2017年2月28日火曜日

○○界の巨匠 桑田乃梨子の新刊 『明日も未解決』

着ぐるみマンガ界の巨匠、ダラダラ・マンガ界の巨匠、1980年代高校生制服保存界の巨匠、健全すぎるラブコメ界の巨匠、物陰からのぞきマンガ界の巨匠、にょろりマンガ界の巨匠である(最後の方は何言ってるかわかりませんが)桑田乃梨子先生ではありますが、実は「心霊コメディ」界の巨匠でもあります。

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その巨匠による「心霊コメディ」の新作がコレ↓

・桑田乃梨子 (2017.2) 『明日も未解決』. 173pp. 白泉社, 東京.
←初出 : 楽園 web増刊, 2012年8月~2016年12月


装丁 : 平谷美佐子

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これまで、「おそろしくて言えない」(1990~92年)、「1+1=0」(2000年)といった心霊コメディの名作を送り出してきた桑田先生が、久々に放った心霊コメディ新作です。

なんと4年かけて1冊という、「ダラダラ・マンガ界の巨匠」の名に恥じぬダラダラっぷり!

といっても、楽園本誌が年3回しか出ない雑誌なので、それに合わせてweb増刊での連載も年3回。このスピード時代に、なんという逆行スケジュールだ。あのpanpanyaでさえ、年1冊ずつ単行本を出しているというのに!

桑田先生は、10年でわずか6冊というダラダラ・マンガの金字塔「888」という名作もあるのですが、このスローペースはそれを下回る、いや上回る。

が、桑田先生の作風・画風は、もうここ30年近く安定しまくっているので、単行本で読んでも、4年の歳月は微塵も感じさせない。

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物語は、4人の男子高校生(1人は浮遊霊)がワイワイやってるうちに1冊終わる。でも、エンディングは、これ以上ないくらい見事に決まってます。さすがです。

物語の縦糸としては、浮遊霊を成仏させるまでを描いているのだが、いったい全体「浮遊霊が成仏していく過程」などを描いたマンガが、これまであっただろうか?

霊が徐々に落ち着いていき、生前の記憶も薄れ、本当に成仏に近くなっていく後半の描写は見事だ。こんなマンガは見たことないぞ。

浮遊霊・原田の片思い相手・相川さんも、なかなかわいくてよろしい。


同書, p.161

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最近は新刊が出ても、1冊だけひっそり棚に刺してあることが多い桑田作品だが、これは数冊面出し陳列だった。うれしいなあ。

愛猫にょろりを亡くしてから少し元気のない感じの桑田先生だが、またこういうワイワイものをどんどん描いてほしいですね。毎回買うぞ!(全作品持ってるし)

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