なんと、驚いた。冬目景・初期の代表作「黒鉄(くろがね)」が15年ぶりに復活です。
グランドジャンプ, vol.6, no.5(2017.2.15.)
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「黒鉄」は、1994~2001年にかけて、講談社のアフタヌーン/モーニングオープン増刊/モーニングに断続的に掲載された時代劇。
・冬目景 (1996.8~2001.10) 『黒鉄 1~5』(モーニングOPEN KC). 講談社, 東京.
← 初出 : アフタヌーン/アフタヌーン/モーニングオープン増刊/モーニング, 1994~2001.
→ 再発 : (2004.7~.9)『黒鉄 1~3』(講談社漫画文庫). 講談社, 東京.
(文庫版)
デザイン : (か)工房
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最近では珍しい股旅もの。そして主人公の「鋼の迅鉄」は、なんと時代劇なのにサイボーグだ。冬目景らしからぬマンガマンガした設定とキャラ絵が、人気の秘密かもしれない。
この人は放っておくと、盛り上がりに欠ける暗~いマンガを描いてしまうので、これくらい編集サイドの入れ知恵(たぶん)があっていい。
このマンガの世界観は、リアルな江戸時代ではなく、ほんとテレビや映画の時代劇の世界。作者もそのへんはかなり割り切って、自分が知ってる時代劇の定型に乗っかって作っている。
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毎回、無理やりのように女を重要な役に登場させるのも、冬目景らしいところ。迅鉄を追い回す股旅娘「紅雀の丹(まこと)」が狂言回しとして登場するようになったことで、ストーリー展開も安定してきた。
こういう、気が強いけど屈折した小娘を描くのは、冬目景にはお手のもの。作者もだいぶ動かしやすいらしく、出し方が絶妙だ。それに描き方もどんどんかわいくなっている。
(毎回出てくる)他の女性キャラも、準レギュラーの「壺振りの朱女(あやめ)」をはじめ、まあ美しいこと。絵の魅力だけでも読む価値がある。
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で、2001年に一応終わっているが、特にストーリーが完結したわけではなかった。物語の冒頭で大きな敵を設定しなかったので、それに向かってストーリーが展開されるわけでもない。
「行き当たりばったりで、街道沿いの宿場町で事件に巻き込まれる」という展開なので、いつでも終われるし、いつまでも終わらない、とも言える。
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そういうわけで、今回15年ぶりにあっさり復活出来たわけなのだが・・・
・冬目景 (2017.2) 黒鉄・改 出立の刻(しゅったつのとき)#1. グランドジャンプ, vol.6, no.5(2017.2.15.), pp.3-30.
同, pp.4-5.
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変わってませんね。安心。
絵は相変わらず文句なし。姐さん(ファンによる冬目景の愛称)の絵は完成していて円熟期を迎えているので、安定のうまさ。満足。
下描きが少し残ったような、ガサガサした線もお馴染み。そこで好き嫌いが分かれるかもしれないが、そこが姐さんの特色なのだから、受け入れて読んでほしい。
丹は、前より少し大人っぽく描いてあるかもしれないなあ。冒頭は丹が1ページぶち抜きで登場。
迅鉄は最後のコマで登場。お約束だけど、うまいねえ。
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グランドジャンプは月2回刊なんだけど、毎回連載のよう。大丈夫なんだろうか・・・。
完結は期待していない。そもそもどうやって終わらせるのか、見当もつかないし。姐さんが飽きるまで続けてくれれば、それで充分。
グランドジャンプのこの号、結構売れてるようで、発売日翌日には見当たらなくなっていた。みなさんグランドジャンプ買いましょう。今ならまだ、探せばあるぞ。
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(追記)@2017/02/04
冬目景関係の過去ログ↓
2016年5月31日火曜日 冬目景 「アラナギサマ」
2016年5月19日木曜日 冬目景 『空中庭園の人々』 「夕闇古書市」
こちらもどうぞ。
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(追記)@2017/03/06
「黒鉄」復活を機に、旧「黒鉄」を読み返していたのだが、一番最後のエピソード「第十四幕 CHASER(迷走の青い宵(よる))」に出てくる女剣士・小宵(さよい)の美しさにやられた。
『黒鉄 3』(文庫版), p.293
『黒鉄 3』(文庫版), p.303
クールな佇まいな上に、この虚無さ加減。ゾクゾクします。
エピソードの最後では、再登場の含みも持たせてあるので、是非「黒鉄・改」でも登場させてほしい。
でもなあ、腐れ縁がぞろぞろ迅鉄の後ろをついてまわるのも、収拾つかなくなるからなあ(諸星大二郎 『西遊妖猿伝』みたいに)。すでに3人(全員女)まとわりついてるし・・・。
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