2018年3月23日金曜日

やりすぎの人 小林銅蟲(1) 『めしにしましょう 1~4(続刊)』

・小林銅蟲 (2016.11) 『めしにしましょう 1』(イブニング-KC). 125pp. 講談社, 東京.
← 初出 : イブニング, 2016年13号~20号.
・小林銅蟲 (2017.2) 『めしにしましょう 2』(イブニング-KC). 126pp. 講談社, 東京.
← 初出 : イブニング, 2016年21号~2017年5号.
・小林銅蟲 (2017.7) 『めしにしましょう 3』(イブニング-KC). 126pp. 講談社, 東京.
← 初出 : イブニング, 2017年5号~13号.
・小林銅蟲 (2017.12) 『めしにしましょう 1』(イブニング-KC). 126pp. 講談社, 東京.
← 初出 : イブニング, 2017年14号~23号.


Coverdesign : Tadashi HISAMOCHI (hive&co.,ltd.)

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マンガ家・「广大脳子(まだれだいのうこ)」とそのアシスタント(のちにチーフっぽくなる)・「青梅川おめが」による密室料理マンガ。主役、すなわち料理を作るのは、メガネの青梅川の方。

もうなんかね、見てるだけで痛風になりそうな、豪華食材というか凶悪な食材ばかり・・・。松浦だるま・・・いや、广大脳子先生の健康が心配になるレベル。

リストアップしてみよう。

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1巻

・一の膳 : ローストビーフ → いきなり肉肉しいメニュー。マッシュドポテトにいきなりバター1本、丸ごと入れたりするあたりからして異常。

・二の膳 : すっぽん鍋 → 2回目でもうこれだ(笑)!广先生は、当然鼻血を出す。


同書1巻, pp.22-23

・三の膳 : 超級カツ丼 → このマンガではおなじみになる、風呂を使った低温加熱の登場だ。スマホ大のカツ切り身(笑)。

・四の膳 : 肩ロース氏 → 肉肉肉肉・・・。

・五の膳 : 肉あんかけチャーハン → 肉肉肉肉肉・・・。このチャーハンの作り方は、実は結構有名。3人目のレギュラー、アシ見習いの「馬場ヲッカ」少年が加わる(少年に見えるが、実はXX歳。なお、陰毛は剃ってる)。

・六の膳 : ブイヤベース的なもの → カエル、ザリガニ、巨大フジツボ・・・。確かにフジツボはものすごいダシが取れるのだが・・・。

・七の膳 : 絹かけ丼 → 肉から離れたかと思ったら、大量のウニ!大丈夫か?マスク・ド・編集者「ザ・ダイスケ」登場。

・八の膳 : 冷やし汁なし担々コシャリ → 今回は肉味噌が主役。「誰得?」の青梅川の下着姿が堪能できる。

・九の膳 : ハモの手まり寿司 → メスでハモをさばく。この食材選び、海原雄山なみの贅沢さ。

・十の膳 : パタン的なもの → 珍しくシンプルに、「宇宙ひも」(笑)をゆでた素「ウ゜ドン」。主役はチャーシューのつけ汁。「ウ゜」「ウ゜マーイ」の声が上がる。

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2巻

・十一の膳 : イクラの邪道丼 → またこんなだ。ホントに痛風になるぞ。4人目(?)のレギュラー、しゃべるロボット掃除機(のちに名前がつく)の登場。

・十二の膳 : キノコ・フォアグラ丼 → キノコはいいけど、フォアグラはよせ!「なんであるんですか?」「あるからです」

・十三の膳 : クジラいろいろ(前編) → 珍しく外へ。外房・和田漁港にお出かけ。ツチクジラの解体を見学しつつ、クジラ肉4kgゲット。4kg・・・。

・十四の膳 : クジラいろいろ(後編) → ようやく料理。ユッケ、「天ぷら」と「はりはり鍋」。今回は料理パート短かったな。

・十五の膳 : 牛バラ肉のコロッケ。あー、胸焼けしてきた。青梅川と广の知られざる過去の関係が明らかになる。

・十六の膳 : 大水炊き展 → 馬場少年が料理。これはうまそう。しゃべるロボット掃除機は「ゆず」と命名。このあと馬場少年と怪しい関係になっていく。

・十七の膳 : つよい鴨南蛮そば → 何が強いのかというと、ソバ3杯に鶏丸々一羽使う。肉とネギでソバが見えない状態。バカじゃないの?

・十八の膳 : 松茸すき焼き的なもの → またこんなだよ。なお、とき卵用の卵は、フォアグラと一緒に保存しておいたもの。ほんともう、いいかげんにしろよ。

・十九の膳 : カキのリゾット・レモン風味 → 呆れた。ホントもう痛風になっても知らんぞ。

・二十の膳 : 角煮クレープ → 下手に不得手な甘味方面に行こうとすると失敗する(笑)。

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3巻

・二十一の膳 : アンコウどぶ粥 → いつかは出ると思ってたが・・・。アンコウ吊るし切りのマニュアルとしても使える。なお、小さいアンコウならまな板でもさばけます。

・二十二の膳 : ガリバタステーキ・ゆずバタステーキ → ラム肩ブロックと牛ハツ。一名「キング・オブ・王」。ホントもう・・・。

・二十三の膳 : カラスミと白子のパスタ → つ・・・もう言わない・・・。

・二十四の膳 : 愚者の祭典 → ライスの横にカニ玉、ハンバーグ、その上に牛スジカレー、最後に生卵・・・。超高カロリー、「バカじゃないの?」料理だ!

・二十五の膳 : 春のロールキャベツ → 珍しくおとなしいメニューだが、中に紛れ込ませる「ふきのとう」が今回の技。確かに意外に存在感あるんだわ、ふきのとう。

・二十六の膳 : カンジャンケジャン的なもの → ワタリガニのかわりにタカアシガニを丸ごと漬け込む。失敗(笑)。雑炊化でなんとかリカバー。

・二十七の膳 : 貝の清蒸(チンジョン) → 黒ミル貝、白ミル貝、サザエを蒸して、熱々のピーナツ油をかける。うん、もう、これはうまいに決まってる。

・二十八の膳 : 低温タンしゃぶ → グロい牛タンを丸々買って来て(こっからして、もうおかしい)、スライスし、おなじみ低温加熱「しゃぶしゃぶ」だ。時間かかりそうだけど、これはホントにうまそうだな。


同書3巻, pp.90-91

・二十九の膳 : ごはん → 今回はネタがなかったか、飯炊きのウンチク。

・三十の膳 : 佛跳牆(ファッチューチョン) → 担当編集者ガルシア氏退職記念。あらゆる高級乾貨(ガンツォ=乾物)を「これでもか!」とぶち込んだ凶悪なスープ。

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4巻

・三十一の膳 : エビトマトクリーム ホットサンド → 新・担当編集者・凪無(なぎむ)登場。これはあれだ。旧作「ねぎ姉さん」だ(注)。今回は、芝エビの身はもちろん、殻のうまみも存分に使った贅沢なホットサンド。「バカじゃないのこれ」。

(注)
『ねぎ姉さん』は、こちらでどうぞ↓
・小林銅蟲/ねぎ姉さん (as of 2018/03/21)
http://negineesan.com/
もともとWEB公開作品らしいが、やっぱり本でも読みたいなあ。3分の2くらい収録した本はあるらしいが・・・。

・三十二の膳 : 中華風おろしハンバーグ → ブタ肩ロースと牛モモを合挽きにしてハンバーグに。そしてその上にナスと大量の大根おろし。また肉。

・三十三の膳 : ウツボの冷や汁 → ハモの次はウツボかよ・・・。

・三十四の膳 : 麻婆肉ミート → 豆腐の替わりに豚肉唐揚げを使う。ラー油作りから始めるあたりからして、もうどうかしてる。

・三十五の膳 : 桃地獄 → スイーツでも山盛り。やりすぎ。糖尿病も心配だ。

・三十六の膳 : いろいろな親子のかたち → 鶏むね肉を毎度おなじみの低温加熱して親子丼にしようとするが、うまくいかない。そこで・・・。

・三十七の膳 : ファイナルカレー → 水野仁輔氏のレシピを利用。カレーの決め手はやっぱりタマネギだ。味と力のない日本のタマネギではなかなか難しいので、日本でインドの味を出すのは、私はあきらめてる。

・三十八の膳 : やけくそアヒージョ → イセエビとギガマッシュ(カサの直径20cmはあろうかという巨大マッシュルーム)を使った、どうかしてる料理。

・三十九の膳 : ナープ天茶 → 趣向を変えて、オクラ、えのき茸、納豆を米粉衣で天ぷらにして、それをお茶漬けに。お茶漬けひとつにでも、こんなに手間をかける。やりすぎ。

・四十の膳 : 混沌やきそば → イカスミとソースを両方使ったイカヤキソバだ。濃い料理だなあ。しかし、よく思いついたもんだ。

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見ての通り、圧倒的に肉が多い。ボリュームあり過ぎ、高カロリーの料理ばかり。これは男の料理だ。

そう、実は青梅川は作者(男)の分身。実際、小林銅蟲は『累(かさね)』が大ヒット中の松浦だるま(なんでこんなペンネーム?)のチーフ・アシ。

だいたい、作務衣が普段着の女子などいない。小林氏の普段着が作務衣なのだ。

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本当にこんな料理いつも作ってるんだろうか?アフタヌーンは月2回刊だが、それと同じペースでこんな料理食ってたら、本当に痛風・糖尿病が心配になるレベル。

金も心配だが、これは雑誌から取材費みたいな形で、ある程度出てるんだろうな。

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それにしてもやり過ぎ感たっぷりで、読んでいるだけで胸焼けがしてくる怪作。

だが、実は小林銅蟲作品には、もっとやり過ぎマンガがある。次回はそれを紹介。

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