ウラモトユウコについては、
2017年3月26日日曜日 「フイチンさん」の娘たち (2) 近藤聡乃 ウラモトユウコ
でも紹介しましたが、その新刊です。
・ウラモトユウコ (2017.9) 『fit !!!』(BIG COMICS SPECIAL). 127pp. 小学館, 東京.
装丁 : 望月綾子
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これ、かなりマンガに力を入れている大書店でも1冊しかなかった。
あんまり期待されてないのか、印刷が後回しにされてるのか・・・(初刷を小部数にしておくと、すぐに増刷がかかって、売れてるように見える)。
まあ、「傑作!」というほどの作品ではないが、こんな扱いされるほどダメダメでもない。
というわけで、出たこと自体あまり知られずに、忘れ去られそうな気配もあるので、今のうちに紹介しておこう。
言っとくけど、かなりおもしろいんだよ。
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全10回の連載・表題作
・「fit !!!」
← 初出 : やわらかスピリッツ, 2017年3月2日号~7月6日号
ウラモト作品ではお馴染みの、ガサツでグラマラスな女子「テンポちゃん」が主人公で、それに小柄ギャル「サナちゃん」がからんでいくストーリーなのかな、と思いきや・・・。
確かに前半はそうなんだが、後半はインストラクター「ユイ先生」が主人公だったり、と、そこでようやく「フィットネス・クラブでの人間模様」を描くマンガであると気づいた。
わずか10回なら、もっとテンポちゃん中心だけでよかったような気もするが、まあネタが持たなかったんだろうな。隔週連載だったようだし。
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小柄女子サナちゃんが、ギャル化することで自信をつけていった回顧談がとてもおもしろい。
すごくリアルな話で、これ、誰かから実際に聞いたのが元ネタなんじゃないかな。
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編集部主導の、「フィットネス・クラブ」という設定ありきの話なので、ウラモトさんもなかなか苦労している。でも、そこそこよくまとまった作品だと思う(あんまり人気なくて、打ち切りになったんだと思うが・・・)。
前に紹介した小坂俊史の小学館連載作でも感じたのだが、小学館は、よそから引っ張ってきた作家を、自社の型にはめようとするので、他社での作品より窮屈そうに感じる。
もっと自由に描かせていいのにな。そう、島本和彦「炎の転校生」くらい(笑)。
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残りの6ページ短編2本
・「タネとシカケと酒屋のキクちゃん」
← 初出 : ビッグコミックスピリッツ, 2014年32号
・「へいらっしゃい」
← 初出 : ビッグコミック・オリジナル, すし増刊 2016年8月29日号
は、どちらもウラモトさんらしさが出た名作。
「キクちゃん」は、おなじみグラマラス女子が活躍。「へいらっしゃい」は、オチが完璧、マンガの教科書に載せたいくらい。
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とまあ、なかなか悪くないので、本屋で出くわしたら「二度目はない」と思って、すぐさま買いましょう。
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なお、現在(2017/09/27時点)発売中の週刊モーニングにも、短編
・ウラモトユウコ (2017.9) ラッキーボウル 紅葉町店. 週刊モーニング, 2017年43号.
が掲載されているので、こちらもどうぞ。おもしろいよ。でも、忙しいのか、ちょっと絵が荒れてる。
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