「脱力タイトル選手権」なんていうものがあったら、文句なしに優勝でしょう。わはは。
・森繁拓真・原作+カミムラ晋作・作画 (2015.12~2017.3) 『おとうふ次元(ディメンション) 1~3』(MFコミックス フラッパーシリーズ). KADOKAWA, 東京.
← 初出 : ComicWalker, 2015年6月19日配信~2017年1月5日配信
https://comic-walker.com/
装幀 : 松本圭司
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原作の森繁拓真は、東村アキコの弟。自身もマンガ家。言わずと知れたヒット作『となりの関くん』の作者だ。
「あるある系」や日常系に笑いを見つけるのが得意な人だ。この作品もそれ。
「おとうふ次元」というネーミングからしてギャグ・センス抜群。『となりの関くん』もおもしろいぞ。
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カミムラ晋作は2005年デビュー。らしいが、残念ながら、他の作品を読んだことがない。
堅実な絵で安心して読める。人物の動きは少し固いのだが、こういう筋肉質の男を描かせると、かえってその絵がしっくり来る。
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ストーリーは、未来からやって来た時空修復官トライ(現代日本での偽名=寅井)が、事故で未来に帰れなくなり、救助を待つまでの間、現代日本のアパートで暮らす話。
自分の行動により未来を変えてしまわないよう、できるだけ何もしない。だから普段はずっと寝ている(笑)。
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とはいえ、何かを食べなきゃいけないし、最低限の行動も必要だ。しかし、トライは200年後の人間。現代日本の知識にうとい。
同書1巻, pp.18-19
肉じゃがを食べるだけで大騒ぎ(笑)。
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ある行動により未来が変わりそうになると、「時変センサー」が発動し、別の行動を促す。
そこで活躍するのがライブラリ。このライブラリへ「フルアクセス」することにより、脳の処理速度を一万倍までに高めることができる。実質的に時間を止めるような形になり、リアルタイムでは瞬時に行動を変えることができるのだ。
このライブラリを会話型に人格化した、マスコットがなかなかいい味を出している。かわいいし。
同書1巻, pp.18-19
パンツを買うだけでも、この始末(笑)。
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トライは筋肉モリモリ。ハードボイルドで、3巻にわたりニコリともしない。いわば「ゴルゴ13」型キャラ。
それが上述のようにトンチンカンな行動をするところが、このマンガのおもしろさ。まあ言ってみれば、泉昌之型の日常ギャグだ。
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これは、設定を作ったところで8割型完成だ。原作の森繁の実力が光る。
また、SF好きなのもよくわかった。設定はまあ甘いんだが、コメディ(というよりギャグだな)なんだから、この程度で充分。
いつか本格的なSF作品もできそう。楽しみ。
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登場人物は、他に、大家とその娘・舞花。
トライの天敵。この二人に関わるたびに、未来改変の危機が訪れるのだ。
同書3巻, pp.108-109
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他に、トライが未来人であることを察知してしまった、在宅科学者・五坊貴人とメイドのヴェスナのコンビ。
同書2巻, pp.28-29
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レギュラーの登場人物はこの5人だけだ。登場人物が少ないのは、最初から3巻くらいで収めるつもりだったのだろう。
あるあるネタが多いので、続けようと思えば、いつまでもできたはずなのに、潔く短く終わらせた。
きれいにまとまっていて、読後感もいい。オチはちょっと苦しいような気はするが。まあでも、ハードSFへのチャレンジとしては充分評価していい。
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なお、タイトルが「おとうふ・・・」なのは、未来では「とうふ」が主食(笑)になっているせい。
オチにもとうふが絡んでいるのだ。このトボケ具合、読みたくなったでしょう。
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個人的には「コインシャワー」の話が好きだ。オードリー春日を思い起こさせる。
そうか、主人公のトライには、オードリー春日も投影されているのかもしれませんね。
というわけで、実写化する際には、主人公はオードリー春日で決まり!
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あんまり部数は出なかったらしく、本屋ではもう見かけないし、古本も少ない。全3巻揃えるのは結構大変だった。しかし、面白さは保証しますから、是非探してみてください。
こういう面白いマンガは、もっと評判になってほしい。このコンビでの次回作、特にもっとハードなSF作も読んでみたいし。
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