oh!)水木しげる展」図録』(2004/10)
朝日新聞社(2005/07)
----1922年(0歳)~2005年(83歳)。『図録』から主要記事を抜粋して再編した普及版。収録四コママンガなどが微妙に『図録』と違っている。
<長編マンガ>
『神秘家 水木しげる伝』初出:怪(2006~07)
角川書店(2008/04)
----1922年(0歳)~2007年(85歳)。自伝好き水木サンの真骨頂。三度目の自伝マンガ。再編・転用ばかりだった『ゲゲゲの楽園』の出来が不満だったのだろうか、今度は全部新作。近年の動向について詳しいのが特徴。後半は様々な神秘現象と出会ったエピソードが増え、タイトルに相応しい内容となった。一と月の間に本人、奥さん、娘さんの本が出るなんて水木家以外にはあり得ない快挙。
<インタビュー>
『NHK知るを楽しむ 人生の歩き方 テキスト 2008年6月 水木しげる 百歳まで生きるでしょう/細谷亮太 子供の命をみつめて』初出:語り下ろし
日本放送出版協会(2008/06)
----1922年(0歳)~2008年(86歳)。NHK教育テレビの番組「知るを楽しむ人生の歩き方 水木しげる 百歳まで生きるでしょう」(2008/06、全4回)のテキスト。NHK視聴者が対象なので、やはりシンプルな出来。水木サンの普段の生活・言動が垣間見れる映像版の方が圧倒的におもしろい。
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(追記)@2009/05/17
「<絵随筆>たわむれの生涯」を追加した。
(追記)@2009/06/04
「妖怪の棲めない国は・・・」を追加した。
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