超絶絵のうまい人 白浜鴎(しらはまかもめ)の2作目。
・白浜鴎 (2017.1) 『とんがり帽子のアトリエ 1』(モーニングKC-2690). 206pp. 講談社, 東京.
← 初出 : 月刊モーニングtwo, 2016年9月号~2017年1月号.
装丁 : SAVA DESIGN
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一作目『エニデヴィ』は1巻だけ読んだ。「絵がクソうまいなあ」とは思ったものの、話が肌にあわず、2巻以降は読むのを見合わせてる。
「とんがり帽子」も、魔法使い見習いの少女ココの成長物語、という具合で、必ずしもオッサンが読むようなテーマじゃないのだけど、絵が気になって買ってしまった。
そもそも、これが少女誌ではなく、青年誌に載ってるあたりが、現代日本マンガ~サブカルチャーの屈折したところではあるのだが・・・。
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同書, p.13
さあ、これがネット上でも話題になった、コマをまたいで風景が連続しているページです。うまいというより、よく考えた!また、それを実現できる画力のすごさよ。
この技法は、今後あちこちで真似されるだろうけど、それは仕方ない。大友克洋にしても、高野文子にしても、1980年頃に発明した技法は、いまやマンガのスタンダードになっているのだし。技法を「発明した」というだけでも、マンガ史に白浜鴎の名前が残るのだ。すごいことなんですよ。
こうして見ると、もういきなり、この画力はマンガに必要なのか?というくらいうまい。どちらかというと、マンガ家の絵というより、建築家の絵だ。
しいていえば、星野之宣とも似た絵の巧さで、線や動きはちょっと硬いかな。
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このマンガの世界観は、西洋おとぎ話の魔法の世界で、ココをはじめとする見習い少女たちも皆とんがり帽子をかぶっている。普通だったら、ないなー、こっぱずかしいよ、オッサンには。
異世界の描写も、わりに異常なところが少ない、というか定形を踏襲している。ダダ山脈も期待したのに、そんなに驚かなかったなあ。
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全体的に自分の好みのマンガではないのだが、でも2巻も買うぞ。というのも、脇役のアガットがとてもいいから(笑)。
同書, p.180
アガットは、ココの先輩魔法使い見習いで、暗くてとてもイジワル。でも、そのクールな佇まいが美しいですねえ。
なあに、こういう初期の悪役は、巻が進めば進むほどどんどん「イイ人」になっていくのだ。だから心配なし。
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というわけで、絵のうまさだけをほめることになってしまいましたが、これで異世界の描写にもっと意外性が出てきたら、とても面白いマンガになる、と思う。
期待しましょう。さっきも言ったけど、アガットが見たいので、また買うぞ。
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