2017年5月29日月曜日

「アルチンボルド」展は絶対行きます

・国立西洋美術館/アルチンボルド展(as of 2017/05/28)
http://arcimboldo2017.jp/

会期 : 2017年6月20日(火)-9月24日(日)
会場 : 国立西洋美術館[東京・上野公園]
http://www.nmwa.go.jp/
〒110-0007 東京都台東区上野公園7−7
休館日 : 月曜日、7月18日(火) *ただし、7月17日(月)、8月14日(月)、9月18日(月)は開館
時間 : 午前9時30分―午後5時30分(金・土曜日は午後8時まで) *入館は閉館の30分前まで
お問合せ : 03-5777-8600[ハローダイヤル]
観覧料金 : 当日 一般 1,600円 大学生 1,200円 高校生 800円   前売/団体 一般 1,400円 大学生 1,000円 高校生 600円  ※中学生以下は無料 ※団体は20名以上 ※心身に障がいのある方とその付き添い者1名は無料(入館の際に障がい 者手帳をご提示ください) 【前売券】2017年3月21日(火)〜6月19日(月)まで〔国立西洋美術館では6月18日(日)まで販売〕
【チケット販売場所】国立西洋美術館(開館日のみ)、展覧会ホームページほか、ローソンチケット、イープラス、チケットぴあなど各主要プレイガイドにて販売 ※手数料がかかる場合があります

------------------------------------------


同展パンフレット, p.1


同展パンフレット, p.2-3


同展パンフレット, p.4

------------------------------------------

Arcimboldoの寄せ絵を見て、国芳の寄せ絵を思い出す人は多いでしょう。

江戸時代末期の絵師・歌川国芳(1798~1961)は、「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」をはじめとする「寄せ絵」の達人としても有名です。

参考:
・Japaaan日本の文化と ”今” をつなぐ! > Japaaanマガジン > アート > 日本画・浮世絵 > Japaaan編集部/猫や人が入り乱れる!浮世絵の寄せ絵(だまし絵)まとめ(@2013/05/22)
http://mag.japaaan.com/archives/6005

------------------------------------------

国芳の「寄せ絵」が、独自の発想であるのか、Arcimboldoの影響であるのか、は議論が分かれるところでしょう。

Giuseppe Arcimboldo(1527~93)は、ルネッサンス期のイタリアの人。その絵は油彩画ですから、19世紀の日本人・国芳がArcimboldo作品の現物を見た可能性はありません。

しかし国芳は、若い頃から西洋画(特に洋書の銅版画挿絵)を集めては自分の絵に反映させるという、創意にあふれた人でした。

であるので、国芳の寄せ絵が、洋書に記されたArcimboldoの寄せ絵の模写あるいは類画)を見て、その影響を受けた可能性は十分あるのです。

------------------------------------------

というわけで、このArcimboldo展は、国芳ファン、浮世絵ファンにとっても重要な展覧会なのです。

これは絶対行くぞ。

===========================================

(追記)@2017/07/10

ちゃんと行きましたよ(笑)。

2017年7月1日土曜日 「アルチンボルド展」に行ってきました

2017年5月27日土曜日

行きたい! 札幌 「月岡芳年」展

これ↓行きたい!

・札幌市芸術文化財団/札幌芸術の森 > 札幌芸術の森美術館 月光ノ絵師 月岡芳年(as of 2017/05/27)
https://artpark.or.jp/tenrankai-event/yoshitoshi/

会期 : 2017年 6月 3日(土)~ 7月 23日(日)
時間 : 午前9時45分〜午後5時30分(入館は午後5時まで)
会場 : 札幌芸術の森美術館
観覧料 : 一般1,200(900)円、高校・大学生600(400)円、小・中学生300(200)円、小学生未満無料 (  )内は前売・20名以上の団体料金
休館日 : 会期中無休
主催 : 札幌芸術の森美術館(札幌市芸術文化財団)、北海道新聞社
後援 : 北海道、札幌市、札幌市教育委員会


同展パンフレット, p.1


同展パンフレット, p.2


同展パンフレット, p.3


同展パンフレット, p.4

なかなかすごそう。パンフレットの出来も素晴らしいですね。

しかし・・・札幌かあ。でも、ちょっと考えよう。

===========================================

(追記)@2017/07/22

結局、札幌には行けませんでした(富山・長野に行ってしまったため)。芳年は、原宿・横浜で見るぞ↓

2017年6月28日水曜日 東京・横浜でも「月岡芳年」展

2017年5月18日木曜日

東京藝術大学大学美術館 「雪村展」 2回目

2017年4月10日月曜日 東京藝術大学大学美術館 「雪村展」

で書いたとおり、「雪村展」2回目行ってきました。

・東京藝術大学+読売新聞社/特別展 雪村 奇想の誕生 公式サイト(as of 2017/04/08)
http://sesson2017.jp/

「特別展 雪村 奇想の誕生」
会期 : 2017.3.28[火]- 5.21[日]
会場 : 東京藝術大学大学美術館[上野公園] 〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
開館時間 : 午前10時~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日 : 毎週月曜日 ※ただし5月1日は開館
主催 : 東京藝術大学、読売新聞社


同展パンフレット, p.1

会期もあとわずかなのでお早めに。会期末の土日はこむぞ。

------------------------------------------

以下、後期展示の作品を中心に。

比較的初期の作品と思われる「茅濛図」(作品番号22)にすでに、あの粘り気のある波が現れているのを確認できたのは収穫。これぞ「雪村」だ!

同時期の名品「風濤図」(作品番号29)も素晴らしかった。これも「粘り気波」の傑作だ。

------------------------------------------

鯉に乗った「琴高仙人・群仙図」(作品番号38)が後期の目玉の一つ。何度みても感動する傑作。次にこれを見れるのはいつのことか・・・。

待てよ、所蔵は京都国立博物館だから、いずれ常設展で展示されることもあるのか。その時にまた会いに行こう。

------------------------------------------

「百馬図帖」(作品番号47)は、通期展示だが、何度も見るうちにこの絵の凄さがわかってきたぞ。これ立体になる!

通期展示だが、新発見の「呂洞賓図」(作品番号50)も感動モノだったなあ。変なポーズが魅力。

------------------------------------------

ポスターにもなっている、鼻毛をなびかせた「呂洞賓図」(作品番号49)や、「列子御風図」(作品番号39)、「蝦蟇鉄拐図」(作品番号88)など、迫力ある重要作は前期展示が多かったような気がする。

日本画、特に古い絵は照明で痛みやすいため、必ず前後期展示替えがある。前後期二度観覧は必須なのだ。

------------------------------------------

「龍虎図屏風」(作品番号65)は、後期の内でも前の方だけの展示だったので、ついに見れなかった。しかし、いつか所蔵館である根津美術館で見てやるぞ!

それと引き替えに見ることが出来たのが「雪村自画像」(作品番号106)。これは後期の内でも後の方だけの展示で、15年前の展覧会では展示がなかったのだ。思ったより小さかったが、感動しました。

------------------------------------------

袋の上に乗って笑う「布袋図」(作品番号93)も後期展示のみ。何度みてもなごむ名品。

展示会場冒頭で出迎えてくれる、なごみの怪作「欠伸布袋」(作品番号44)は通期展示。この作品を見るだけでも1600円の価値は充分あると保証します。

------------------------------------------

さあ、この展覧会を見ないと絶対後悔しますよ。必ず行ってください。

この展覧会を見れて本当に幸せでした。

2017年5月17日水曜日

大沖 『わくわくろっこモーション』「イム説アイカツ経」

大沖のさらにもう一つの連載作品

・大沖 (2013.4~2017.1) 『わくわくろっこモーション 1~3』(電撃コミックスEX). KADOKAWA/アスキー・メディアワークス, 東京.
← 初出 : 電撃GENESIS, 2010SUMMER~2012VOL.5/月刊コミック電撃大王, 2013年3月号/コミック電撃だいおうじ, VOL.1~39.


カバー・本文デザイン : 里見英樹

は、父さんから無理やり「ひしゃく商店街」会長の座を譲られた女子高生「東灘ろっこ」が、商店街振興に奮闘する「ギャグマンガ」。

商店街のおっさんたちとの掛け合い漫才が主。ちょっと石黒正数『それ町』と似ている。

このマンガ3巻しかないが、連載期間は長く、掲載誌休刊によるお休み1年をはさんで約6年間。隔月掲載だった、ってのもある。

------------------------------------------

小ネタで勝負する人なのだが、小ネタの積み重ねでギャグとストーリーを並行して展開するのに、なかなか苦労している。

設定もツメが甘いところが多く(父さんの職業は何?まさか商店街会長専業?とか、母親は?とか、魚屋の娘・ケイコ先輩の存在を知らない、とか、ろっこたち女子高生は、放課後もなぜかずっとセーラー服姿、とか)、自分はもうひとつ乗りきれなかった。

------------------------------------------

「商店街振興」というテーマにこだわりすぎたかもしれない。2巻の、メインストーリーとは全然関係ない「全国それなり選手権」とか、やたらおもしろかったので、そういうネタをもっと入れてよかったかもしれないな。

あと、カバーのデザイン、特に3巻は素晴らしい。気合入ってる。大沖-里見コンビ本のデザインはどれもカッコイイね。

------------------------------------------

それよりも、大爆笑の小品を紹介しておきたい。

・pixv > 大沖 > 2017年1月5日21:35 イム説アイカツ経. 10pp.
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=60786126
← 初出 : 芸能人はカードが命11(2016/11/20)出品コピー本(ダイオキシン名義)



------------------------------------------

これは、カードゲーム「アイカツ!」及びテレビ東京放映のアニメ「アイカツ!」(2012.10~2016.3)を布教するイム(井村)さんのtweetをシャリ夫が受け取る姿を描く10ページのマンガ。

「仏説」ではなく「イム説」です。あはは。

2015年の東京国立博物館の展覧会「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」の影響ですな。その展覧会についてはこちらをどうぞ↓

・stod phyogs > 2015年5月6日水曜日 イムに行ってきましたよ

------------------------------------------

しかし、そのイムさんのtweetはお釈迦様が説法をするお経=仏説(現代語訳)のパロディとなっているのだ。シャリ夫は、もちろん舎利弗(शारिपुत्र Shariputra)のパロディ。

------------------------------------------

イム説はこんな具合

また、シャリ夫よ。
有栖川おとめ、藤堂ユリカ、
北大路さくら、一ノ瀬かえで、
神谷しおん、三ノ輪ヒカリも
また魅力的であり、

それらのアイドル達は
アイカツカードによって
衣装を身に纏うことができる。

わはは。よくできてる。

------------------------------------------

で、イムさんの一連の布教tweetが終了すると、信者たちは「アイカツ!」Blu-ray Boxをポチってしまう、という。あははは。

この人、高校か大学が仏教系なのかな。普通の人は仏説をパロディにするなんてアイディアは出てこないよ。すごい。

------------------------------------------

「はつめちゃん」も「ろっこモーション」も終了してしまい、今は連載は「はるみねーしょん」だけのようだが、もしかするとそろそろメジャー誌に出てくる頃なのかもしれない。

実力のある人なので、もっといろいろ読みたいですね。

------------------------------------------

ただ、何度も書いているが、最近の重い線よりも、初期の軽やかな線の方が好きですね。

でも今の絵の方が、メジャーな場所での1コマとか1ページもの連載では使いやすいかもしれない。その辺悩ましいところ、って、余計なお世話ですが・・・。

2017年5月15日月曜日

大沖 『ひらめきはつめちゃん』

大沖のもう一つの長期連載が

・大沖 (2010.1~2016.2) 『ひらめきはつめちゃん 1~6』(BLADE COMICS). マッグガーデン, 東京.
← 初出 : 月刊コミックブレイド, 2009年2月号~2014年9月号/コミックブレイド, 2014年9月~2015年11月配信.


装幀 : 里見英樹

こちらは残念ながら完結したが、やはり約7年という長期連載だった。

------------------------------------------

主人公の「はつめ」は、「はるみ」と区別がつかないが、耳毛(?)が特徴。小学1年生だが、頭身は「はるみ」よりちょっと大きい。

はつめが、図工の時間にうっかり発明した「はこ」でまきおこる騒動を描くギャグマンガ。「はこ」にスパナでネジを差し込むと、いろんな機能が発揮される。が、大半はしょーもない機能。


同書1巻, p.30-31

------------------------------------------

第1話にして、家を爆破してしまうし(「はこ」は無事)。


同書1巻, p.12-13

発明のシーンやその苦労は全然出てこない。いつの間にか小1の「はつめ」が発明している。まあ、ご都合主義の最たるものだが、ギャグマンガだからいいのだ。

------------------------------------------

登場人物を紹介しておこう。「はるみねーしょん」よりはずっと多いぞ(笑)。


同書5巻, p.20-21を改変

------------------------------------------

「はつめ」の発言・行動をすべて肯定してくれるいとこの「ケイ」ちゃんも、自信なさげにツッコミを入れてくれる「たっくん」もいい味出してる。


同書3巻, p.116

------------------------------------------

大人の女性陣は、なぜかみんな似たタイプのクール女子。大沖氏の好みと見たぞ。

私のお気に入りは、常にテキトーな早川先生(いつもジャージ)だ。


同書2巻, p.20


同書5巻, p.93

------------------------------------------

最後の方は線が太くなり、絵も少し重くなってるのが気になった。「とり・みき」や「唐沢なをき」みたいだ。

なかなかおもしろかったんだが、終わってしまい残念だなあ。少年少女誌なら、まだまだ需要はあると思うんだがどうか?

こういった作品自分もまた見たいし、子どもたちに見てほしいですよね。

2017年5月13日土曜日

大沖 『はるみねーしょん』

「だいおき」と読みます。

その代表作「はるみねーしょん」は、「こんなマンガが成立するんだ・・・」という衝撃のマンガです。

・大沖 (2009.3~2016.9続刊) 『はるみねーしょん 1~6続刊』(MANGA TIME KR COMICS). 芳文社, 東京.
← 初出 : まんがタイムきららキャラット, H19年8月10日号/H20年2月号~H28年8月号(連載継続中)


装丁 : 里見英樹

------------------------------------------

登場人物を紹介しておきましょう。


同書2巻, p.2-3

以上(笑)。

ごくたまに、担任の先生は出てくるが、クラスメートの姿すらない。この3人の女子高生が、主に教室で雑談しているだけ、という四コママンガだ。

しかし、そのうちの一人=主人公・細野はるみは、実は宇宙人で空が飛べる。かといってSFにはならない。変な設定。

------------------------------------------

雑談といっても、たいてい「はるみ」がボケる、トリオ漫才の形式。ボケもほとんどがダジャレ。たいていユキちゃんがツっこみ役。

同書4巻, p.32

------------------------------------------

だが、あまりに下らないネタの時は「イラッ」だけで終わることも多い。

同書2巻, p.28

------------------------------------------

もっとひどいと、無言・・・(笑)。

同書3巻, p.22

------------------------------------------

わかりにくいボケの時は、たいていユキちゃん(ときどき香樹ちゃんも)が「ハッ、◯◯か」と解説してくれるので、とてもわかりやすい(笑)。

同書4巻, p.60

これ、そのまま漫才ネタとして使えますね。連載1本で、ちょうど漫才1本分になる。プロに盗作されないのか、心配になるくらい。

------------------------------------------

それにしても、こんなシンプルな絵で、3人のバストショットだけで、会話だけで、10年近く連載が続いているんだから驚異的だ。

やはり安定感でしょうね。ダジャレ四コマなんて誰でも考えつくけど、これだけ安定してネタ出しできるのは、そうそうできるもんじゃない。非凡と言っていい。これが長期連載の秘訣だろう。

------------------------------------------

実は絵もうまいんですよ、この人は。シンプルな絵柄ながら、微妙な心の変化を描く(特にユキちゃんの内面が面白い)。

このシンプルなスタイルだと、コピペを使いたくなるはずだが、律儀に全部描いてる。風景もちゃんとあるし。偉いよね。

コピペなんか使ったら、読者はすぐにわかっちゃいますよ。コピペ絵に嫌悪感を持ち始めて、長年読んだマンガからあっさり離れていくケースも多いのだ。

------------------------------------------

さすがに近作では、ネタ出しがつらくなってきたようで、少し動きのある回(文化祭やったり、ボーリング行ったり)も増えてきた。

6巻の最後では、なんと、はるみの妹登場か?という衝撃のヒキで終了。7巻(おそらく2018年4月ころ)が楽しみだなあ。

------------------------------------------

ところでこの3人、細野はるみ、高橋ユキ、坂本香樹(かじゅ)、という具合で、なぜかYMOなのだが、香樹ちゃんだけ、なぜ香樹?

ハッ、坂本龍一 → 教授 → きょうじゅ → こうじゅ → 香樹(じゃ読みにくいから) → かじゅ?

------------------------------------------

表紙を並べてみて気づいたんだが、はるみの頭身が少しずつ大きくなっている!もしかして成長してるのか?

あと、ペンタブを変えているのかもしれないけど、線がだんだん太くなっている。4巻あたりの線がちょうどいいと思うんだが・・・。

2017年5月7日日曜日

『売野機子のハート・ビート』

・売野機子 (2017.1) 『売野機子のハート・ビート』(FC Swing). 183pp. 祥伝社, 東京.


デザイン : 川名潤(prigraphics)

またフィーヤンだよ。すごいなあ、フィーヤン。

------------------------------------------

これは完全にジャケ買いです。すごく強力な表紙絵とデザイン。

今、こういう顔面をギューギューに押し出してくる、そしてポップな表紙あんまりないよね。それも、表紙の女の子は中身と関係ない(注)、という江口寿史チックな戦略。

(注)
いや、「イントロダクション」の「じゅり」かもしれないが、この前向きで意志の強そうな顔は、その「じゅり」とは違う気がする。

タイトルに「売野機子の」と名前を入れてくるあたりも珍しく、その押しの強い戦略にまんまとはまりました。

------------------------------------------

売野機子はすでに2冊短篇集を持っているが、いまいちピンと来なかった。

この短篇集も、ストーリー性の強いラブストーリーばかりで、言うなればマーガレット系。登場人物もミュージシャンだったり、音楽雑誌編集者だったりと、派手目な道具立て。

私とは相性よくない(当たり前だ、おっさんなんだし。しかし、もともとの好みは、「りぼん」系日常マンガです)。

------------------------------------------

そんな中でも、

02. ゆみのたましい pp.57-94.
← 初出 : フィールヤング, 2016年8月号

がよかった。


同書, 「ゆみのたましい」, pp.66-67

小6ながら、高3女子に「今日は帰りたくない・・・」と言われて、ちゃんと答えてあげられる未来くん、偉いぞ(余計な心配かもしれませんが、おねショタものではありませんよ)。

さらに、海外サマースクールを棒に振って、その子の実家、長崎まで遠出するのも偉い。男はやる時やらないと(まあ、お金持ちだからできるんですが・・・)。それが空回りに終わったとしても・・・。

詳しい経緯をあまり説明せず、主人公自身もあまりわからないままなのも、リアリティあっていいです。それがエンディングにつながっているし。

------------------------------------------

とまあ、あんまりこの作者と合う読者でなくてすいませんが、他の作品ももう少し追っかけてみよう。

2017年5月4日木曜日

おサルの救助隊

まずこれをみてほしい↓

・YouTube > Monkey Rescue Team(uploaded by Black Vines, 2016/07/26)
https://www.youtube.com/watch?v=UmjjcmjctlM

場所は中国くさい。おサルを仕込んだコントなんだが、よくできてます。コントの基本ですよね。

斜めに走ってくるサル、かわいい。

------------------------------------------

しかし、これとよく似たギャグマンガが、すでにあったんです。収録単行本はこれ↓

・中川いさみ (1993.9) 『厳選 ワタナベの素』(BIG COMIC SUPERIOUR SPECIAL). 175pp. 小学館, 東京.
← 初出 : ビッグコミック・スペリオール


装丁 : 孝橋淳二

1990年デビュー、「クマのプー太郎」で、当時、吉田戦車と並ぶ「不条理ギャグ」のホープとして大人気だった。

------------------------------------------

その中に「おサルの救助隊」というシリーズがありました。これ大好きでした↓。


同書, p.27


同書, p.56


同書, p.84

3作しかないが、もっと続けてほしかったなあ。

------------------------------------------

まさか、この「おサルの救助隊」が実写版で見れるとは、思ってもみなかった。長生きはするものじゃのお。

2017年5月1日月曜日

小池田マヤ 「家政婦 里(さと)シリーズ」 (5) 『波飛沫(しぶか)せし家政婦さん』

2017年1月14日土曜日 小池田マヤ「家政婦 里(さと)シリーズ」 (1) 『放浪(さすらい)の家政婦さん』
2017年1月15日日曜日 小池田マヤ「家政婦 里(さと)シリーズ」 (2) 『ピリ辛の家政婦さん』
2017年1月18日水曜日 小池田マヤ「家政婦 里(さと)シリーズ」 (3) 『誰そ彼(たそがれ)の家政婦さん』
2017年1月21日土曜日 小池田マヤ「家政婦 里(さと)シリーズ」 (4) 『颯爽な家政婦さん』

で紹介した、「ドブスで長身のS級家政婦 里(さと)」シリーズ第5弾(双葉社に移ってからは2冊目)。

------------------------------------------

・小池田マヤ (2017.4) 『波飛沫(しぶか)せし家政婦さん』(JOUR COMICS). 177pp. 双葉社, 東京.


装丁 : 新上ヒロシ(ナルティス)

おお、表紙はこれまでで一番カッコイイぞ。絵になるドブス、里。

------------------------------------------

今回は短編が1編に、中編が1編。

01. 薫風ブランニュー・ライフ
← 初出 : JOURすてきな主婦たち, 2016年6月号

今回のお仕事は、汚部屋男子大学生の部屋片付けと家事の躾。もちろん最後は食っちゃいます(笑)。まあ、安定の小品。

「サービスで ミニスカ履いて来てんのに 見ろよ!」ほれ チラ♡

だって。笑うよなあ。

------------------------------------------

02. Hey, Sup ? wave.1~4
← 初出 : JOURすてきな主婦たち, 2016年9月号~2017年1月号

さあ、今回の目玉は4回連作の中編。湘南あたりの別荘で繰り広げられるひと夏の人間模様。

登場人物が多い多い。ストーリーにからんでくるキャラだけでも8人もいる。その一人ひとりに物語をちゃんと与えている。

普通これだけ登場人物が多いと、推理ものに流れがちなのだが、そうはならなかった。推理ものじゃ、家事・料理うんちくとも相性悪そうだし。

クライマックスではちゃんと事件は起きるけど、テーマは犯人探しではない。ほとんどの登場人物がその事件に絡んでくるので、結構複雑。


同書, 「Hey, Sup ?」 p.130

これはクライマックス直前のシーンだが、こんな感じで、絵もストーリーも全編かなりガッチャガチャしてる。一度読んだだけだと、ストーリーの流れが把握できないかもしれない。

それでも、最後きれいにまとめるあたり、並みの力量ではないが・・・。

エンディング、2~3年後の後日談に、あとがきをかぶせる技もなかなか粋。

------------------------------------------

しかし、この本出たの知らなかったし、本屋でも平積みじゃなく、新刊なのに1冊だけ棚にさしてあったのを、偶然見つけた。

これだけおもしろくて、しっかりした作品なのに、あまり評判にならないのはもったいない。今回の新刊を機に、もっとメジャーになってほしい。

数年前に話題になったTVドラマ「家政婦のミタ」は、このマンガをヒントに設定を作った、という噂もあるくらいだが、本家(?)のこのマンガが有名になることはなかった。

今こそ「家政婦 里」ブームを!

===========================================

(追記)@2017/05/01

ちょっと立ち寄った、ある小さい本屋では、平積みでこそなかったが、これが4冊も棚にあった。もしかすると、局所的に大人気なのかもしれん。