2018年1月7日日曜日

秋山はる 『こたつやみかん』

・秋山はる (2013.3~2014.6) 『こたつやみかん 1~4』(アフタヌーンKC). 講談社, 東京.
← 初出 : アフタヌーン, 2012年5~6月号/2013年2月号~2014年6月号.


Cover Design : Garowa Graphico

約2年で4冊を疾走した感のある快作だ。

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高校落研の物語。主人公は中心にいるチビメガネちゃん・坂井日菜子(高2)。「こたつやみかん」とは彼女の高座名だ。

最近このタイプが主人公のマンガ、増えたなあ。昔は脇役専門だったんだけど。でもどれもおもしろいのだ。当然みんな「オタク」だし(笑)。

この子はこう見えて「落語オタク」。なにせ、最初から最後まで落語の話しかしない。そしてついには・・・、おっとこれは現物を読んで確かめてくれ。

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登場人物は、落研の4人と他校の男子1人、これですべてだ。4巻でコンパクトに収まったのは、登場人物の数とテーマを絞ったからに他ならない。これに、定番の友情と恋愛をほどよく絡めてあり、そのバランス、出しどころも的確。

物語が休むことなく常に前へ前へと進んでいくので、すごく読みやすい。引き込まれる。寄り道は、夏休みに海に行く1回だけだ(巻頭カラー掲載用の措置)。

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普通、主人公は「最初はダメダメだけど、どこかキラリと光るものがある!こ、こいつは・・・」という場面があって、その才能を見ぬいた指導者が特訓を加える、という展開が多いのだが、このマンガにはそれがない!これがこのマンガの面白いところだ。

日菜子は当初、聞くだけの落語オタクだったので、演じ始めて最初はボロボロで、才能のカケラも感じさせない。

その後も、落語の上達はスローペース。しかし、ステップステップで着実に上達していく。それも指導者なしの自力だ。これだけ努力オンリー型の主人公は、最近珍しい。

その分「劇的な場面に乏しい」と感じるかもしれないが、いや、それがこのマンガの特徴と思って浸って下さい。

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転校生で美人で長身で才色兼備で落語もうまく性格もいい、という超人「まほ吉」がだんだん普通の人になっていったり、当初のライバル「悠太」がどんどんヘタレ化していったのはちょっと物足りないが、その分日菜子の落語愛が際立つ結果になり、ストーリーに筋を通す役目を果たしていたと思う。

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他校の男子で、落語の天才・桐野くんの行動はちょっと意外で(何が意外かは読んでちょうだい)、それまでそんな片鱗も見せていなかったのに・・・と思わないでもないが、それはあれだ、日菜子視点で絵を見せていたから、と思っておこう。

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連載になってから出してきた、後輩の「おパン亭コットン」がアクセントとして、すごくよく機能していた。クールなのもいい。

こういうキャラを作れるのは、コメディ作家として相当な実力だと思う。

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いずれにしても、この作品はワイワイ感もありすごく楽しめた。

あんまり評判は聞かないけど、絵も堅実にうまいし、もっと話題になっていい作品だと思う。

もう3年前と、中途半端に古い作品なので、全巻そろえるのはちょっと手間がかかるけど(4巻がなかなか見つからなかった)、頑張ってさがす価値のある作品です。

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