2017年5月17日水曜日

大沖 『わくわくろっこモーション』「イム説アイカツ経」

大沖のさらにもう一つの連載作品

・大沖 (2013.4~2017.1) 『わくわくろっこモーション 1~3』(電撃コミックスEX). KADOKAWA/アスキー・メディアワークス, 東京.
← 初出 : 電撃GENESIS, 2010SUMMER~2012VOL.5/月刊コミック電撃大王, 2013年3月号/コミック電撃だいおうじ, VOL.1~39.


カバー・本文デザイン : 里見英樹

は、父さんから無理やり「ひしゃく商店街」会長の座を譲られた女子高生「東灘ろっこ」が、商店街振興に奮闘する「ギャグマンガ」。

商店街のおっさんたちとの掛け合い漫才が主。ちょっと石黒正数『それ町』と似ている。

このマンガ3巻しかないが、連載期間は長く、掲載誌休刊によるお休み1年をはさんで約6年間。隔月掲載だった、ってのもある。

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小ネタで勝負する人なのだが、小ネタの積み重ねでギャグとストーリーを並行して展開するのに、なかなか苦労している。

設定もツメが甘いところが多く(父さんの職業は何?まさか商店街会長専業?とか、母親は?とか、魚屋の娘・ケイコ先輩の存在を知らない、とか、ろっこたち女子高生は、放課後もなぜかずっとセーラー服姿、とか)、自分はもうひとつ乗りきれなかった。

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「商店街振興」というテーマにこだわりすぎたかもしれない。2巻の、メインストーリーとは全然関係ない「全国それなり選手権」とか、やたらおもしろかったので、そういうネタをもっと入れてよかったかもしれないな。

あと、カバーのデザイン、特に3巻は素晴らしい。気合入ってる。大沖-里見コンビ本のデザインはどれもカッコイイね。

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それよりも、大爆笑の小品を紹介しておきたい。

・pixv > 大沖 > 2017年1月5日21:35 イム説アイカツ経. 10pp.
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=60786126
← 初出 : 芸能人はカードが命11(2016/11/20)出品コピー本(ダイオキシン名義)



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これは、カードゲーム「アイカツ!」及びテレビ東京放映のアニメ「アイカツ!」(2012.10~2016.3)を布教するイム(井村)さんのtweetをシャリ夫が受け取る姿を描く10ページのマンガ。

「仏説」ではなく「イム説」です。あはは。

2015年の東京国立博物館の展覧会「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」の影響ですな。その展覧会についてはこちらをどうぞ↓

・stod phyogs > 2015年5月6日水曜日 イムに行ってきましたよ

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しかし、そのイムさんのtweetはお釈迦様が説法をするお経=仏説(現代語訳)のパロディとなっているのだ。シャリ夫は、もちろん舎利弗(शारिपुत्र Shariputra)のパロディ。

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イム説はこんな具合

また、シャリ夫よ。
有栖川おとめ、藤堂ユリカ、
北大路さくら、一ノ瀬かえで、
神谷しおん、三ノ輪ヒカリも
また魅力的であり、

それらのアイドル達は
アイカツカードによって
衣装を身に纏うことができる。

わはは。よくできてる。

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で、イムさんの一連の布教tweetが終了すると、信者たちは「アイカツ!」Blu-ray Boxをポチってしまう、という。あははは。

この人、高校か大学が仏教系なのかな。普通の人は仏説をパロディにするなんてアイディアは出てこないよ。すごい。

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「はつめちゃん」も「ろっこモーション」も終了してしまい、今は連載は「はるみねーしょん」だけのようだが、もしかするとそろそろメジャー誌に出てくる頃なのかもしれない。

実力のある人なので、もっといろいろ読みたいですね。

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ただ、何度も書いているが、最近の重い線よりも、初期の軽やかな線の方が好きですね。

でも今の絵の方が、メジャーな場所での1コマとか1ページもの連載では使いやすいかもしれない。その辺悩ましいところ、って、余計なお世話ですが・・・。

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