これはすごいのを発見してしまった!こういうのにブチ当たるから、あてずっぽうでのマンガ探しはやめられない。
・小池田マヤ (2009.7) 『放浪(さすらい)の家政婦さん』(フィールコミックス). 166pp. 祥伝社, 東京.
装幀 : 関善之 for Volare Inc.
またフィーヤンだよ。すごいなフィーヤン、いいぞフィーヤン。
------------------------------------------
身長185cm、ドブスだが、S級の家政婦、大和田里(おおわだ さと)の物語。というよりは里を狂言回しに、家庭模様を描写していく話。
なんだが・・・、それにしては里が積極的に干渉し過ぎで、途中は里を巡ってたいてい話がぐちゃぐちゃになる。
この女、依頼者(男女を問わず)とすぐにキスしたりセックスしたりするのだ(それと並行して、別に恋人がいたりもする)。淫乱、と言っていいだろう。おまけにバイセクシャルだし。
キスやセックスに至る過程が唐突!それまで対立していたかと思うと一転ラブシーン(色気なし)になるのだ。毎回「えーっ!」と驚く展開。
------------------------------------------
しかし、S級家政婦なだけに、料理、掃除、洗濯と家事全般が完璧。長身でとにかくカッコイイ。タバコは吸うし、酒も飲む(結構すぐ酔っ払う)。すぐ脱ぐし。
同書 p.55
「あんたブス」
「知ってる」「よ!」「でもモテんだよ うそじゃないよ」「大人になったらブスでもモテる様々なテクニックがあるんだよ」
同書 p.6
冒頭から強烈です。
顔がドブスなのが欠点とされているが、そんなことないよね。ファッション・モデルにはよくある顔立ちだし。ルックスは歌手のCharaやU-Aあたりをモデルにしているんじゃないかな。
------------------------------------------
属性詰め込み過ぎな特濃主人公でお腹いっぱいなのに、その上に依頼者の家庭模様にも複数の物語を並行して入れてきたりして、設定がテンコ盛りすぎる。濃いマンガだ。
読んでいて時々展開が追えなくなるのだが、それでも里の強力なキャラと勢いでグイグイ読ませる。傑作だ。
------------------------------------------
01. タヌキの里. pp.3-34.
← 初出 : Feel Young, 2001年12月号.
初登場では女子中学生との戦い。ドタバタ具合が絶品。エピソードもやたら詰め込んであるし。
最後にだけ登場する依頼者のオヤジが全部いいとこ持っていく、という、登場人物も読者も呆気にとられつつ、あっさり終わる変な作品だ。
------------------------------------------
02. 日用の糧. pp.35-76.
← 初出 : Feel Young, 2004年6月号.
2話め(雑誌掲載は3番目だが)にして、里の素性が明らかになる。早すぎるよw。
若夫婦のダンナ(昔の知り合い)と嫁さんの両方にちょっかい出すが最後は丸く収め、亡き師への敬慕で締める、という・・・もー、詰め込みすぎだよ。
------------------------------------------
03. The 分限者. pp.77-120.
← 初出 : Feel Young, 2003年9月号.
里の里帰りの巻。3話めで生い立ちが明らかになる、ってこれも早すぎだ。
この回は家政婦としての活躍場面はない。事件と相続争いに巻き込まれるんだが、派手な立ち回りもないのにグイグイ読ませる。
------------------------------------------
04. ダム guess I'm dumb. pp.122-162.
← 初出 : Feel Young, 2002年8月号.
これは里とは関係ない別のマンガ。オレには合わなかった。
------------------------------------------
里シリーズは、1年に1作で3話しか描いてない。確かに設定をてんこ盛りにしているだけあって、仕上げるのに時間がかかるだろうな。
料理の描写も詳しい。そのどれもがうまそうだ。料理を調べて作者自身も作ってみてから描いているんだろう。手間ひまかかってます。
------------------------------------------
単行本になったのは、第3話の5年後だった。人気がなかったとも思えないが、多作な作者なので、このシリーズを準備する時間がなかったんだろうなあ。
単行本と同時に、ようやく定期的な掲載が始まる。「里シリーズ」を発掘して定期掲載に持ってきた編集者は優秀だ。
以後、祥伝社から2冊、双葉社「JOURすてきな主婦たち」誌に移籍してもう1冊出ている。都合4冊。
そのどれもが傑作なので1冊ずつ紹介していこう。
0 件のコメント:
コメントを投稿