に行ってきました。
・府中市美術館・主催 「歌川国芳 21世紀の絵画力」展. 2017年3月11日~5月7日. 府中市美術館, 府中.
・府中市美術館 > 企画展 > 企画展一覧 > 歌川国芳 21世紀の絵画力(更新日:2017年2月27日)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/kuniyoshi21.html
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ここは毎年春に日本画の展覧会を開いてくれるので、いつも楽しみ。
今年は「国芳」だ!やったー。楽しいぞ。
これは図録
・府中市美術館(金子信久+音ゆみ子)・編著 (2017.3) 『歌川国芳 21世紀の絵画力』. 287pp. 講談社, 東京.
ブックデザイン : 島内泰弘デザイン室
一般書店でも販売されるようです。
国芳の絵の有名どころ、少なくとも私レベルが知っているような絵はほとんど展示されている。もちろん図録にも収録。この充実ぶりはちょっとすごいよ。
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最初に展示されているのは、国芳の名を世に轟かせた「通俗水滸傳百八人」シリーズ。
その勇ましさにも圧倒されるが、一番気になったのは、その中の「通俗水滸傳百八人一個 金槍手徐寧」(図録p.17 図版1-17)。
見得を切る徐寧ももちろん素晴らしいのだが、斬られて落ちる鳥をその傍らで指差す二人がとても気になる。
これは浮世絵のタッチとは異なり、細い線で写実的に描かれている。西洋絵画のうちでも、銅版画(エッチング)のタッチである。
国芳が西洋銅版画からヒントを得ていたのは知っていたが、こんな駆け出しの頃(1820年代末、国芳30歳位)から西洋絵画を取り入れていたとは知らなかった。収穫だ。
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展示テーマに「何が私たちの心をつかむのか」というのがあったが、そりゃあもう、おもしろいんだもの!つかむつかむ。
現代人が見ても充分面白いんだから、当時の人々は狂喜したろう。特に役者絵なんてのは、今の芸能人の映像みたいなもんだから、我々の百倍楽しんでいたはず。
老中・水野忠邦様のしみったれた「天保の改革」でかけられた規制をくぐり抜けての、猫に模した役者絵、落書きに模した役者絵など、トンチの効いた絵に、お役人様はホゾを嚙み、江戸っ子は快哉を叫んだことであろう。
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特に気に入ったのは、団扇絵シリーズ(図録pp.148-157、図版2-10~18)。
うちわの中央に大きく描かれた役者絵。大胆かつバランスもよく、とてもモダンなデザインだ。一つほしい。
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展覧会は前・後期に分かれており、4月11日から後期。人気の高い「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」、「宮本武蔵と巨鯨」などは後期展示になる。
また行くぞ。入場券の半券を持って行くと、入場料は半額になるし。
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これは出口に置いてあった「国芳スタンプ」12種。これもなかなか楽しい。蛙の子を連れた金魚の絵、大好き。
国芳は、子犬や猫の絵も得意でたくさん残している。犬猫ファンも必見の展覧会だ。
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2016年5月28日土曜日 府中市美術館 「ファンタスティック 江戸絵画の夢と空想」展と岡田屋鉄蔵 『ひらひら』
でも挙げたように、国芳一門を取り上げたマンガがあるのです。
・岡田屋鉄蔵 (2011.12) 『ひらひら 国芳一門浮世譚』. 182pp. 太田出版, 東京.
← 初出 : web連載空間 ぽこぽこ. 2011年2月~11月.
http://www.poco2.jp/
装丁 : 芥洋子
もう一度紹介しておきましょう。というのも、美術館の人と話をしたら、このマンガの存在を全くご存じなかったから。たぶん一般にも知名度は低いんだろうな、ということで。
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主人公は、お武家から弟子入りした、架空の絵師・伝七(歌川芳伝)。しかし、作者が本当に描きたかったのはやはり国芳自身だろう。
国芳はかなり豪快なオヤジに描かれている。まあ、大体自分がイメージする国芳とぴったりで気に入っている。
同書, p.179.
本編では使われなかったが、この絵いいですね。
これの元絵は「勇国芳桐対模様(いさましくによしきりのついもよう)」(図録pp.142-143、図版1-148)だ。
国芳一門の行列の先頭で、音頭を取る国芳の後ろ姿。これを左右ひっくり返して、前向かせたのが上の絵になる。本当はものすごくカラフルで豪奢な羽織。これはぜひ展覧会で現物を見てほしい。
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実は、岡田屋鉄蔵さんは2016年に崗田屋愉一と改名。
そして上記『ゆらゆら』の続編、今度は国芳自身が主人公のマンガが発売になります。
・崗田屋愉一 (2017.3) 『大江戸国芳 よしづくし』(ニチブンコミックス). 232pp. 日本文芸社, 東京.
こちらも参考にどうぞ。
・日本文芸社 > コミックス > 内容紹介 ニチブンコミックス 大江戸国芳よしづくし 崗田屋 愉一 著
http://www.nihonbungeisha.co.jp/books/pages/ISBN978-4-537-13563-3.html
・崗田屋愉一/岡田屋鉄蔵/OKDY(as of 2017/03/28)
http://okdy.sakura.ne.jp/top.html
・Okadaya Tetuzoh -OKDY- @YuichiOkadaya facebook(as of 2017/03/28)
https://www.facebook.com/YuichiOkadaya/
美術館の売店で販売するにはそぐわないかもしれないが、国芳入門としてこういうマンガを読むのもいいと思うんだがな。府中市美術館にも是非置いてほしい。
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さて、4月11日以降また行くのが楽しみ。安いし(大人700円)、皆さんも是非どうぞ。
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(追記)@2017/04/27
「国芳展」2回目のお話はこちらで↓
2017年4月24日月曜日 府中市美術館 「歌川国芳 21世紀の絵画力」展 2回目
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