2022年3月28日月曜日

雑誌「架空」 - 変だ、この雑誌・・・もうないけど・・・

★Twitter 2020/12/23-24より転載+加筆修正★

雑誌「架空」を知ったのはわりと最近なので、古本で見つけたときに買うくらい。残念だ。リアルタイムで知ってたら毎号買ったのに・・・。

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架空は、マンガ家・西野空男が2006年に創刊したマンガ同人誌。一般書店ではごく一部で流通してるだけ。何部くらい出てたんだろう?

2012年に13号を出した後、西野氏がどっか行っちゃって、やはりマンガ家の川勝徳重が編集を引き継ぎ、先にあげた14号を3年ぶり2015年に出したよう。

2017年に15・16号同時発行っていう、アホなことをやって以来発行がないようだ。やるなあ。2010~11年には10か月間だけ月刊化という、これまた無茶なことをやってる。やるなあ。

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これは月刊化時代の一冊、No.11 (2010.10)。見ての通り、「架空」のロゴの「架」の上に小さく「月刊」とあり、当然のように「ガロ」と読める。アホだなあ。

見ての通り、この雑誌は1970年代前半のガロ系マンガの復権をめざしているよう。鈴木翁二、安部慎一、古川益三の三羽烏の系統。絵も話も暗い時代。このあと、ガロは南伸坊+渡辺和博の面白主義の時代になるのだが、その前世代のマンガが近い。

架空の執筆陣には、川崎ゆきお、安部慎一、キクチヒロノリ、三本美治、まどの一哉といったガロ出身者もいれば、若いのに絵は暗い斉藤潤一郎、川勝徳重などなど。どうかしてる連中ばっかり。

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川勝や斎藤はリイド社の目に留まり、単行本を出すまでになっている。これは川勝の。

川勝徳重 (2018.9) 『電話・睡眠・音楽』 (torch comics). 344pp. リイド社.

中身はガロっぽくもあり、貸本マンガっぽくもあり、Bande Desinee っぽくもあり、とすごくヘン。

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架空 No.14掲載の「昭和我楽他万歳記」も、貸本マンガっぽい唐突なストーリー転換があったり、貸本マンガ解説や紙芝居のストーリーが挟まったりと、やりたい放題。大笑いした。

斉藤潤一郎『死都調布』あたりもだいぶ気になってるんだが、まだ手を出していない。そろそろ当たってもいい頃だな。よし。( 2022/03 もう3冊全部入手 )

というわけで、若いのにとても変な趣味の連中が出て来ていて、わけがわからなくて楽しい。またそのうち取り上げよう。

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なお、架空バックナンバーの一部やその他セミ書房関連書は、架空執筆者でもある甲野酉 氏が引き継いで、BOOTHで在庫を販売している。


川勝氏担当号などは、川勝氏自身が別にBOOTH で在庫を販売している。


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(追記)
>かわかつとくしげ(川勝徳重)@old_schoooooool ·2020年12月24日
>【通販再開】12月24-25日のあいだ限定で、Boothストアにて川勝が編集した同人誌通販再開します。『蝸牛2』『架空14,16号』です。おすすめは架空14号。川勝ファン(?)の中で最高傑作と名高い60ページくらいのタヌキ漫画「昭和我楽他万歳記」が載ってます。

先に紹介した漫画雑誌 架空 No.14が2日間限定で通販再開されるそうな。川勝徳重「昭和我楽他万歳記」も原田ちあき「幸子ちゃんの中学生日記」も読めるぞ。これを機に是非 (私は関係者ではありません)。

ということで、どれくらい売れたのかな。なお、架空 No.14-16 は2022/03/28 時点で全部在庫があるようだ。

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