・萩尾望都 (1984.7-8) X+Y(前編・後編). プチフラワー, 1984年7月号~8月号.
→ 収録 : 『A-A'』(小学館文庫). pp.101-200. 小学館, 東京.
『A-A'』(小学館文庫版), pp.102-103.
このエピソードのメインテーマは、「性転換」と、そして「BL(ボーイズラブ)」だ!
主人公は一角獣種のタクトと、「4/4カトルカース」のモリが再登場。前作の解決編ともいえる。
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地球の大学のエリート集団に属するタクトは、小柄な一角獣種美少年。友人ザーズのいとこメリメと初体験するが、うまくいかなかった(「プチフラワー」でいきなりこれだ!)。
医務室でジョージとアンアンに検査してもらったところ、ついでの遺伝子検査で、とんでもないことがわかった。タクトは性染色体が「X+X」つまり女性だったのだ。この事実に反発するタクト。
一方、タクトのチームは、火星カナル・プラン(要するにテラフォーミング)・コンペティションで、見事地球代表となる。そしてチームは火星へ。
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火星についたチームは、さっそく凧(カイト=ハングライダー)レースに遭遇。墜落してしまった凧に乗っていたのはモリ。「4/4カトルカース」のモリの4年後だ。
一目見て、タクトが一角獣種であることに気づくモリ。一方、モリも強い念動力使いであることが、チームにばれる。チームの「TAKO計画」には、念動力使いが必要なのだ。
カナル・プランでのプレゼンテーションでは、保水用ゲルの実験に失敗し、会場を水だらけにしてしまう。メッセンジャーとして参加していたモリも、巻き添えでびしょ濡れ。チームの宿舎に招かれ、そこでモリはタクトと「共鳴」を起こし、タクトを浮かび上がらせてしまう。
凧デートに出かけるモリとタクト。タクトにトリルの面影を見、モリはタクトに告白。しかし、タクトは一角獣種らしい「コミュ障」ぶりを発揮し、冷静に拒否。モリはタクトに怒りをぶつけてしまう。
『A-A'』(小学館文庫版), p.149.
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『A-A'』(小学館文庫版), pp.102-103.
チームは土星タイタン代表に認められ、土星に視察旅行に。チームのカナル・プランは、土星の輪の一部を雪ダルマ状にして火星まで運ぶ計画なのだ。
気になってタクトにコンタクトしたモリだが、タクトはモリの記憶を失っていた。「自分の念動力のせいらしい」と感じたモリは、チームの後を追って土星へ。
タイタンからミマスに移ったチーム。タクトとモリは凧の実験に。そこで二人は遭難してしまう。モリは、ケガをしていたものの無事発見。しかしタクトは行方不明。
ケガを押してタクトを探しに出たモリ・・・。二人はどうなる?
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エンディングでは、チームはタクトの父親ムーンサルト博士に会いに、小惑星帯トロヤ群に行く。そこで聞かされたのが、ムーンサルト博士の性転換実験と、タクトの出生と性転換の秘密、なぜ、タクトに7歳以前の記憶がないかの理由・・・。
タクトは男のままか?女になるのか?
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一角獣種、性転換、BLに加えて、火星のテラ・フォーミングまでが背景として加わり、SF要素のテンコ盛りだ。
これだけ盛り込んだ設定を、100ページにうまく収める力量に唸らされる。テラ・フォーミングがらみは、ちょっと消化不良気味でもあるが・・・。
性転換ネタも、まあ~お話ならでは、のことだよね。突っ込みどころは満載。
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地球→火星→土星系タイタン→土星系ミマス→小惑星帯トロヤ群とめまぐるしく移動することもあり、ロードムービー的な楽しみ方も可能。
前作で後悔を残したモリが成長し、悩みつつ試行錯誤しつつむくわれる完結編だ。
そういえば、タクトにはショタ要素もあるので、ショタ好きにも楽しめるかな。ああ、もう万能のマンガだ。
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小柄で、文字通り中性的なタクトが魅力。これに一角獣種特有のクールネスを持っているのだから、マンガの主人公としては強力だ。
いや、実際にいたら、相手するのは結構大変そうだが・・・。
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これで「一角獣種シリーズ」は終わりのようだが、もっと読みたいなあ。深みのあるテーマなので、どんな道具立てとくっつけても相性がいい。
もう1回ツヅク
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