そろそろかな?とは思っていたが、2冊ほぼ同時とは意表を突かれた。
・冬目景 (2018.3) 『空電ノイズの姫君 2』(バーズコミックス). 199pp. 幻冬舎コミックス, 東京(幻冬舎, 東京).
← 初出 : 月刊コミックバーズ, 2017年7月号~2018年3月号.
cover design : Tamura Keiichiro(makena graphics)
夜祈子(右のロング黒髪の子)は、なんでこんなワルイ顔をしてるんだ?
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1巻についてはこちらをどうぞ↓
2017年4月27日木曜日 冬目景 『空電ノイズの姫君 1』 欠落だらけの物語
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1巻で注目した「欠落」については、2巻ではその欠落をあまり感じさせない。みんな、その欠落を音楽で埋めようとしているかのよう。展開は明るいので、読後感はいい。
同書, p.46
磨音ちゃんに、色んな表情、いろんなポーズをさせてるし、どれもかわいく描けている。作者が楽しんで描いているのがわかる。だから読む方も楽しい。
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この物語には、延々説教を垂れたりする暑苦しい奴や、悪役じみた登場人物がいない(今のところは)。だから安心して読んでいけるんだが、その点が物足りないという人もいるだろうな。
磨音ちゃんをはじめ、バンドメンバーは自分たちのことだけ考えてればいい状態なんだから、ある意味理想的な環境だ。まあ、社会との軋轢があまりない「ファンタジー」といえばその通りだが、放っておくとすぐに暗い展開に行きがちな姐さんにとっては、かえってこれがいい方向にころがってる。
夜祈子も音楽面で物語に絡み始めた。「いずれ×××になるんだろうな」とは、誰しも思うところだが、その過程を丁寧に描いているのでいい感じで進んでる。
しばらくは安定して楽しめそうな展開だ。
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2巻で笑ったのは、ライブハウスの店長・須藤寺(すとうじ)さん。
同書, p.92
ギャハハ、Iggy Pop ! 須藤寺←The Stoogesだし。
これ、ネット上では誰も指摘してないのな。このマンガ、音楽ファンはあんまり読んでない、と見た。というより、ジジイ+ババア(自分含む)の音楽ファンは読んでない、と言うべきか。
しかし、チョイ役にこんな気合の入った絵を与えてどうする(笑)?これじゃあ、今後「重要キャラ」に昇格させるしかないではないか。
その辺も楽しみだ。
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お次は、
・冬目景 (2018.3) 『黒鉄・改 1』(ヤングジャンプ コミックス GJ). 173pp. 集英社, 東京.
← 初出 : グランドジャンプ, H28年23号, H29年5号/6号/8号/10号/12号/16号.
Design : Maruka-Kōbō
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「黒鉄・改」の連載開始については、こちらをどうぞ↓
2017年2月4日土曜日 冬目景 「黒鉄」 復活!
単行本が出るまで結構時間がかかった。当初毎号(隔週)掲載との話だった(信用してなかったけど)が、徐々に掲載間隔が伸びつつある。単行本での描き直しもあったんだろうな、例によって。
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こちらは比較的ゆっくりした展開。丹(まこと)が拾った密書の存在が、なんかうやむやになってるな。
連載を読んでて、ところどころ違和感があったんだが、あとがきによれば、かつての設定からかなり変えたらしい。やっぱりそうだったのか。
刀の鋼丸は迅鉄と離れてもしゃべれるようになってるし、鋼丸がいないと有象無象の悪鬼が迅鉄に取り憑いて凶悪な強さになるとか、迅鉄の仮面が外れるようになっている、とか・・・。
同書, pp.134-135
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単行本冒頭には、連載開始前に掲載された短編。これは知らなかった。スッキリまとまっていておもしろい短編だ。オチは、あんまり多用しちゃいけない強引な技を使っているが、 おもしろかったからまあいいとしよう。
あと丹は、偶然鋼丸を拾ったり、迅鉄の窮地に出くわしたり、タイミング良すぎでしょ。便利な女になってる。ちょっと不憫。
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さて、『黒鉄・改』の方は、まだ地味な展開だが、今後じわじわと盛り上がっていくのか、それとも毎度おなじみ、飽きてフェイドアウトしていくのか・・・。微妙なところだが、あまり風呂敷を広げすぎないほうがいいような気も・・・。
まあこちらも、じっくりつきあうことにしよう。
ちなみに、『黒鉄・改 2』は2018年秋ごろの予定。1巻が遅かっただけに、こっちは少し早めに出すようです。
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